「リボーンの棋士」は
将棋を題材にした漫画。
私はその中に登場する
片桐豊(かたぎりゆたか)に
共感しました。
片桐はエリートサラリーマンで
将棋でもアマチュア最強ですが、
そのことに満足感はありません。
過去にプロ棋士を目指して
奨励会に挑戦しなかったことを
ずっと後悔しているのです。
片桐のエピソードには
「後悔のない人生」
を実現するためのヒントが
詰まっています。
ネタバレを含むので
ご注意ください。
ちなみに冒頭のイラストは
自分で描きました。
「リボーンの棋士」については
こちらの記事にも書いたので、
合わせてどうぞ↓
「リボーンの棋士」第4巻の感想~アマ竜皇戦決勝の2つのテーマ~
「リボーンの棋士」5巻の感想~ストーリーの3つの見どころ~
「リボーンの棋士」6巻の感想~将棋は負けても意味がある?~
「リボーンの棋士」7巻(最終巻)の感想~迷ったら苦しい方を選べ~/a>
「リボーンの棋士」の紹介
「リボーンの棋士」は
週刊ビッグコミックスピリッツで
現在も連載中。
単行本は2巻まで出ています↓
作者は鍋倉夫さんで、
棋譜監修は
現在のアマ名人の
鈴木肇さん。
プロ棋士ではなくアマチュアが
棋譜監修をするというのは
珍しいことです。
鈴木肇さんも
主人公の安住と同様に
奨励会を退会しており、
そういった縁から
監修をしているのでしょう。
物語の主人公は
奨励会を年齢制限で退会した
安住浩一(あずみこういち)。
一度は将棋を忘れようとした
安住さんが再び将棋を再開し、
アマチュアで頂上を目指す
というストーリーです。
「リボーンの棋士」で
大きな存在感を放っているのが、
「プロ編入試験」。
将棋のプロ棋士になるためには、
基本的にはプロ養成期間である
「奨励会」に入って
段位を上げていき、
年齢制限の26歳までに
四段になる必要があります。
しかし、
「プロ編入試験」であれば
アマチュアから奨励会を経ないで
プロ棋士になれる
可能性があるのです。
挑戦できなかった片桐豊
「プロ編入試験」によって
プロ棋士になることを
目指しているのが、
片桐豊です。
「アマチュア竜皇戦」の
東京都予選で
主人公と片桐は出会い、
対戦することになります。
片桐は
アマ名人、支部名人、「アマ王匠」
のアマ三冠で、
プロ相手にも5割の勝率。
将棋でアマチュア最強で
あるだけでなく、
東大卒で
「三紅商事」のエリートサラリーマンであり、
周囲からは「勝ち組」と
言われています。
しかし、
周囲からの評価とは反対に、
片桐は自分の人生には
まったく満足していませんでした。
その理由は、
過去に奨励会に
挑戦できなかったから。
そのことが
片桐の心の中はずっとあり、
どれだけ輝かしい
経歴を積み上げたとしても
納得できないのです。
主人公の安住や
同じく元奨励会員の
土屋貴志(つちやたかし)も
プロ棋士になれなかった
という意味では
片桐と同じです。
違うのは、
安住や土屋が
「奨励会に入って、
プロ棋士になろうと
挑戦して努力し、
そして実現できなかった」
ということ。
片桐はそもそも
「挑戦することすら
できなかった」
のです。
子に挑戦をさせない親心
なぜ片桐は挑戦すらできなかったのか。
つまり、奨励会に入るための試験を
なぜ受けられなかったのかというと、
それは親の影響です。
片桐は小学生のころに
子供将棋大会で優勝し、
「将棋のプロになりたい」と
考えるようなります。
ところが父親は
聞く耳を持ちません。
「今将来のことを決めるのは早い」
「今のお前には中学受験という
大事な仕事があるだろう」
「中学生名人になったら、
またその時考えよう」
と言うのです。
その言葉を信じて
中学に入ってからも
片桐は努力を続け、
ついに中学生名人になります。
しかし、父親の考えは
まったく変わりませんでした。
「将棋は趣味でだって
続けられるじゃないか」
「今、将来を決めるなんて早すぎるよ」
「俺は、お前が後悔する姿を
見たくないんだよ」
と語り、
片桐が奨励会試験を受けることは
認められなかったのです。
実際には
プロ棋士を目指すのは
