私は「太陽の門」を
毎日楽しみに読んでいて、
とてもおもしろいです。
「太陽の門」は
日本経済新聞朝刊に連載中の
赤神諒さんによる小説。
今年の2月から連載がはじまり、
最近では物語が
クライマックスに近づいてきて
ますます盛り上がっています。
読み始めたばかりだったりして
「これまでの話の流れがわからない」
という人向けに、
あらすじをまとめてみました。
また、私の個人的な
感想も書いています。
冒頭の写真は
パリを旅行した際に撮影したもの。
リックのお店があるモンマルトルの丘の
サクレ・クール寺院です。
こちらの記事も合わせてどうぞ↓
「太陽の門」のあらすじ
「太陽の門」には
章立てがあるのですが、
章が切り替わったタイミングでしか
新聞上で章の名前が表示されません。
そこで、ここまでの章の名前を
まとめてみました↓
第Ⅱ章 ヨーロッパの嵐
第Ⅲ章 マドリードの鐘
第Ⅳ章 カニャーダの花
第Ⅴ章 ラス・ロサスの虹
第Ⅵ章 マドリードの雨
こうしたメインの章の間に
「パリーーラ・ベル・オロール」
のお話が連載1回分か2回分ほど挟み込まれる、
というのが全体の構成になっています。
「太陽の門」の物語は、
ドイツ軍の占領直前のパリで
リックの相棒のサムが語る、
という形式になっています。
語る相手はリックの恋人のイルザで、
サムはリック本人から聞いた
スペイン内戦の話を教えてあげるのです。
「第Ⅴ章 ラス・ロサスの虹」までのあらすじは
すでに書いたので、
こちらの記事をどうぞ↓
「第Ⅵ章 マドリードの雨」のあらすじ。
ラス・ロサスから
なんとか生きて帰ったリックでしたが、
またもや戦う意欲を
なくしてしまいます。
居酒屋のマニャーナで
つぶれるまで酒を飲む毎日。
スペイン共和国の上層部では
ソ連の後ろ盾のある共産党が力を持つなど、
内部での主導権争いばかりおり、
死んでしまった仲間のことを思うと
やりきれない気持ちになっているのです。
特に、逮捕はされたものの
そのおかげで戦死せずにすんだと思っていた
マチャード大佐が、
実はあらぬ罪を着せられて
処刑されていたとは、
リックにとっても私にとってもショックでした。
ラス・ロサスで負傷したリックが
病院でとなりのベッドだったことから
仲良くなったのがクリスです。
クリスはイギリス人義勇兵で、
「国際旅団」の一員として
マドリードにやってきました。
戦場に出たらすぐに足を負傷して
あとは病院にいたので、
まだ戦争の怖さを知りません。
「この戦いには崇高な大義がある」
なんてことを言っていって、
リックにとっては青臭い若者ですが
不思議と気は合うようです。
詩を作り絵を描く
心優しい青年で、
密かにブランカに想いを寄せています。
ただ時間をつぶすばかりの
リックを動かしたのは、
なんとラス・ロサスで死んだと思われていた
ミゲルでした。
ミゲルは敵兵になりすまして
その後脱走し、
なんとか生きのびていたのです。
リックはミゲルに説得されて、
マドリード防衛の総司令官であるミアハ
と対面します。
リックの仲間は
大勢ミアハのせいで死んだので、
リックはミアハのことが大嫌いです。
でも、リックは悩んだすえに
スペインのために
ミアハに協力することに決めました。
ミアハには
マドリードの北のグアダラハラで
叛乱軍に総力をかけた決戦を挑む、
という壮大な計画がありました。
しかし、
マドリード近くの山岳地帯に
敵軍が要塞を作っており、
そこに八千人の兵力が集まっているのが
頭を悩ませている問題です。
この兵力が要塞から出てきて
ガラ空きのマドリードを攻めたり、
ミアハの軍をはさみ撃ちにしたりすると、
あっという間に負けてしまいます。
そこで、ミアハはリックに
ある作戦の実行を依頼しました。
わずか700人の遊撃隊を率いて
敵の要塞を攻めて、
敵軍が山岳地帯から出てこないように
12日間足止めしてくれ
というのです。
こうしてリックは
ラス・ロサスでの戦いにつづき、
無謀な時間稼ぎの作戦を
実行することになったのです。
登場人物関係図と今後の展開予想
本日(8月30日)、
筆者の赤神諒さんが
自ら作った登場人物関係図を
更新してくれました。
それがこちらです↓
実は、この人物関係図は
ちょっとしたネタバレを含んでいます。
まだ山岳遊撃のメンバーは
本編では明らかになっていないのですが、
そこにクリスの名前があるのです。
やはりリックとクリスは
一緒に戦うことになるようです。
まあそれはいいとして、
驚いたのが
ブランカの名前もあることです!
