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叡王戦の仕組みまとめ~段位別予選、本戦、タイトル戦~

 
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

叡王戦の仕組みについて、まとめてみました。

段位別予選、本戦、タイトル戦という流れで
叡王戦は行われます。

他のタイトル戦にはない特徴が
たくさん盛り込まれた叡王戦は、
新しいワクワクがたくさんある一方で、
往年の将棋ファンには
斬新すぎてとまどう部分もあります。

叡王戦の仕組みをつかんで、
将棋観戦をより楽しみましょう。

段位別予選、他にはない制度

まず叡王戦の予選には、
他の棋戦にはない特徴があります。

それは、予選が段位別に行われるということ。

同じ段位の棋士どうしでトーナメント戦を戦い、
勝ち抜いた棋士が本戦に進出するのです。

他の棋戦では対戦の組み合わせで
順位戦のクラスなどが考慮されますが
段位は気にしないので、
叡王戦の仕組みはとてもユニークです。

別の見方をすると、
数年前に新しくできた棋戦である叡王戦は、
他の棋戦との違いを出すために
独自の仕組みを採用していると言えます。

 

今年度の第4期では、
各段位ごとに本戦に進出できる棋士の人数は
以下のように決められています↓

九段:4人(24人中)
八段:3人(25人中)
七段:3人(39人中)
六段:3人(30人中)
五段:2人(22人中)
四段:1人(17人中)

 

基本的には段位が高い棋士ほど、
本戦進出のチャンスが多い
ように
人数が調整されています。

段位別の予選を見ていて面白いのが、
九段戦や八段戦で
普段は見ないような組み合わせが実現すること。

それが、トップ棋士とベテラン棋士の対局です。

 

将棋のプロの段位は下がることがないので、
昔活躍して九段や八段になった棋士は、
年齢とともに力が衰えたとしても
九段や八段のままです。

そうしたベテラン棋士が
今まさにバリバリと活躍しているトップ棋士と
対戦する機会というのは、
実はあまりありません。

そういう珍しい組み合わせの対局が見られるのは、
段位別予選の大きな魅力ですね。

本戦、シードなしで全員のくじ引き

本戦で特徴的なのが、
組み合わせでシードがなく、
完全にくじ引きで決まる
こと。

なぜこれが珍しいかといえば、
普通は「予選免除棋士」を優遇するから。

 

叡王戦でも他のタイトル戦でも
「予選免除棋士」が何人か存在します。

第4期叡王戦では「予選免除棋士」は
前期ベスト4以上(3人)と
タイトルホルダー(序列順で上から5人)
です。

該当者は以下の通り↓

金井恒太(前期挑戦者)
丸山忠久(前期ベスト4)
行久尚史(前期ベスト4)
羽生善治(竜王)
佐藤天彦(名人)
菅井竜也(王位)
中村太地(王座)
渡辺明(棋王)

 

こうした立場の棋士、特に「前期ベスト4以上」の棋士は
トーナメントの最初の方で当たらないように
位置が考慮されるのが普通です。

つまり、「前期ベスト4以上」の棋士は通常、
トーナメントの4隅に配置されるのです。

しかし、叡王戦ではそういった配慮が一切なく、
本選出場者全員が平等なくじ引きで
当たりを決めていました。

ちなみに、くじ引きを行ったのは
将棋連盟理事の鈴木大介九段でした。

 

その抽選の様子もニコニコ生放送で放送されていて、
叡王戦を盛り上げようという
ニコニコの意図が感じられます。

他の棋戦では、抽選の様子が公開されることは
ありませんからね。

持ち時間も独特

タイトル戦七番勝負の持ち時間

タイトル戦の七番勝負でも、
叡王戦には他のタイトル戦にはない特徴があります。

それが、持ち時間が変動するということ。

第1局〜第6局は、2局ごとに
以下の持ち時間が行われていきます。

・1時間
・3時間
・5時間

 

しかも、対局者自身がこれらの持ち時間での対局を
どの順番で行うかを決める
ルール。

持ち時間のところでも
駆け引きの要素が加わっているのです。

そして、第7局は持ち時間6時間と、
最終局だけは持ち時間は固定となっています。

 

