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藤井猛九段が羽生善治九段に勝利!7年ぶりの対局を藤井システムで

 
藤井猛九段が羽生善治九段に勝利
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

藤井猛九段が羽生善治九段に勝利

藤井猛九段と羽生善治九段の
7年ぶりの対局が行われました。

2019年9月3日の
叡王戦九段予選でのことです。

この対局は
羽生九段が居飛車穴熊に
組もうとしたのに対して
藤井九段が藤井システムで
攻めかかるという、
藤井ファンには
たまらない展開となりました。

そして熱戦の末に藤井九段が勝利。

この対局を振り返ります。

7年ぶりの対局

この日、
藤井九段と羽生九段が対局するかは
直前までわかりませんでした。

羽生九段は1回戦で午後2時から
屋敷伸之九段と対戦。

これに羽生九段が勝利したことで、
午後7時からの藤井九段との対局が
実現
したのです。

 

両者の過去の対戦成績は
羽生九段の37勝に対して
藤井九段の15勝。

藤井九段が
大きく負け越しているわけですが、
そもそも同じ相手と
52局も指しているというのは
珍しいこと
です。

こんなに対局数が多いのは
タイトル戦の番勝負で
何度も対戦しているからこそ。

二人は過去に
竜王戦七番勝負を2回、
王座戦五番勝負を1回、
王位戦七番勝負を1回
戦っています。

 

対局が多かった二人ですが、
ここ数年は当たることがなく、
今回の叡王戦が
なんと7年ぶりの対局だったのです。

私自身もなんとなく
最近はこの対戦カードを
見ていない気がしていたのですが、
そんなにも間が空いていたとは
びっくりです。

前回の対戦は
羽生王位に藤井九段が挑戦した
王位戦七番勝負にまでさかのぼります。

藤井九段がA級から降級したせいで
毎年あった順位戦での対局はなくなり、
他の棋戦では偶然にも
対局がつかなかったのですね。

ひさびさの対局が実現して、
この叡王戦予選2回戦は
ファンの注目度が一気に高まりました。

藤井猛九段の藤井システム

振り駒の結果、藤井九段が後手に。

対局が始まると、
注目はまずは戦型です。

藤井九段はここ数年は
角交換振り飛車の採用が多いですが、
本局では角道を止めて
四間飛車に振りました。

これだけで
ニコニコ生放送のコメントは
「キター」とおおいに盛り上がりました。

対して羽生九段は
居飛車穴熊に組みにいきます。

それを見た藤井九段は
居玉のまま攻撃態勢を整える
「藤井システム」の構え。

これには画面上のコメントも
さらなる盛り上がり。

藤井猛ファンが
一番見たかった戦型です。

 

藤井九段が藤井システムを
生み出したころからずっと、
羽生九段は宿敵でした。

藤井システムを
正面から打ち破ろうとする羽生九段と、
藤井システムに改良を加えながら
対抗を続ける藤井九段。

その過程で、
数多くの名局が生まれました。

そんな藤井九段と羽生九段の対局で
将棋ファンが一番見たいのが
居飛車穴熊対藤井システム

それが実現したわけです。

 

対局後に特別に行われたインタビューでは、
藤井九段も
「羽生さんとひさびさにやるなら
藤井システムかなと思った」

ということを語っていました。

藤井九段とファンの思いは
重なっていたようです。

羽生善治九段の心意気

ひと口に藤井システムとはいっても、
居飛車側には
穴熊と見せかけて急戦を仕掛けるなど、
色々な作戦があります。

本局で羽生九段が選んだのは、
「▲3六歩」といったん急戦を見せて
後手が「△6二玉」と玉を動かすのを見てから
穴熊に組む指し方。

四間飛車側としては
玉を動かしてしまうと
穴熊の完成前に攻めていくのが
難しくなるので、
藤井システムの攻めを
けんせいしたわけです。

 

しかし藤井九段は、
それでも攻めにこだわりました。

その結果、
居飛車穴熊に対して
玉を囲わずにガンガン攻めるという、
最も「藤井システムらしい将棋」に。

これが見られただけでも
藤井ファンには感動ものです。

このあたりは
羽生九段の側の意志も一致しないと
この将棋にはならない
わけで、
羽生九段の心意気のようなものも
感じました。

 

こういう将棋が
公式戦で現れたことに
大きな意義があります。

将棋祭りなどでの公開対局であれば、
プロ棋士としても
勝敗にこだわる必要がないので、
こうした将棋を選びやすいです。

実際、先月行われた
「東急将棋まつり」では
藤井九段と広瀬章人竜王の対局が
本局のような展開となりました。

藤井九段が藤井システムを指せば
将棋ファンが喜ぶことは
対戦相手の棋士としてもわかっていますから、
将棋祭りのようなイベントでは
居飛車穴熊の作戦を選びやすいです。

 

