「りゅうおうのおしごと!」第11巻感想2、八一をめぐる恋のバトル

「りゅうおうのおしごと!」第11巻感想2

「りゅうおうのおしごと!」は将棋を題材にしたライトノベル作品。迫力ある対局の描写など魅力はたくさんありますが、見どころの柱のひとつは恋のゆくえです。

主人公の九頭竜八一の周囲には、八一に好意を寄せる女の子がたくさん。メインヒロインの雛鶴あいと空銀子を中心とする恋のバトルの末に、最後には八一はどの子と結ばれるのか。

その見どころに絞って、11巻の私の感想を書きました。ネタバレがありますので注意してください。

なお冒頭のイラストは、作中のイラストをお手本にして私が描きました。ひとつ前の記事と合わせて幼少期と現在の銀子をセットで描けて満足しています。

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第11巻で恋のバトルが決着

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本巻の一番の見どころは、恋のバトルが大きく進展したことでしょう。いえ、進展というよりむしろ最終決着がついてしまいました

八一は銀子を選んだのです。

雛鶴あいと空銀子の一騎打ち

八一に好意を持つ女の子はたくさんいるものの、現実的に八一と結ばれることがありえそうな選択肢は2つしかないと私は考えていました。ズバリ、雛鶴あいと空銀子の一騎打ちです。

そもそも「りゅうおうのおしごと!」の物語はあいが八一の元に押しかけて弟子入するところから始まるのですから、あいが大本命です。その後もあいと八一の関わりを中心にしてストーリーは進行

普段の生活ではあいと八一は同居しており、あいは食事を作るなど家事をこなして献身的に尽くしています。あいの両親と将来について真剣に話し合ったり、あいの実家の温泉旅館では結婚披露宴のようなものが行われたりもしました。

これまで長い時間をかけて、第1巻で初対面だったあいと八一が結ばれるように、環境が整えられてきたのです。

物語の中心にいる圧倒的な強さの雛鶴あいに、唯一対抗できる存在なのが空銀子。こちらは長年にわたって八一と同居して、将棋を指しまくってきたというアドバンテージがあります。

八一が6歳、銀子が4歳のときから八一が15歳で師匠の家を出るまでずっと一緒だったのです。これだけ一緒にいれば、恋心が生まれるのも当然に思えます。銀子にしてみれば、いきなり現れた小学生に八一を渡すつもりなどありません。

そんなあいと銀子、第1巻の初対面のときから相性は最悪でした。八一を取り合って常に激しくバトルを繰り広げるのが、「りゅうおうのおしごと!」における毎回恒例のシーンになっていました。

年齢を考えると常識的な決着

雛鶴あい「りゅうおうのおしごと!」

この11巻で八一は銀子と結ばれることとなったわけですが、年齢を考えるとこれはとても常識的な決着と言えます。八一が17歳、銀子が15歳という2歳の年の差なら普通です。

これがもし、あいが相手となると八一が17歳、あいが10歳で7歳差。しかも大人どうしならともかく、相手は小学5年生ですからね。ちょっとヤバい感じがします。

しかしそこは、これまでさんざん「ロリコン」と周囲から言われ続けてきた九頭竜八一。小学生女子を2人も弟子にし、しかもあいは内弟子にして同居し、さらに小学生女子の研究会「JS研」を夜通しで指導するなど、通常ではありえない行動を繰り返してきました。

異常な「ロリコン」っぷりが描写されてきた八一だからこそ、あいと結ばれるのではないかと私は予想していたのです。

そのため、11巻で八一があっさり銀子を選んだことで肩透かしをくらった気分です。これまでさんざん「ロリコン」を強調してきたのはあいと結ばれる下地を作るためではなかったのかい!どうなっているんだ!という感じです。

にぶい八一がついに決断

空銀子「りゅうおうのおしごと!」

銀子と結ばれるのであれば、ストーリーを第11巻まで積み上げなくてもできることです。極端な話、「師匠の家で過ごし日々によってお互いに好きになりました」ということで、第1巻で恋人同士にすることもできたでしょう。

これまでそういう展開にならなかった最大の理由は、八一が「にぶい」からです。銀子は恥ずかしがりながらも八一に好意を見せてきたのに、八一はそれに気付かずにスルー。そんなことが何度もありました。

