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藤井聡太さんの呼び方の変化を9段階に分けてわかりやすく解説

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藤井聡太さんの呼び方の変化を解説

「藤井聡太さんの呼び方は、見るたびに違う気がする」
「藤井聡太さんの正式な呼び方は?」
「将棋の棋士の呼び方にはルールがある?」

こうした疑問をお持ちではないでしょうか。藤井聡太さんを含めて、将棋の棋士をどう呼ぶかには、明確なルールが定められています。ただ説明されても「複雑でわかりにくい」と感じる方が多いようです。

そこで将棋歴15年以上でアマ四段の私が、藤井聡太さんの呼び方の変化について、9段階に分けてわかりやすく解説します。この記事でお伝えする内容は以下通りです。

  • 藤井聡太さんの呼び方の一覧表
  • 呼び方が変わった理由
  • 呼び方のルール

最後まで読めば、藤井聡太さんの呼び方の変化について、正しい知識を身につけられます。さらに今後に呼び方が変わったときには、その理由が人に説明できるようになるでしょう。

現在の藤井聡太さんの正式な呼び方は「藤井聡太竜王・名人」です。「藤井聡太七冠」は間違いとまでは言えないものの、正式な呼び方ではありません。

なお、これ以外の呼び方をすることもあります。たとえば、王将戦のタイトル防衛戦についての報道では「藤井聡太王将」と呼ぶのが正しいです。

呼び方のルールはこちらの記事でも解説しているので、ぜひあわせてお読みください。

目次

藤井聡太さんの呼び方の一覧表

「とにかく早く知りたい!」という方のために、主な情報を一覧表にまとめました。

スクロールできます
段階呼び方この呼び方になった日日数呼び方が変わった理由
1藤井聡太四段2016年10月1日488日プロ棋士としてデビュー
2藤井聡太五段2018年2月1日16日順位戦でC級1組に昇級
3藤井聡太六段2018年2月17日90日朝日杯将棋オープン戦で優勝
4藤井聡太七段2018年5月18日790日竜王戦ランキング戦で連続昇級
5藤井聡太棋聖2020年7月16日35日棋聖のタイトルを獲得
6藤井聡太二冠2020年8月20日389日王位のタイトルを獲得
7藤井聡太三冠2021年9月13日61日叡王のタイトルを獲得
8藤井聡太竜王2021年11月13日565日竜王のタイトルを獲得
9藤井聡太竜王・名人2023年6月1日継続中名人のタイトルを獲得

それぞれの呼び方の変化について、詳しく解説していきます。

藤井聡太さんが段位で呼ばれていた時期の呼び方

藤井聡太さんが段位で呼ばれていた時期

タイトルを獲得していない将棋の棋士は、段位で呼ばれます。

まずは段位で呼ばれていた時期の藤井聡太さんの呼び方を、順番に追っていきましょう。

1.藤井聡太四段

【藤井聡太四段の呼び方の基本情報】

  • 理由:プロ棋士としてデビュー
  • 期間:2016年10月1日〜2018年2月1日
  • 日数:488日

プロ棋士になると、最初はみんな四段からスタートします。

藤井聡太さんはデビューから29連勝という、ものすごい記録を作りました。ただし、どれだけ連勝したとしても、それを理由に呼び方が変わることはありません。

四段の時期は1年以上つづきました。

2.藤井聡太五段

【藤井聡太五段の呼び方の基本情報】

  • 理由:順位戦でC級1組に昇級
  • 期間:2018年2月1日〜2018年2月17日
  • 日数:16日

将棋界では、段位が上がるルールは色々あります。その中でもいちばんシンプルでわかりやすいのが、順位戦の昇級による昇段です。

順位戦には5つのクラスがあり、同じクラスの棋士どうしで1年かけて10局程度を戦います。そして、その成績によってクラスが上がったり下がったりするのです。

各クラスに昇級したとき、段位は以下のようになると決められています。

【順位戦のクラスと段位】

  • A級:八段
  • B級1組:七段
  • B級2組:六段
  • C級1組:五段
  • C級2組:四段(プロ棋士としてデビュー)