持ち時間が1時間の場合は
1日に2局を行う
ということで、
これも他のタイトル戦にはない
驚きの制度です。

第3期叡王戦の番勝負では
高見泰地六段が連勝して
4局で決着が付いてしまったため、
持ち時間1時間のタイトル戦を
見ることはできませんでした。

今後、「持ち時間1時間、1日に2局」の
タイトル戦を初めて見るのが楽しみです。

予選と本戦の持ち時間

予選と本戦の持ち時間、
そして対局開始時刻も独特です。

まず、予選は持ち時間1時間、本戦は3時間で、
予選と本戦で持ち時間が変わります。

この「1時間」と「3時間」というのは、
七番勝負の持ち時間でもあるのもポイントです。

トーナメントを予選から勝ち抜いた棋士は、
「この持ち時間で勝ち続けてきた」という
自信と経験値を持って
七番勝負にのぞむことができるのです。

 

そして、開始時刻も独特です。

予選の場合は、
10時〜、14時〜、19時〜
という3つのパターンがあります。

また、本戦の場合は全局15時〜で、
途中18:00〜18:40に
夕食休憩が入ります。

他の棋戦では10時〜がほとんどのところ、
あえて遅い時間に対局を始めるのは、
ネット中継を多くの人がリアルタイムで
見られるようにという工夫でしょう。

 

これによって面白いのが、
対局開始時刻が遅いと
朝に弱い棋士に有利に働くこと。

通常の対局は午前中から始まるので、
「朝は頭が働かない」という
タイプの棋士にはつらいところ。

ですが、午後や夜に対局が始まるのであれば、
むしろ夜型の棋士の強みが発揮されるのです。

 

なお、叡王戦の持ち時間は
予選、本戦、タイトル戦のすべてで
チェスクロック方式で、
持ち時間が秒単位で消費されます。

棋士は1秒もムダにできませんから、
ストップウォッチ方式で
持ち時間が分単位で消費される棋戦と比べると、
よりスピード感のある対局になります。

白鳥士郎さんのインタビュー記事は必見

現在、まさに行われている第4期叡王戦の本戦。

その本戦開幕にあたって、
すばらしいインタビューが公開されました。

それが、白鳥士郎さんによる
本戦進出者全24棋士のインタビュー

こちらから全記事が読めます↓

 

白鳥士郎さんは将棋を題材としたライトノベル
「りゅうおうのおしごと」の作者です。

24人という人数に対して
インタビューするというだけでも驚きですが、
その内容にはもっとびっくりしました。

どのインタビューも、ものすごく面白いのです。

文章の量が多くて全部読むのは大変ですが、
見逃せない内容が満載です。

 

棋士の間でも大きな話題になっているのが、
「なぜ丸山忠久は唐揚げではなくヒレカツを頼むのか?」

もともと食事へのこだわりが知られていた丸山九段ですが、
その思考が表に出ることは
これまでほとんどありませんでした。

丸山九段がこんなに多くを語るのを見るのは初めてで、
話を引き出した白鳥さんはさすがです。

 

また、私が特に面白いと感じた記事が
「なぜ行方尚史は十五番勝負を望むのか?」

朝に弱い棋士の典型の行方八段は、
叡王戦との相性は良いようです。

その行方八段が、
叡王戦の現在の持ち時間などの仕組みについて、
不満を述べたうえで改善点を提案しています。

棋士が棋戦の制度そのものについて意見を言う姿
目にする機会はほとんどないので、
「そんなことを考えているのか」
というのがわかって衝撃的でした。

また、行方八段の熱い思いが伝わってきて、
行方八段のことがよりいっそう好きになりました。

 

白鳥さんのこのインタビュー記事は、
本当にどれもオススメです。

まとめ

叡王戦は非常に独特なタイトル戦で、
他の棋戦にはない特徴がたくさんあります。

今期でタイトル戦になって二期目という
新しい棋戦なので、
持ち時間や制度は今後変更されるかもしれません。

叡王戦の斬新な試みは
将棋界に新しい風を吹き込んでくれており、
私は好意的に見ています。

叡王戦の今後に注目です。

 

 

叡王戦の仕組みは
こちらにも書いています↓

 

 

他のタイトル戦の予選については
こちらの記事に書きましたので、
合わせてどうぞ↓

 

 

個別の対局などの叡王戦の記事は
こちらにまとめてあります↓

 

 

 

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