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将棋の棋士の呼び方(タイトル、永世称号、段位)のルールを整理

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将棋の棋士の呼び方

将棋の棋士の名前の後にどんな呼び方が付くのかは、ルールがわかりにくいですよね。たとえばこんな呼び方があります。

  • 藤井聡太「竜王・名人」
  • 羽生善治「九段」

藤井さんは八冠をすべて制覇したはずなのに、どうして「八冠」ではなく「竜王・名人」と呼ぶのか、といった疑問もわいてくるでしょう。どう呼ぶのが正解なのか、迷ってしまいます。

そこで将棋歴15年以上でアマ四段の筆者が、将棋の棋士を呼ぶ際のルールを整理して、わかりやすくまとめました。最後まで読めば、棋士の呼び方のルールをばっちり理解できるでしょう。

最初に結論を書いておくと、棋士の呼び方の優先順位は以下のように決まっています。

将棋棋士の呼び方の優先順位
  1. 竜王と名人
  2. 竜王と名人以外のタイトル(序列順)
  3. 永世称号
  4. 段位

なお藤井聡太さんの呼び方については、以下の記事で徹底的に解説しました。ぜひあわせてお読みください。

目次

タイトルの名称と段位

タイトルの名称と段位

たいていの場合、将棋の棋士の名前の後には「○段」という段位が付きます。羽生善治九段、斎藤慎太郎八段といったぐあいです。

その一方で、段位ではなく別の呼び方が付く場合もあります。代表的なのが、タイトルの名称(称号)が付く場合です。タイトルを持っている棋士は、名前の後ろに段位ではなくタイトルの名称を付けて呼ばれます。

タイトルの称号の場合は、タイトルを獲得した日から翌年のタイトル戦が決着するまでの約1年間、その称号を名乗る仕組みです。翌年にタイトルを防衛すれば、引きつづき称号を名乗れます。

タイトルを名乗っている間も、段位自体がなくなってしまうわけではなく、段位も持ちつづけています。そしてタイトルを失ったときには、また段位で呼ばれるようになるのです。

ここまでは基本です。やっかいなのがタイトルで呼ぶ場合にも細かいルールがあることなので、詳しく解説していきます。

タイトルの序列

プロ将棋界には現在8つのタイトルがありますが、タイトルには「序列」が存在します。どのタイトルが格上かが明確に決まっているのです。

この序列は、主催者が優勝賞金や対局料などのお金をどれだけ出したかによって決まっています。8つのタイトルを序列順に並べると以下の通りです。

タイトルの序列
  1. 竜王(りゅうおう)
  2. 名人(めいじん)
  3. 王位(おうい)
  4. 叡王(えいおう)
  5. 王座(おうざ)
  6. 棋王(きおう)
  7. 王将(おうしょう)
  8. 棋聖(きせい)

この中でも、棋士の呼び方において注意が必要なのが「竜王」と「名人」の扱いです。この2つのタイトルは特別に格が高いとされています。そのため複数のタイトルを持っている場合でも、「竜王」と「名人」が優先されるというルールがあるのです。

たとえば現在、藤井聡太さんは竜王、名人、王位、棋王、叡王、王座、王将、棋聖という8つのタイトルを保持しています。この場合は竜王と名人のタイトルが含まれているので、藤井竜王・名人と呼ぶのです。

藤井八冠といった呼び方は、間違いとまでは言えないものの、正式ではありせん。竜王と名人を持つ棋士はあくまでも「竜王・名人」と呼ぶのが正しいです。

もし藤井さんが他のタイトルを持つこと明示したければ、藤井竜王・名人(王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖)という表記をします。

ここまで書いてきたように「竜王」と「名人」が優先というルールがまず前提です。そのうえで竜王と名人以外のタイトルを複数持っている場合には、保有タイトル数に応じて「二冠」や「三冠」などと呼びます。

たとえば藤井聡太さんが王位、叡王、棋聖の3つのタイトルを持っていたときには、藤井三冠と呼ばれていました。なお「三冠」とは言わず、藤井王位・叡王・棋聖と称号を並べて呼ぶのも問題ないです。

「王位・叡王・棋聖」なのか「三冠」なのかは、どちらでもかまいません。タイトル戦の主催者としては、称号を並べて呼んでもらった方がタイトル名のアピールになるので、ありがたいだろうなとは思います。