藤井聡太さんは初めて参加したC級2組順位戦で、開幕から9連勝しました。順位戦の一番下のクラスであるC級2組では、成績上位3人が昇級する決まりになっています。

藤井さんが9連勝した時点では、藤井さんのC級2組の対局はあと1つ残っていました。けれど残りの対局の勝敗に関わらず、上位3人に入ることは確定しました。

前述のとおり「C級1組に昇級したら五段になる」という規定があるため、藤井さんは9連勝を決めた対局の日から「藤井聡太五段」と呼ばれることになったのです。

しかし藤井五段と呼ばれる時期は、わずか16日間しか続きませんでした。すぐに六段に昇段したからです。

3.藤井聡太六段

【藤井聡太六段の呼び方の基本情報】

  • 理由:朝日杯将棋オープン戦で優勝
  • 期間:2018年2月17日〜2018年5月18日
  • 日数:90日

2018年2月17日、藤井聡太さんは「朝日杯将棋オープン戦」で優勝しました。準決勝で羽生善治竜王(当時)を破っての劇的な優勝でした。

「朝日杯将棋オープン戦」は、ほぼすべての棋士が参加して、優勝を争うトーナメントです。このような棋戦は「全棋士参加棋戦」と呼ばれます。

若手など特定の棋士しか出場資格がない棋戦もあるので、区別するために「全棋士参加」という言い方をするわけです。

「全棋士参加棋戦で優勝した五段の棋士は、六段になる」という規定があるため、藤井さんは六段に昇段して「藤井聡太六段」と呼ばれることになりました。

ただし、藤井六段の時期もたったの3ヶ月ほどしか続きませんでした。またすぐに昇段したからです。

4.藤井聡太七段

【藤井聡太七段の呼び方の基本情報】

  • 理由:竜王戦ランキング戦で連続昇級
  • 期間:2018年5月18日〜2020年7月16日
  • 日数:790日

昇段に関する規定には、竜王戦に関するものもあります。竜王戦は1組〜6組に分かれていて、1年ごとに成績に応じて昇級や降級をする仕組みです。

そして「六段以下の棋士が2期連続で昇級したら、1つ昇段する」という規定があります。

藤井聡太さんは2017年にいちばん下のクラスの6組で優勝し、5組に昇級していました。そして2018年5月18日、5組の準決勝の対局に勝って、4組への昇級を確定させました。

2期連続の昇級となったので昇段して、「藤井聡太七段」と呼ばれるようになったのです。

藤井聡太七段の呼び方は、タイトルを獲得するまで2年以上も続きました。次々に呼び方が変わる藤井聡太さんにとって、いまのところ「藤井聡太七段」が最も期間が長い呼び方です。

タイトルホルダーとなった藤井聡太さんの呼び方

タイトルホルダーとなった藤井聡太さん

ここからはタイトルの獲得によって、藤井聡太さんの呼び方が変わっていきます。

タイトルによって呼び方がどう変わるのか、特殊なルールもあるので合わせて解説します。

5.藤井聡太棋聖

藤井聡太棋聖の呼び方の基本情報】

  • 理由:棋聖のタイトルを獲得
  • 期間:2020年7月16日〜2020年8月20日
  • 日数:35日

2020年7月16日、藤井聡太さんは渡辺明棋聖(当時)に勝って、初タイトルの棋聖を獲得しました。

タイトルを持つ棋士は段位ではなくタイトル名で呼ばれるので、「藤井聡太棋聖」と呼ばれるようになりました。

ただし藤井棋聖の呼び方は、たったの35日しか続きませんでした。すぐに別のタイトルも獲得したからです。

6.藤井聡太二冠(王位・棋聖)

【藤井聡太二冠の呼び方の基本情報】

  • 理由:王位のタイトルを獲得
  • 期間:2020年8月20日〜2021年9月13日
  • 日数:389日

2020年8月20日、藤井聡太さんは木村一基王位(当時)に勝って、王位のタイトルを獲得しました。

これにより藤井聡太さんの呼び方は「藤井聡太二冠」となりました。だだし「藤井聡太王位・棋聖」も間違いではない正式な呼び方で、これはどちらでも良いです。

ただしタイトルを並べる場合は、タイトルの「格」に注意が必要です。王位の方が棋聖よりも格上のタイトルなので、順番を先にして藤井王位・棋聖としなければいけません。「藤井棋聖・王位」という呼び方は間違いです。

将棋の八大タイトルの序列は以下の通りです。

【将棋のタイトルの序列】

  1. 竜王(特別に格が高い)
  2. 名人(特別に格が高い)
  3. 王位
  4. 叡王
  5. 王座
  6. 棋王
  7. 王将
  8. 棋聖

7.藤井聡太三冠(王位・叡王・棋聖)

