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「太陽の門」が完結、最終話までのあらすじと感想~最高でした!~

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モロッコのマラケシュ

「太陽の門」が11月10日についに完結しました。日本経済新聞の朝刊に連載されていた小説です。最後の最後まで、本当におもしろかったです。私は十数年にわたって新聞小説を読んできていますが、はっきり言って、その中で最高傑作。

あまりにすばらしいのでこれまでにブログで2つの記事を書いてきており、どちらも当ブログの中でもアクセスが多い人気記事となりました↓

 

今回は、上記の記事のあとに掲載された2つの章についてあらすじを書いてみました。途中を読み飛ばしていて話がわからなくなってしまっていた、という人は参考にしてください。また、「太陽の門」全体についての私の感想も書いていきます。

 

冒頭の写真は映画「カサブランカ」をイメージ。モロッコのマラケシュという街を旅行したときに私が撮影したものです。

目次

「第Ⅶ章 グアダラマの雪」のあらすじ

リックは外国人混成隊の参謀としてグアダラマ山脈での戦闘に参加。ブランカ、ミゲル、クリスというおなじみのメンバーも一緒です。一方、共和派の総司令のミアハは、叛乱軍の決戦のためありったけの戦力を率いてグアダラハラに出撃。その決戦の間、敵軍が山地につくった要塞から出てこないように足止めするのが、リック達の混成隊のミッションです。リックがいい作戦を立てて戦うものの、苦戦づづき。混成隊のリーダーであるドイツ人のクラウスが敵のスパイなのではと疑われていました。

しかし実際には、クラウスの副官である美女のハンナが黒幕。敵に情報を流していたのです。リックがそれを見破ってハンナと離れ、クラウスと共に要塞の爆破を試みます。ミゲル、ブランカ、クリスも一緒です。追ってきたハンナとの銃撃戦の末、ハンナは死亡。クラウスは撃たれたものの最後力を振りしぼり、要塞の爆破を成功させました。

 

そこからは、リック達4人が生きて帰れるかという戦いです。ダイナマイトを使って雪崩を起こすなど、リックたちは生き延びるために戦いを続けます。そんな中、ミゲルがハンナに撃たれた傷のせいで動けなくなりました。そして、要塞を爆破されて復讐に燃える大勢の敵兵が4人を襲います。銃撃戦となり、ミゲルをかばってクリスが死亡。クリスはブランカのことが好きでしたが、そのブランカに看取られて死んでいきました。さらにリックも負傷して絶体絶命。そこでミゲルが「自分を置いていけ」とリックに言います。そのとき、ブランカのこととバルセロナの孫娘のことをリックに頼みました。そして、ミゲルは敵を巻き込んで手榴弾で自爆。

 

最後に残されたリックとブランカの二人は雪の降る山のなかで動けなくなり、いよいよダメかと思われました。そこでブランカが「リックのことが好き」と伝え、リックもその思いを受け入れてキスをします。リックの出血はひどくなり、ついに意識を失ってしまいました。しかし、そこに反乱軍との決戦で勝利した共和軍の軍勢が現れ、リックとブランカは救出されたのです。

「最終章 ブルネテの風」のあらすじ

リックとブランカはバルセロナを訪れ、ミゲルの孫娘とキリアンを引き取ります。キリアンは孤児です。そのころ、共和派内部では自由を求める「アナーキスト」と共産主義の「スターリニスト」の主導権争いが激しくなっていました。スターリニストによるアナーキストの虐殺によってキリアンの両親は殺されており、リック達はキリアンを放っておけなかったのです。

ミアハは共和軍の最後の決戦として、ロマニョス台地に戦力を集中させ、叛乱軍のマドリード包囲網を突破する作戦を立てます。スペイン各地に散らばる叛乱軍のが集結する前に決着をつけなければ勝ち目がない、スピードが命の決戦です。

 

リックはある大隊の副官の立場で戦闘に参加。ブランカは後方基地で炊事などを担当。事前の作戦通りに戦えば勝算はありました。しかし、実際に戦闘がはじまってみると、共和軍の戦力はバラバラな方向を攻め、ロマニョス台地はいっこうに攻め落とせません。イライラするリック。そこでとんでもない事実が明らかになります。ミアハ司令が何者かによって連れ去られたというのです。共産党幹部のペドロは、犯人は過激派のスターリニスト達だと、リックに説明しました。アナーキストであるミアハを排除しようとしている、というのです。

ミアハを救出するため、リックはたった一人でミアハの監禁場所に突入。そこにいたのは、ブランカの幼なじみでスターリニストのビセンテでした。スターリニスト達との銃撃戦の末、リックはミアハを助けることに成功します。しかし、その場に新たな敵たちがやってきました。そのリーダーがなんと、ペドロでした。ペドロは最初から叛乱軍のスパイで、スターリニストによるミアハの拉致を利用し、共和軍の作戦をめちゃくちゃにしていたのです。

ペドロと共にブランカとキリアンもその場に現れました。キリアンは、スターリニストへの復讐心につけこまれて、ペドロに利用されてしまったのです。そのせいでリックの動きがバレたうえに、ブランカが人質として捕らえられました。ペドロはキリアンに「リックとブランカは傷つけない」と約束していたのに、それを無視してリックを撃ち、リックは腹を負傷。キリアンはリックをかばおうとした結果、ペドロに殺されてしまいます。