ただし称号を並べるときには順番が大事で、必ず序列の順番に並べて呼びます。序列を無視して藤井「叡王・棋聖・王位」などと呼ぶことはありません。

なお2012年12月に、叡王戦の序列は6位から4位に上がったようです。本記事にも反映してあります。

棋戦の中ではその称号が最優先

棋戦の中ではその称号が最優先

もうひとつ忘れてはいけない決まりがあります。それは棋戦の中に限ってはその棋戦の称号が最優先ということです。

たとえば、藤井聡太さんが叡王戦の防衛戦を戦う場合。このとき叡王戦の中では、通常の呼び方の藤井竜王・名人ではなく「藤井叡王」という呼び方になるのです。

叡王だけでなく他のタイトルも持っていることをはっきりさせたい場合は、藤井叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖)と表記することもあります。ともかくその棋戦の中に限っては、その棋戦のタイトルが一番格上の扱いとなるわけです。

なおこのルールは、タイトル戦の番勝負に限った話ではありません。その棋戦に関する取材などを受ける場合にも、棋戦のタイトルが優先されます。

たとえば、タイトル保持者として棋聖戦の挑戦者を予想するコメントをするとします。そのときには藤井竜王・名人ではなく藤井棋聖と呼ばれたうえで、コメントが掲載されるのです。

引退後に名乗る「永世称号」

棋士の呼び方としては、タイトルの「永世称号」もあります。永世称号とは、タイトルを規定の回数だけ「通算」または「連続」で保持した棋士に贈られる称号です。永世称号を序列順に並べると、以下の通りです。

タイトルの永世称号
  1. 永世竜王
  2. ○世名人(例:中原誠十六世名人)
  3. 永世王位
  4. 永世叡王
  5. 名誉王座
  6. 永世棋王
  7. 永世王将
  8. 永世棋聖

将棋のタイトルは1回獲得するだけでも大変なのに、永世称号まで持つのは本当にすごいことです。それだけに、永世称号を持つ棋士は数えるほどしかいません。

呼び方での永世称号の優先順位は、タイトルより下、段位より上です。つまり「現在はタイトルを持っていないけれど永世称号は持っている」という棋士の場合、段位ではなく永世称号で呼びます。

ただし永世称号は現役引退後に名乗るものとされているので、注意が必要です。たとえば佐藤康光さんは「永世棋聖」を名乗る権利を持っていますが、現在は佐藤康光「九段」と呼ばれています。羽生善治さんは「永世叡王」以外の7つの永世称号の権利を獲得済みですが、やはり羽生善治「九段」です。

しかし実際のところ、「引退後に名乗る」というのはルールとして徹底されているわけではなく、わりとゆるい決まりのようです。現役のうちから永世称号を名乗った例も、過去にはいくつかあります。たとえば大山康晴「十五世名人」、米長邦雄「永世棋聖」などがそうです。

現在、現役のまま永世称号を名乗っている棋士は、谷川浩司十七世名人のみです。2022年5月23日付で襲位しました。

永世称号を襲位して呼び方が変わる棋士は、今後また現れる可能性があります。

現在は使われない「前名人」と「前竜王」

現在は使われない「前名人」と「前竜王」

竜王と名人はタイトルの中でも別格だと書きましたが、かつてはタイトルを失った後にも特別な扱いが用意されていました。現在は使われていないのですが、これについても説明します。

名人戦と竜王戦では、翌年のタイトル戦が終了するまでは「前竜王」「前名人」という称号を名乗る権利があったのです。「前竜王」や「前名人」の呼び方の優先順位としては、「棋聖」などの他のタイトル称号より下、永世称号よりは上という位置でした。

ただし、権利を持っているにも関わらず、近年では「前竜王」や「前名人」を名乗る棋士はいませんでした。「前竜王」や「前名人」という呼び方を選ばない棋士が多かったのは、過去の栄光にしがみついている感じがするからではないかと私は思っています。

2020年2月、日本将棋連盟は「前竜王」「前名人」の肩書を廃止すると発表しました。20年以上にわたってこの称号を名乗る棋士がいなかったためです。

「前竜王」の称号についてはこんなエピソードもあります。2018年に羽生善治さんが竜王のタイトルを失い、27年ぶりの無冠となったとき。永世称号を7つ持つなど圧倒的な実績のある羽生さんが羽生「九段」という呼び方になってしまっていいのか、と話題になったのです。

羽生「前竜王」と名乗る権利は当然ありましたし、他にも羽生「永世七冠」など特別な呼び方を用意したらどうかという意見もありました。ただ羽生さん自身は「九段」以外の呼び方を名乗る気はまったくなかったようで、羽生「九段」という呼び方にあっさり決まったのです。

まとめ

将棋棋士の呼び方の優先順位
  1. 竜王と名人
  2. 竜王と名人以外のタイトル(序列順)
  3. 永世称号
  4. 段位

ただし、棋戦の中に限ってはその棋戦の称号が優先されます。こうしたルールがあるので、将棋を観戦をするときの参考にしてみてください。

将棋の棋士の呼び方

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