【藤井聡太三冠の呼び方の基本情報】

  • 理由:叡王のタイトルを獲得
  • 期間:2021年9月13日〜2021年11月13日
  • 日数:61日

2021年9月13日、藤井聡太さんは豊島将之叡王(当時)に勝って、叡王のタイトルを獲得しました。

これにより呼び方は「藤井聡太三冠」となりました。

なお「藤井聡太王位・叡王・棋聖」も正しい呼び方なので、どちらでも問題ありません。タイトルの序列は高い順に王位、叡王、棋聖なので、この順番が大切です。

もう少し深い解説をしておくと、タイトル戦の防衛戦を戦うときには、そのタイトルが優先して呼ばれます。つまり藤井三冠を例にすると、それぞれのタイトル戦においては、以下のように呼び方が変わるのです。

【呼び方が変わる例】

  • 王位戦の防衛戦:藤井聡太王位
  • 叡王戦の防衛戦:藤井聡太叡王
  • 棋聖戦の防衛戦:藤井聡太棋聖

8. 藤井聡太竜王

【藤井聡太竜王の呼び方の基本情報】

  • 理由:竜王のタイトルを獲得
  • 期間:2021年11月13日〜2023年6月1日
  • 日数:565日

2021年11月13日、藤井聡太さんは豊島将之竜王(当時)に勝って、竜王のタイトルを獲得しました。

これにより呼び方は「藤井聡太竜王」となりました。「どうして藤井聡太四冠と呼ばないんだ!」と思われるかもしれません。ここが重要なポイントです。

チェックポイント

将棋界のタイトルは8つあり、その中で竜王と名人のタイトルは別格として扱われています。

そのため竜王か名人のタイトルを持つ棋士は、他に保有しているタイトルがあったとしても、竜王か名人と呼ばれるのです。

ちなみに竜王と名人のタイトルを両方持っていると「竜王・名人」と呼ばれます。

これまで藤井聡太さんは、タイトルを獲得するたびに呼び方が変わってきました。しかし、竜王のタイトルを獲得したからには、もう呼び方は竜王と名人以外のタイトルには左右されません

2022年2月には「王将」のタイトルを獲得して、藤井聡太さんは五冠となりました。さらに2023年3月に「棋王」のタイトルを獲得して六冠。しかし、正式な呼び方は「竜王」のままでした。

9. 藤井聡太竜王・名人

【藤井聡太竜王・名人の呼び方の基本情報】

  • 理由:名人のタイトルを獲得
  • 期間:2023年6月1日〜現在
  • 日数:継続中

2023年6月1日、藤井聡太さんは渡辺明名人(当時)に勝って、名人のタイトルを獲得しました。

これにより呼び方は「藤井聡太竜王・名人」となりました。タイトル数を見れば「七冠」でしたが、それは正式な呼び方ではありません。

2023年10月11日には、王座のタイトルを獲得して、ついに「八冠制覇」を達成。2024年6月20日には叡王のタイトルを失って七冠となりました。しかし、正式な呼び方は変わりません。次に変わるタイミングは、以下の2つのどちらかだけです。

  1. 竜王のタイトルを失った場合
    • 藤井聡太名人
  2. 名人のタイトルを失った場合
    • 藤井聡太竜王

「竜王・名人」の呼び方がいつまで続くことになるのか、藤井聡太さんの活躍を楽しみにしています。

まとめ:藤井聡太さんの呼び方の9段階

最後にあらためて藤井聡太さんの呼び方の9段階をまとめると、以下の通りです。

【藤井聡太さんの呼び方の9段階】

  1. 藤井聡太四段
  2. 藤井聡太五段
  3. 藤井聡太六段
  4. 藤井聡太七段
  5. 藤井聡太棋聖
  6. 藤井聡太二冠(王位・棋聖)
  7. 藤井聡太三冠(王位・叡王・棋聖)
  8. 藤井聡太竜王
  9. 藤井聡太竜王・名人

呼び方のルールを知っておくと、将棋観戦がよりおもしろくなると思います。

他にも将棋界の知識をわかりやすく解説した記事を書いているので、よかったらあわせてお読みください。

藤井聡太さんの呼び方の変化を解説

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