まさかブランカもまた戦場に!
これはイヤな予感しかしない、
つまりブランカが死んでしまう!
やめてくれぇぇ・・・。
せっかく西部戦線での戦いを
なんとか生き抜いて帰ってきたのに。
ブランカはマニャーナで
おいしい料理を作って待っていて
くれればいいのに。
山岳遊撃隊は
リックとミゲルとクリスに
任せておきましょうよ、
という思いです。
まあでもブランカの性格からして
「私も行く!」
と言うに決まってますよね・・・。
第Ⅶ章は
ブランカが死ぬのではないかと
ビクビクしながら
読み進めることになりそうです。
ビクビクするといえば、
遊撃隊のリーダーの
クラウスが敵の内通者なのかどうか
ということもそうです。
リックはあくまで作戦参謀という立場で、
本当のリーダーはクラウス。
もしクラウスが内通者なら
遊撃隊の動きは敵にバレバレなので、
あっという間に全滅させられてしまいます。
クラウスの本格的な登場はこれからですが、
リックとの最初の会話から
かなりの緊張感がありそうです。
そんな疑わしいドイツ人がリーダーだなんて、
スペイン共和国は
どれだけ人材不足なんだという感じ。
そんなドイツ人を使うぐらいなら、
リックを参謀ではなくリーダーにすればいいのに
・・・・と思ったけれど、
リックもスペイン人ではなくアメリカ人でした。
山岳遊撃隊はリーダーから末端まで
寄せ集めの部隊ということ。
一致団結して敵に立ち向かえるのか、
ちょっと不安です。
さらに、
決戦場のグアダラハラと山岳地帯に加えて、
バルセロナでも何かが起こりそうです。
突撃警備隊のビセンテも
共和党幹部のペドロも
バルセロナに行くと言っていました。
登場人物関係図に
わざわざバルセロナのスペースがあるのも
思わせぶりです。
いったい何が起こるのか、
ワクワクします。
映画「カサブランカ」をあらためて鑑賞
最近私は、
「太陽の門」をより楽しむために
元ネタである名作映画「カサブランカ」を
鑑賞しました。
Amazonプライムビデオで
無料で見られたのでラッキーでした。
私が「カサブランカ」を
初めて観たのは2014年。
モロッコに旅行に行く前に、
現地を舞台にした映画でも
ということで観たのです。
今回観てみると、
内容をけっこう忘れていたことに
気づきました。
たとえば
「太陽の門」のマニャーナの主人の
フェラーリが登場することは
すっかり忘れていて、
新鮮な驚きがありました。
フェラーリは映画中では
闇商人のドンという立場で、
あらためてすごい人物なんだと
見直したものです。
映画中では
リックとフェラーリの間には
深い友情があるようですが、
「太陽の門」を読んでいれば
それも納得です。
リックはあんなに人当たりが悪いのに
「カサブランカ」では
自分の店をあんなに成功させていて、
それは不思議なところ。
やはりサムのおかげなのでしょうか。
本日(8月30日)新聞掲載分ではパリが舞台で、
イルザが夫のラズローが実は生きていたことを
知ってしまう場面でした。
ナチスがパリの目前まで
迫っている状況です。
いよいよ「カサブランカ」に
直接つながる場面になってきて、
「太陽の門」の物語が
終わりに近づいていることが感じられます。
このタイミングで
「カサブランカ」を改めて観られたことで、
より「太陽の門」への理解が深まりました。
赤神諒さんのブログ
「太陽の門」の作品の背景を
もっと知りたい人には、
赤井諒さんのブログがオススメです↓
物語の語り部であるサムが登場して
赤神さんと話すという設定で、
毎回おもしろい小話が読めます。
最新の回では
サムが出番が少ないとすねてしまい、
代わりにフェラーリの出番でした。
登場人物のモデルや
どの部分が何のオマージュになっているかなどが
明かされていて、
なかなか興味深いです。
まとめ
・物語はマドリードを守るための最後の戦いへ
・登場人物関係図で先の展開が少し予想できた
・映画「カサブランカ」をあらためて鑑賞した
・赤井諒さんのブログはオススメ
いよいよ大詰めをむかえた
「太陽の門」。
リックが太陽の門を守れなかった話を
最後まで心して読みたいと思います。
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