でも、公式戦で指すとなれば
イベントとはわけが違います。

藤井システムを徹底的に研究している
藤井九段に対して、
居飛車穴熊に組みにいくのは
覚悟が必要
です。

それをあえてやったところに、
羽生さんの心意気を感じるわけです。

藤井システムについては
こちらの記事に詳しく書いたので
合わせてどうぞ↓

藤井九段のギリギリの踏み込み

本局は
藤井九段が「△8五桂」と跳ね、
6〜9筋で激しく攻めたてる
展開となりました。

いったんは「▲8八銀」と
ハッチを閉めた羽生九段の穴熊は、
あっという間に崩壊。

しかし、羽生玉を詰ますとなると
まだまだ大変です。

藤井システムの攻めは
常にギリギリ
なのが特徴。

歩を入手したと思ったら
すぐにその歩を打ち、
他の駒も手に入ったら
どんどん使っていきます。

そのため、攻めがつながるのか、
観ている側は不安になります。

 

羽生九段も反撃して、
どちらが勝っているのかわからない
白熱の終盤戦に。

攻めるのか受けるのか、
お互いに難しい局面の連続。

そんな中、
藤井九段が自陣を受けずに
「△8五歩」と打ち、
さらに「△8六歩」と
2手連続で攻めたのが
思い切った踏み込み

自陣がものすごく危険で
詰んでもおかしくない形。

羽生九段が王手ラッシュをかけますが、
ギリギリで詰まず。

藤井九段の勝ちとなりました。

 

感想戦を聞いていると
藤井九段も自玉が詰まないことを
読み切れていたわけではなかったようです。

それでも踏み込んでいった
藤井九段は強く、
カッコよかったです。

藤井システムのソフトの評価値

本局はニコニコ生放送で
「プレミアム会員限定評価値放送」
も行われました。

解説付きの放送とは別に、
常に将棋ソフトの評価値を
見ることができるというもの。

これはニコニコ生放送でも
今年の5月から始まった
新しい取り組みです。

評価値放送について詳しくは
こちらの記事をどうぞ↓

 

藤井九段と羽生九段が
藤井システムで名勝負を繰り広げた当時、
ネット中継はありませんでした。

藤井システムの評価値が
常に表示されるという意味でも
今回の放送は貴重。

私もちょくちょく
チェックしていました。

飛車を振るだけでソフトの評価値が下がる
というのはよく知られていますが、
実際序盤はずっと
藤井九段の方が少しマイナス。

藤井九段の攻めが始まっても
マイナスの傾向は変わりませんでした。

ソフトの判断としては、
藤井システムはムリ攻め
ということなのでしょう。

今の時代のソフトの評価値が見られて、
いい勉強になりました。

 

ただ、藤井システムの将棋は
お互いに一手間違えるだけで
すぐに負けになってしまう
こわい将棋です。

ソフトのように指し手を続けることは
普通はできないので、
ソフトの評価値は
あまりアテにならない

と言えます。

実際、終盤の戦いになると
評価値は何度も数千点も動いたので、
序盤の数百点の差は
ほぼ関係がありませんでした。

将棋ソフトが幅をきかせる将棋界にあって、
藤井システムはやはり
ロマンのある戦法だなと
私は感じました。

早指しでの藤井システムは有利

今回の対局では、
持ち時間の短さが
藤井九段に有利に働いた

という面もあります。

藤井九段は藤井システムを
徹底的に研究しているので、
序盤から中盤まで
時間をかけて考えなくても
指し進めることができます。

藤井システムのように
一手一手が勝敗に直結する将棋では、
これは大きな利点。

だからこそ、
藤井九段はNHK杯や銀河戦など
持ち時間の短い棋戦で
藤井システムを採用することが
多くなっています

テレビ棋戦で藤井システムを指すのは、
ファンサービスとと同時に
戦略的な面もあるのです。

 

本局では、
そういった事情は当然知りながら
藤井システムを堂々と迎えうった
羽生九段が立派だったと感じます。

羽生九段のおかげもあって
こんな最高の将棋を
観ることができました。

藤井九段だけでなく
羽生九段も素晴らしかったです。

藤井九段の今後の叡王戦

ものすごい将棋を
観戦することができて
私は感動しました。

タイトル戦の決着局のような
興奮がありますが、
実際にはこれはまだ叡王戦の中の
九段予選の2回戦。

藤井九段にとっては
まだ初戦
です。

 

羽生九段はタイトル通算100期まで
迫っているということもあり、
どの棋戦でも注目されています。

その羽生九段を
2回戦にして倒したからには、
藤井九段には
どんどん勝ち上がってほしいところ。

次戦に勝てば
九段予選を突破できるので、
まずはそこを目指したいです。

 

その次戦の相手は井上慶太九段。

藤井九段が藤井システムを
初めて指したときの相手

井上九段であることは有名な話。

これは何かが起こる気がします。

次の藤井九段と井上九段の対局も
目が離せません。

まとめ

藤井九段が羽生九段に
7年ぶりの対局で勝利しました。

しかも、対穴熊の藤井システムで。

私は藤井九段のファンなので、
たまらなくうれしい勝利。

堂々と居飛車穴熊に組んで
藤井システムを正面から受け止めた
羽生九段の対応も、
観戦者としては面白い将棋が見られて
ありがたかったです。

最高に盛り上がる一局となりました。

 

 

藤井システムについては
こちらの記事も合わせてどうぞ↓

 

 

 

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