将棋のタイトル戦の予選は
仕組みがわかりにくいですよね。
タイトル戦は8つもあって、
それぞれ予選の仕組みはバラバラ。
そこで、予選が「トーナメント戦」なのか
「リーグ戦」なのかに注目して、
八大タイトルの予選を分類してみました。
さらに、同じ方式の中でも細かい違いがあるので、
その点も紹介します。
将棋の八大タイトル戦に共通する流れ
現在、将棋界にはタイトル戦が8つあります。
どのタイトル戦にも共通しているのは、
以下の流れです。
- 挑戦者を一人決める
- 挑戦者とタイトルホルダーが番勝負を戦う
- 勝った方が新しいタイトルホルダーになる
- 次の年の挑戦者を一人決める
- (以下、毎年繰り返し)
タイトル戦が始まってしまえば、
「勝ったほうがタイトルを取る」ということで
とてもわかりやすい。
ただ、わかりくいのは
「どうやって挑戦者を決めるのか」
という部分。
これを整理してみます。
なお、本記事では「挑戦者を決める過程」のことを
「予選」と呼ぶことにします。
タイトル戦はそれぞれ
「本戦」や「決勝」など色々な呼び方をしたりしますが、
そこはひとまず無視です。
トーナメント戦かリーグ戦か
タイトルの予選の仕組みはバラバラですが、
挑戦者の決め方は大きく分けて2通りしかありません。
それが「トーナメント戦」か「リーグ戦」かです。
この基準で八大タイトルを分類すると
以下のようになります。
- 竜王戦
- 王座戦
- 棋王戦
- 叡王戦
- 棋聖戦
- 名人戦
- 王位戦
- 王将戦
これで八大タイトルが5つと3つに
おおかまに分類できました。
ただ、同じグループでも
それぞれに違いがあるので、
さらに細かく分類してわかりやすくしてみます。
- 1回でも負けたら終わり
- 王座戦
- 叡王戦
- 棋聖戦
- 1回負けてもチャンスはある
- 竜王戦
- 棋王戦
- リーグ戦しかない
- 順位戦
- リーグ戦の前にトーナメント戦もある
- 王位戦
- 王将戦
これらについて、詳しく見てみましょう。
予選がトーナメント戦だけの将棋のタイトル戦
①1回でも負けたら終わり:王座戦、叡王戦、棋聖戦
一番シンプルでわかりやすいのが、この挑戦者の決め方。
王座戦と叡王戦、棋聖戦が採用しています。
どんどんトーナメント戦を勝ち上がっていって、
負けたらそこで即終了。
最後まで勝ち続けた人が挑戦者になります。
②1回負けてもチャンスはある:竜王戦、棋王戦
「1回まけたら即終了」では厳し過ぎるし面白くないと判断したのか、
もう少しトーナメント戦の仕組みを複雑にしているのが
竜王戦と棋王戦です。
棋王戦の場合は、敗者復活戦が用意されています。
ベスト4まで到達した人は、
それ以降は1敗することが許されるという仕組みです。
この仕組みがあるので、
挑戦者決定戦は必ず「一度も負けていない人」と
「敗者復活戦で勝ち上がってきた人」の対戦となり、
挑戦者決定戦は「二番勝負」となります。
「一度も負けていない人」は1回勝てばそれで挑戦者。
「敗者復活戦で勝ち上がってきた人」が1回勝てばもう一局行い、
改めてそこでの勝者がタイトル挑戦者となれます。
竜王戦の仕組みはかなり特殊ですが、
あくまでもトーナメント戦だけで、
リーグ戦は行わないことは特徴と言えます。
竜王戦の仕組みについて詳しくは、
こちらの記事をどうぞ。
予選でリーグ戦もある将棋のタイトル戦
①リーグ戦しかない:名人戦
予選のすべての対局がリーグ戦であるタイトル戦はただひとつ、
「名人戦」だけです。
そして、そのリーグ戦は「順位戦」と呼ばれます。
順位戦は序列がある5つのリーグに分けられていて、
毎年の成績によって昇級したり降級したりします。
そして、一番格上の「A級」で優勝した人が
挑戦者となります。
「順位戦」の仕組みについては、
こちらの記事に詳しく書いています。
②リーグ戦の前にトーナメント戦もある:王位戦、王将戦
リーグ戦には対局の数が多くなるという
欠点があります。
そこでその欠点をカバーするため、
まずはトーナメント戦で人数を厳選してから
リーグ戦をやろうという方式があります。
これを採用しているのが「王位戦」と「王将戦」。
この2つのタイトル戦の大きな違いは、
リーグの数です。
まず仕組みとしてシンプルなのが「王将戦」。
「王将戦」ではリーグは1つだけで、
そのリーグで優勝した人が挑戦者となります。
「王位戦」の場合はリーグが2つあります。
図で描くとこんな感じです。
「王位戦」の予選全体の流れとしては、以下の通りです。
- リーグに入る人をトーナメントで決める
- 2つのリーグでそれぞれ優勝者を決める
- 優勝者どうしで1局指し、勝った方が挑戦者
苦労してリーグ戦で優勝しても挑戦者になれず、
さらにその後に「挑戦者決定戦」があるのが
王位戦の特徴です。
王位戦について詳しくは
こちらの記事をどうぞ。
まとめ
八大タイトル戦の予選の仕組みについて、
一通り紹介しました。
「トーナメント戦」なのか「リーグ戦」なのかが
一番大きな違いなので、
まずはそこを押さえてから
だんだんと細かい違いを押さえていくのが
理解しやすいです。
今回はあまり細かいところまで踏み込みませんでしたが、
それぞれのタイトル戦の仕組みについては
詳細に解説した記事を別に書いています。
あわせてお読みください。