中堅4棋士(松尾歩,山崎隆之,阿久津主税,橋本崇載)の不活躍が残念

中堅4棋士(松尾歩,山崎隆之,阿久津主税,橋本崇載)

松尾歩八段、山崎隆之八段、
阿久津主税八段、橋本崇載八段という
4棋士の活躍を、
私は10年ほど前から期待してきました。

しかし、若手棋士に先を越され、
未だにいずれの棋士もタイトルを
ひとつも穫れないまま。

これらの棋士を本記事中では
「中堅4棋士」と呼ぶことにして、
私が考えてきたことを書いてみます。

活躍できない「中堅4棋士」

中堅4棋士は年齢が近く、
いずれの棋士も若いときから
将来の活躍が期待されていました。

生年月日と現時点での年齢は
以下の通りです。

松尾歩:1980年3月29日(38歳)
山崎隆之:1981年2月14日(37歳)
阿久津主税:1982年6月24日(36歳)
橋本崇載:1983年3月3日 (35歳)
(年齢は2019年1月時点)

この4人は順位戦で
B級1組に昇級した時期も近くて、
以下の通り。

山崎隆之:2008年
松尾歩:2009年
橋本崇載:2011年
阿久津主税:2011年

一番上のクラスであるA級の
一歩手前のB級1組に昇級するのは大変なことで、
若い時期に昇級すれば、将来は有望。

しかし、実際には中堅4棋士は
A級へ定着できないままでいます。

橋本八段は2012年に、
阿久津八段は2014年と2018年に
A級に昇級しましたが、
いずれも1期でB級1組に降級。

そして、この2人よりも先にB級1組に到達した
山崎八段と松尾八段にいたっては、
一度もA級に昇級できていません

山崎八段と松尾八段は
B級2組に降級することもなく
ずっとB級1組をキープしており、
それはそれですごいことではありますが、
A級に上がれないのは残念です。

このように中堅4棋士は
順位戦では長年B級1組が定位置に
なってしまっているわけですが、
タイトル戦の実績はもっとひどいです。

この4棋士のうち、
タイトルに挑戦したことがあるのは
山崎隆之八段が王座に1回のみ

そして、誰一人として
タイトルを獲得できていない
のです。

「羽生世代」後もタイトルが穫れない

松尾八段、山崎八段、阿久津八段、橋本八段は
それほど交友が深いわけではないかもしれません。

しかし、同年代の実力者ということで、
この4人の棋士をひとつの「世代」として
私はとらえていましたし、
同様に考える将棋ファンは多かったように思います。

この4棋士が20代のときには
いわゆる「羽生世代」の棋士が
タイトルを独占
していました。

羽生世代の棋士が強すぎるため、
4棋士がタイトルを獲れないのも
仕方のない状況でした。

でも、羽生世代が衰えた後には、
この4棋士がタイトルを分け合うような時代がくるのだろうと
私は予想していました。

それなのに、未だに中堅4棋士が
誰も一度もタイトルを獲れていない
というのは驚きです。

より若い世代に追い抜かれた

中堅4棋士はタイトルを獲れていませんが、
それは羽生世代がタイトルを
独占し続けているからではありません。

むしろ、羽生九段が竜王のタイトルを失ったことで、
ついに羽生世代の棋士が
タイトルを全て失いました。

今、タイトルのほとんどを保持しているのは
中堅4棋士よりも若い世代
以下の棋士です。

広瀬章人竜王
佐藤天彦名人
豊島将之王位・棋聖
高見泰地叡王
斎藤慎太郎王座

中堅4棋士よりも若い棋士としては、
ほかに「竜王」を獲得した糸谷哲郎八段や
「王位」を獲得した菅井竜也七段もいます。

タイトルを一度も獲れなかった
中堅4棋士を差し置いて、
これだけ多くの若手棋士が
タイトルを獲得している
のです。

さらに順位戦でも、
B級1組からなかなか脱出できない
中堅4棋士に対して、
稲葉陽八段、豊島将之二冠はA級に定着し、
糸谷哲郎八段もA級に残留しようとしています。

