「スマホ脳」を読みました。世界各国でベストセラーになっている本だけあって、とてもおもしろかったです。「スマホ脳」によれば、スマホは人にこんな影響を及ぼすそうです。
- イライラする
- ストレスがたまる
- 集中できなくなる
- 気分が落ち込む
- 眠れなくなる
こうした悩みを持つ人は多いでしょう。「スマホ脳」では、どうしてスマホがこうした悪い影響を及ぼすのかについて、現役精神科医の著者が解説してくれます。
そのうえでスマホをどう扱えば効果的なのか、具体的な対策も教えてくれているので、すぐに行動に移せるでしょう。
この記事を読めば、「スマホ脳」の要点がわかります。
「スマホ脳」の内容を生活にどう役立てられるのか、私の意見も書いているので、参考にしてみてください。
「スマホ脳」は人間の進化の見地からスマホの危険性を警告
「スマホ脳」はこちらの本です↓
著者はアンデシュ・ハンセンさん。精神科医として2000本もの論文を発表しているだけでなく、スウェーデンではインフルエンサーのような存在らしいです。
「スマホ脳」を読めば、ハンセンさんが強い影響力を持っていることにも納得します。その研究内容は、私たちの生活と強く結びついているからです。
「スマホはなんとなく健康に悪い気がする」「子供の成長に悪影響がある気がする」と感じているのであれば、それは真実です。そのことを、最新の研究成果を紹介しながら、わかりやすく解説してくれています。
難しい内容でスラスラと読めるので、ふだん本をあまり読まない人でも最後まで読み切れるでしょう。
「スマホ脳」の大きな特徴は、「人間の進化の見地」から脳やスマホについて語られている点です。私は「スマホ脳」を読みながら、以前に読んだ「サピエンス全史」のことを思い出していました。
こちらも有名な本なので、読んだことのある人も多いでしょう。まだ読んでいなければ、「スマホ脳」とセットで読むことをおすすめします。
人間の進化の過程がイメージできるようになるので、「スマホ脳」の内容がより深く理解できるはずです。
スマホのドーパミンに現代人は支配されている
「スマホ脳」で何度も登場するキーワードが「ドーパミン」です。
ドーパミンは脳内物質のひとつで、「満足感を感じさせて、それをしたいと思わせる物質」です。本書ではさらに踏み込んで、「ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えること」だとも語られています。
スマホを使うと、人の脳内ではドーパミンがどんどん放出されます。そのせいで、人はスマホを使いたくなり、常にスマホの存在が気になり、そしてスマホに依存してしまうのです。
なぜスマホにそんな力があるのかというと、スマホやアプリが、人のドーパミンを引き出すように作られているからです。開発の過程で専門家の意見を取り入れて、人の脳を操れる製品が作り上げられています。
私たちはスマホを何気なく使っていますが、それが開発者が狙った通りに動かされているだけだと考えると、気味が悪いですよね。でも、それは現実に起きていることなのです。
人は進化の過程で不安やストレスを感じやすくなっている
現代社会では、多くの人がうつ病など精神に問題を抱えていることが、問題になっています。
「スマホ脳」によれば、人は不安やストレスを感じやすいように進化してきたそうです。その方が周囲の危険にすぐに気づいて、生き延びる可能性が高まるからです。
だから不安やストレスにはもともと役割があるのであって、悪者なわけではありません。
ただし極端にスマホを多く使うと、不安やストレスを引き起こすことが、研究結果から明らかになっています。大昔には生き残るために必要だった機能が、現在ではお荷物になっているのです。
このことを知っておくだけでも、気が楽になる人は多いと思います。うつ病になったとしたら、それはストレスの原因から逃げるために、脳がきちんと働いたということです。うつ病になった人が悪いわけではありません。
自分を責めるのではなくて、不安やストレスの原因を取り除くことに、意識を向けた方が良いでしょう。
脳は現代社会に最適化されてはいない
大昔の環境で人間が生き延びて子孫を残せるように、脳は進化してきました。そんな脳は、現代社会の状況に最適化されているわけではありません。科学技術や社会の変化のスピードに比べて、人類の進化はとてつもなくゆっくりですから。
そんな脳を思い通りに操れるように、スマホやアプリは作られています。エサはドーパミンです。
私たちがスマホをついつい使ってしまったとしても、仕方がないと言えます。特に子どもは、ドーパミンが好きなだけ得られるスマホの魅力に抵抗できません。親が守ってあげる必要があります。
「私たちは操られていることに気づいて、スマホと適切な距離を取らなければいけない」というのが「スマホ脳」の主張です。
運動すれば脳の特性を都合よく利用できる
「スマホ脳」にはショックを受ける内容が多いのですが、明るい話題もありました。「運動」の効果が説明されている箇所は、希望にあふれています。
運動すれば、以下のような効果があるらしいです。
- イライラが消える
- ストレスに強くなる
- 集中できるようになる
- 気分が明るくなる
- よく眠れるようになる
なぜこうした効果があるかというと、私たちの祖先が体をよく動かしていたからです。脳は運動をすることで、望ましい状態になるように進化してきました。
つまり運動するということは、「時代に取り残された脳の特性を利用している」ということなのです。
時代遅れな脳のせいで色々な問題が起こっているものの、運動で脳を働かせることで、問題を解決できると。この考え方を学べたことが、私にとっては「スマホ脳」から得た最大の成果でした。
スマホのスクリーンを見ている時間は運動できないのですから、スマホの使い過ぎと運動不足は関連しています。意識して運動しないといけませんね。
ちなみに私は3つの運動の習慣を作ることに成功しています。
- 朝食後にラジオ体操
- 午後に散歩
- 入浴後にストレッチ
私は精神的に問題なく過ごせているのは、これらの運動習慣のおかげかなと思いました。体の健康のために運動していたつもりでしたが、脳のためにもなると知って、運動を習慣にしていて本当によかったと感じています。
他人に操られるのを防ぎ、自分で脳を活用しよう
最後に私が考えたことを書きます。
脳の働きのせいで、人はストレスを感じたり不眠になったりうつ病になったり、色々な問題を背負わされます。
でも脳に罪はありません。脳は変えられないのですから、私たちが脳に合わせるしかなくて、そのために脳の特性を知ることが大切なのです。
いまは脳の研究が進んでいて、多くの企業が脳の働きを利用して、自社のビジネスを有利に進めようとしています。その結果、私たちは欲しくもないものをつい買ってしまったり、ゲームに課金を続けたりしてしまうわけです。
企業が利益を得ようとすることは自然なことで、脳の働きを利用して稼ごうという動きは、今後ますます加速していくでしょう。
だからこそ私たちも、脳の働きについて学ばなければいけません。
脳の自然な反応について知識があれば、「いま、脳の特性のせいで買いたくなっているな」と自覚できるようになります。すると購入を思いとどまれて、企業の狙い通りに操られなくて済むはずです。
脳の特性を学ぶことは、現代を生きる私たちにとって、必須科目と言えます。そして必須科目のテキストとして、「スマホ脳」は最適です。
まとめ
「スマホ脳」を読めば、「人間の進化の見地」から、スマホが脳に与える影響について理解できます。
不安やストレスにもうまく対処できるようになるでしょう。
運動がものすごく脳のために良いことがわかって、運動するやる気も起きます。
脳について学ぶ最初の一冊に「スマホ脳」はおすすめです。