「リボーンの棋士」の3巻は
とても面白かったです。
私が特に印象に残ったのが、
主人公のライバルである
土屋貴志のエピソード。
土屋は憎らしい奴のはずなのに
なぜか好感が持てますが、
この3巻ではまるでヒロインのような
立ち位置だと感じました。
そんな土屋の魅力を
3つまとめました。
ネタバレがあるので
ご注意ください。
「リボーンの棋士」の感想は
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「リボーンの棋士」第4巻の感想~アマ竜皇戦決勝の2つのテーマ~
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「リボーンの棋士」7巻(最終巻)の感想~迷ったら苦しい方を選べ~/a>
「リボーンの棋士」の土屋貴志とは
「リボーンの棋士」は
将棋を題材にしたマンガ作品。
年齢制限によって
プロ棋士になれなかった
主人公の安住浩一(あずみこういち)が、
アマチュアとして活躍することで
再びプロ棋士を目指すというストーリー。
先日、最新巻である3巻が
発売されたところです↓
主人公のライバルような
存在として本作に登場するのが
土屋貴志(つちやたかし)。
土屋は安住と同様、
プロ棋士の養成機関である奨励会を
年齢制限で退会させられ、
プロ棋士の夢を
あきらめざるをえませんでした。
この土屋という男。
プライドが高く
いつもつまらなさそうにしていて
表情も暗いなど、
あまり好かれる人物には思えません。
ですが、
ネットで「リボーンの棋士」の
感想を見る機会があると、
土屋はなぜか人気がある様子。
かくいう私も、
土屋には好感を持っています。
それはなぜなのか、
その理由を
改めて考えてみました。
土屋の魅力3つ
土屋には以下の3つの魅力があるというのが
私の考えたことです。
魅力①悩む土屋の姿は読者に近い
まず最初の魅力は
「悩む土屋の姿は読者に近い」
ということです。
ほとんどの人は、
土屋と同じように
「嫉妬、コンプレックス、
焦燥感のようなネガティブな感情」
に駆り立てられています。
安住のように
常にポジティブではいられません。
「気負わずに楽しめばいい」と
頭ではわかっていることでも、
色々なネガティブな感情が浮かんできて、
そんな自分が嫌になってしまう。
だからこそ、
いつも悩んでる土屋の姿に
自分を重ねて見ることになります。
それが好感を持つことに
つながるのだと思います。
魅力②土屋は挑戦と努力を重ねている
魅力の2つ目は、
「土屋は挑戦と努力を重ねている」
ということです。
土屋は他人の悪口や嫌味を
たくさん言いますが、
それだけではありません。
自分自身がプロ棋士を目指して挑戦し、
研究会を掛け持ちするなど
努力を続けています。
ボクシングに例えるなら、
自らリングに上がって
傷だらけになりながら
必死に戦っているわけです。
他人の戦いを安全な場所から見ている
観客とは違います。
私自身、
将棋マッチというサイトを
立ち上げるにあたっては、
周囲の人から色々言われました。
「うまくいくわけない」
「失敗したらどうするんだ」
などなど。
でも、自分では何もしないで
安全な場所から
語ってくる人の言葉は、
私の心には響かないのです。
ちょうど3巻の中で土屋が
「綺麗ごと…
全部ウソだ。
前向きな言葉は
俺に何も響いてこない。」
と語ったように。
人は誰しも、
人ががんばっている姿を見ると
心を動かされます。
土屋が自ら語らなくても、
土屋がこれまでがんばってきたこと、
そして今もがんばっていることを
読者はわかっています。
だからこそ、
多くの人が土屋に好意を持つのです。
魅力③土屋は泣き虫
魅力の3つ目は、
「土屋は泣き虫」
だということ。
土屋はプライドが高くて
普段は感情を表に出さないのに、
じつは泣き虫。
しかも、
ちょっとほめられたりすると
すぐに顔が赤くなったりもします。
そんなギャップが魅力的
なのです。
これまでに土屋は
2回泣いています。
第1巻と第3巻で、
いずれも安住に将棋で
負けたとき。
「リボーンの棋士」では
他に涙を見せた記事はおらず、
土屋の純情さが際立っています。
女性が登場しない3巻のヒロイン
「リボーンの棋士」3巻には
女性キャラクターが
まったく登場しません。
本当に1コマも出てこないので、
これには驚きました。
私はこれまでに将棋マンガを
色々と読んできましたが、
どのマンガにも
女性キャラの出番は
必ず用意されています。
将棋の世界は
現実には男ばかりですが、
読者には男性が多いことが
予想されるので、
やはりヒロインの存在は必要。
主人公を見守る存在だったり、
主人公と戦うライバルだったり。
とにかくなんとか
女性の出番を作ろうという
作者の苦労がうかがえたりもします。
「リボーンの棋士」も
例外ではありませんでした。
少なくとも1巻と2巻までは。
1巻では
安住のバイト仲間の
森さんが登場します。
さらに2巻では
奨励会三段の宇野さんも
追加で登場。
「リボーンの棋士」も
女性登場人物の出番確保を
がんばっているなー、と
私は見ていたのです。
ところが。
3巻では
せっかくの女性キャラクターである
森さんも宇野さんも
1コマたりとも登場せず。
出番を作りたければ
色々やりようはあったはず。
森さんが会場に応援に来るとか、
安住に応援メッセージを送るとか、
「今ごろ安住さん、がんばっているかなー」
と考えている場面を挿入するとか。
でも、そういった工夫は
ひとつもなかったのです。
そんな3巻でのヒロイン役は
間違いなく土屋です。
主人公の安住のことを
子どものころからずっと
想い続けている。
離れようと思っても離れられない。
そして主人公に泣かされる。
すごくヒロインっぽいです。
そういう視点で見てみると、
女性キャラクターを
一切登場させなかったことにも
理由があると想像できます。
「土屋と安住の関係に
話の焦点を絞りたかった」
というのが作者の鍋倉夫さんの
意図なのでしょう。
読者には
森さんや宇野さんの存在を
思い出させずに、
土屋と安住だけ見てほしかったと。
土屋はまさにヒロインです。
まとめ
「リボーンの棋士」の
土屋貴志は魅力的な
キャラクターです。
読者は土屋に
理想通りには生きられない
自分自身の姿を重ね、
それでも努力と挑戦を続ける
土屋の姿に勇気付けられます。
また、土屋がいることで
主人公の安住の視点からでは描けない
奨励会の苦しさが辛さが強調され、
物語に深みが増してもいるのです。
しかも、
ヒロイン役までも務めました。
今後、土屋がどのように
「リボーンの棋士」の
ストーリーにからんでくるか、
私は楽しみにしています。
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