一方、中堅4棋士の中で
現在唯一A級にいる阿久津主税八段は、
0勝7敗でB級1組への降級が決まったところ。

若手との差は開く一方です。

ちなみに、渡辺明棋王は
年齢が中堅4棋士に近く、
同世代と言えます。

ただ、渡辺棋王は
竜王連覇など若いときから
実績がずば抜けているので、
中堅4棋士とは同じくくりでは
語れない
ところです。

もし中堅4棋士が
タイトルをいくつも獲っていれば、
この世代は「渡辺世代」などと
呼ばれていたかもしれません。

なぜ中堅4棋士は活躍できなかったのか

なぜ、中堅4棋士は
ここまで活躍できなかったのでしょうか。

私は、
「突き抜けた存在が4棋士の中から出なかったから」
だと思います。

近い世代の棋士が活躍すると
刺激を受けるということは、
多くの棋士が語っています。

年齢が近い棋士が
みんなで実績を上げるという例は
過去にたくさんあります。

羽生善治九段、佐藤康光九段、森内俊之九段らの
「羽生世代」はもちろんのこと、
関西の豊島二冠、糸谷八段、稲葉八段も
ひとつの世代として考えられますし、
最近では高見叡王と斎藤王座が同い年です。

同じ世代の誰かがタイトルを獲得すると、
「アイツが穫れるならオレだって」
という気持ちになって、
タイトル獲得の連鎖が起きるのです。

ただ、中堅4棋士は
誰もタイトルを獲れませんでした。

だから、タイトル獲得の連鎖が起きる
きっかけがそもそもなかったのです。

本当は、羽生世代が衰えたタイミングが
チャンスだったのですが、
そこでタイトルを獲れず、
さらにその下の世代に先を越されたのが
本当に悔やまれます。

2014年の竜王戦で
森内俊之竜王からタイトルを奪ったのが
糸谷哲郎七段だった
というのが、
象徴的なできごとだったと思います。

もしそこで竜王位を奪取したのが
糸谷七段ではなく、
松尾、山崎、阿久津、橋本の
いずれかの棋士であったとしたら。

現在のタイトルホルダーの顔ぶれも
ずいぶん違っていたのではないか、
などと想像するのです。

タイトルの半分ぐらいを
中堅4棋士で分け合うような時代が出現して、
それが何年も続いたかもしれません。

中堅4棋士の時代はもはや来ないだろう

中堅4棋士タイトルを複数持つ時代を
私は10年ぐらい前に予想して、
ずっとその時を待っていました。

しかし、中堅4棋士よりも若い棋士たちが
これだけ実績を残した今となっては、
もうそんな時代が来ることはなさそうです。

豊島二冠、広瀬竜王、佐藤名人、高見叡王らが
年齢によって衰える頃には、
中堅4棋士はもっと衰えている
でしょうから、
時間が経つことで中堅4棋士が
活躍するようになることは期待できません。

ただ、中堅4棋士が「世代」として
大きな流れになることはもう無理だとしても、
誰かに一度ぐらいは
タイトルを獲ってほしい
と私は思います。

松尾八段、山崎八段、阿久津八段、橋本八段の
4人合わせてタイトル戦登場1回、
獲得0期で終わりというのは
あまりにも寂しすぎます。

このまま若手棋士に勝てないままで
終わってほしくはありません。

まとめ

松尾歩八段、山崎隆之八段、
阿久津主税八段、橋本崇載八段の
「中堅4棋士」について、
私が考えたことを書きました。

私はこれらの棋士が好きで、
ずっと活躍を期待してきました。

中堅4棋士が羽生世代の棋士から
タイトルを奪う場面は、
結局一度も見られないまま現在に至ります。

けれども、
若手棋士からタイトルを奪って
先輩棋士の意地を見せる場面は、
せめて一度は見たいものです。

私は今でも待っています。

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