絶体絶命に思われたところで、なんと死んだと思われたビセンテが物陰から出てきて、リックとミアハと共に、ペドロとその部下たちを銃撃。一気に全滅させました。実はビセンテは、スターリニストのふりをして彼らの動向を探っていた、ミアハの仲間だったのです。これで一件落着と思われたところ、まだ息のあったペドロがミアハを撃とうとしました。そして、ミアハ司令をかばって、ブランカが撃たれてしまったのです。また、ペドロのせいで共和軍は大幅に消耗し、ロマニョス台地での作戦は失敗。共和軍が負けることは決定的となりました。

 

ラストシーンは、ブルネテの外れの兵士救護所に収容されたブランカの病室。リックとブランカは二人で窓から外をみて、夜が明けていくスペインの大地の美しさをかみしめます。そして、ブランカはリックの腕の中で息を引き取ることに。ブランカの永遠に閉じられた眼からは涙。リックが「君の瞳に、乾杯……」とつぶやいて、物語は幕となりました。

全体の感想:魅力的な登場人物たち

「太陽の門」が連載されている間、毎日読むのが楽しみで仕方ありませんでした。「絶体絶命のピンチ→一発逆転というハラハラドキドキの展開」と「キザで皮肉屋だけどカッコいいリックとヒロイン達とのラブロマンス」という2つの軸で楽しませてもらいました。

登場人物たちがみんなイキイキと描かれていて、みんな魅力的でした。ざっと名前を挙げてみましょう。リック、ブランカ、フェラーリ、ゲルダ、マチャード、ミゲル、アンヘル、ラモン、クリス、クラウス。みんな良いヤツで、記憶にしっかり残っています。しかし、この中で最後まで生き残ったのはリックとフェラーリのみ。そしてこの二人の活躍は、映画「カサブランカ」へと続いていくことになります。

 

全体を通して、リックがあまりに強くて驚きました。作戦を立てるのがうまく、前線で部隊を率いる統率力も高い。そのうえ、軽機関銃や拳銃で撃ち合ってもめちゃくちゃ強い。リックが自分の手で撃ち殺した敵の数だけでも、そうとうな数になるはず。すごすぎます。

ミアハの指揮官としての実力もすごかったです。最初の印象は最悪でした。リックが所属するマチャード隊にムチャな命令ばかりして大勢を死なせたあげく、マチャードを処刑したからです。でも、それはミアハが無能だったからではなく、それらの犠牲は必要なものだったのだと、だんだんと明らかになっていきました。ミアハはマドリードを守り抜き、グアダラハラでの決戦に勝ち、さらには攻めに転じるところまで共和派を導いたのです。

そんなリックとミアハの活躍が実を結ばなかったのは、共和派の中でのアナーキストとスターリニストの主導権争いのせいです。叛乱軍に勝つ前から仲間どうしで殺し合いをしているようでは、勝てるものも勝てません。リックの仲間たちが命をはってマドリードを守ろうとしたのに、けっきょく守れなかった。ここには教訓がありますね。

 

全体を振り返ってみると、「太陽の門」は「リックとブランカの物語」だと言えます。リックのことを殺そうとしたブランカと出会うところから始まって、ブランカと死に別れるところで終わるという。ブランカは西部戦線もグアダラマも生き抜いてくれてうれしかったのですが、最後の最後に死んでしまいました。予想はしていたものの、やはり悲しかったです。

リックにとっては、まずニューヨークでのデイジーとの恋があり、マドリードでのゲルダとブランカとの恋があり、この後パリでのイルザとの恋へと続きます。そんな背景があると考えると、名画「カサブランカ」のリックを見る目も変わりますね。

パリまでの道のりと単行本化

「太陽の門」はリックの動きをどこまで書いて終わるのか、私は注目していました。リックがパリのモンマルトルに落ち着くまで、詳しく描写されるのかな、と。結果、リックがスペインをどう脱出したのかなどは、描かれることはありませんでした。

私の想像では、リックはブランカを看取った兵士救護所からマドリードには戻らず、フランスへと脱出したのかなと。そしてパリに着いてからニューヨークの実家に連絡。すると心配したサムが飛んできて、二人でお店を開くことになったのかなと。作者の赤神諒さんのツイッターによれば、単行本化される際には、そのあたりのオマケのエピソードが追加されるようです。そちらも楽しみですね。

「太陽の門」の連載では、安藤巨樹さんによる毎回のイラストもすばらしかったです。人物の絵も風景の絵も、色彩豊かで味がありました。単行本には収録されず、新聞に1回載ったきりになってしまうというのは、もったいない感じがします。

 

さて、毎日楽しみにしていた連載が終わってしまって、もう読めないのだと思うと寂しいかぎりです。自分にとって「太陽の門」を超える新聞小説は、今後現れるのでしょうか。さしあたっては、「太陽の門」の単行本化が楽しみ。最初から最後まで通して読めば、新しい発見があることは間違いないでしょう。発売が待ち遠しいですね。

 

 

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