中学生からでも
遅いぐらいです。
「早すぎる」という
父親の意見は、
実情を知る片桐にとっては
まったく的外れなものでした。
奨励会に入ることを
あきらめた片桐は
こう考えます。
別に父さんのことは憎んでない。
俺の幸せを願ってくれてる…
悪い人間じゃない。
ただ俺のことを何も理解してなかった。
自分の器でしか人を測れない人なんだ。
片桐の父親のように、
親が子どもの挑戦を止める
というのは
よくあることです。
しかもそれは
親が意地悪をしようと
しているのではなく、
本気で子どものことを
大切に思っているからこそ、
挑戦を止めようとするのです。
そんな親心がが理解できる
賢い子どもほど
自分の挑戦をあきらめてしまうのが、
辛いところです。
登場した時点では
30代半ばぐらいの年齢
となった片桐。
おそらく父親からすれば
大成功に見える人生を
歩んでいるのでしょう。
過去に息子にしたアドバイスは
正しかったのだと、
父親は信じて疑わないはず。
けれど実際には、
片桐の頭の中は
後悔でいっぱいなのです。
後悔しない人生にするために
後悔しない人生にするためには、
どうすればいいのでしょうか。
自分の人生に
満足できるかどうかは、
「高い年収」や
「全国大会優勝」のように、
「誰の目から見てもわかる
価値あるもの」
によっては決まりません。
そうではなくて、
「自分が価値を感じるものを
手に入れられたか」
「自分が価値を感じる
行動をとれたか」
によって決まるのでは
ないでしょうか。
片桐にとってはそれが
「奨励会試験を受ける」
ということだったのです。
奨励会試験を受けたとしても、
合格して奨励会に入れたかは
わかりません。
奨励会に入れたとしても、
全国から集まった
「天才少年」たちとの競争に勝って
プロ棋士になれたかどうかは、
さらに予想がつきません。
それどころか現実を見れば、
安住や土屋のように
プロ棋士になれなかった可能性が
高いのです。
でも、片桐にとっては
「プロ棋士になれたかどうか」
は大した問題ではなかった。
「挑戦する」こと自体が
重要だったのです。
そのことが
当時から片桐には
わかっていました。
わかっていたのに
親に意見をして説得するなどの
行動が取れなかったから、
後悔しているわけです。
片桐の父親にとっては
将棋なんて
遊びに過ぎませんでしたが、
片桐にとっては
何よりも大切なものでした。
「何が重要なことなのか」
「何に価値を感じるのか」
は人によって違います。
親と子どもでも違います。
だから、
親などの他人の基準ではなく、
自分の基準で選ぶことが
大切なのです。
私の片桐への共感
私は片桐の思いに共感しました。
私は「起業したい」という思いが
以前からあったものの、
それに向けて
具体的な行動を起こさないまま、
周囲に流されて
会社員となりました。
そして、
今まで挑戦しなかったことを
後悔していました。
現在では会社を辞め、
起業に向けて
準備を進めています。
そんな今の私の状況だからこそ、
「挑戦しなかった」という思いを抱える
片桐に共感したのでしょう。
「リボーンの棋士」の主人公は
「挑戦して失敗した」
という過去を持つ
安住です。
ですが「リボーンの棋士」には
主人公以外にも
色々な立場のキャラクターが
登場して、
その内面が掘り下げられます。
そうした多様な登場人物たちに
読者が自分の姿を
重ねられることが
この作品の魅力なのだと、
私は感じています。
まとめ
「リボーンの棋士」の
片桐豊への共感について
書きました。
過去に挑戦しなかったことを
後悔している片桐。
後悔しない人生のためには、
「親などの他人に何と言われようと
自分が大事だと感じることをやる」
ことが必要です。
そんな片桐も
「プロ編入試験」の
報道を見てからは、
自分の人生を変えることに
挑戦しています。
その姿に勇気をもらいつつ、
私も自分の挑戦を
続けていきます。
「リボーンの棋士」については
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