八一がにぶいのはあいに対しても同じです。八一のにぶさゆえに、この第11巻まで恋のバトルは常に引き分けだったのです。

そのためこの巻で八一が銀子に告白したのはかなり驚きました。11巻までにぶい八一を続けて恋のゆくえを引っ張ったからには、最終巻まで恋のバトルを続けるのだろうと私は考えていたからです。

銀子に話題を集中した第11巻

空銀子「りゅうおうのおしごと!」

恋のバトルが決着しなかった他の理由としては、同じ巻の中であいと銀子の両方の物語があったことが大きいです。

あいと銀子の両方が描写されていると、八一があいに近づくと「銀子ちゃんがかわいそう!」と読者は感じるし、八一が銀子に近づくと「あいちゃんを見捨てるのか!」と読者が感じでしまいます。どちらかと八一が結ばれることを読者が心から祝える状態を作らないと、八一にどちらか一方を選ばせることは難しかったのです。

その点、第11巻は作者の白鳥士郎さんによってうまく作られていました。銀子の話題だけに絞り、あいをほとんど登場させなかったのです。これによって読者の頭の中を銀子でいっぱいにして、一時的にあいのことを忘れさせました。そのうえで、ロマンチックな告白の場を用意したのです。これならば、読者は八一と銀子のことを素直に祝福できます。

第11巻にこれまでメインヒロインだったあいが登場しないことには私は驚きましたが。ここまで徹底してからでなければ、八一に銀子を選ばせることはできなかった、ということだと思います。

あいちゃんが気の毒

雛鶴あい「りゅうおうのおしごと!」

11巻を読み終えた時点ではあの星空のシーンの印象が残っているので私自身も「八一と銀子ちゃん、よかったね」という気持ちでいます。しかし改めてあいちゃんのことを考えると胸が痛みます。

師匠のことが大好きで毎日健気に食事を作って他の家事もしているのに、仕事だとウソをつかれている間にこんなことになってしまうとは…。今後、恒例の八一を取り合うバトルはどうなってしまうのでしょうか。

いつもはムキになる銀子が「もう決着はついた」という余裕の表情を見せたりしたら、カンの鋭いあいは一瞬ですべてを理解するでしょう。とんでもなく嫉妬深いあいちゃんにこのことが知れたら、あいちゃんは八一に対してどんな行動に出るのか12巻を読むのが恐ろしい気がしてきました。

私は天ちゃん推し

夜叉神天衣「りゅうおうのおしごと!」

最後に。ここまで雛鶴あいと空銀子のことばかり書いて来ましたけれども。みなさんは「りゅうおうのおしごと!」で一番好きなキャラクターは誰でしょうか。

私は実は、夜叉神天衣(やしゃじんあい)です。天(てん)ちゃん推しです。

ほとんどの主要キャラが第1巻から活躍する中、天ちゃんは第2巻から遅れて登場。銀子と同じく「ツンデレ」で、キツめの性格です。


天ちゃんは銀子やあいとは違って八一への好意に自分でも気付いておらず、自覚したのは第9巻のラストから。そのあたりから天ちゃんもようやく自分の気持ちに素直になってきました。

この第11巻というのは、これまであいと銀子による一騎打ちだった恋のバトルに天ちゃんも本格参戦!というタイミングだったのです。

それだけに、第11巻で銀子が勝者に決まってしまったことは、私にとっては少し残念。素直になった天ちゃんと銀子の
本気のバトルが見たかったです…。

夜叉神天衣「りゅうおうのおしごと!」

第11巻ではまったく出番がなかった天ちゃん。ただ、銀子はあいだけでなく天ちゃんのことも警戒しているようで、八一とこんなやり取りがありました。

「……黒い小童(こわっぱ)は?あっちのほうがいろいろ厄介なんじゃない?」

「天衣ですか?あれは俺のことなんか将棋を指す虫ケラくらいにしか思ってませんし。師匠のプライベートがどうなろうと気にしませんよ」

「はぁ…………前途多難すぎる……」

天ちゃんのことを「黒い小童」呼ばわりする銀子。そして、ひたすらにぶい八一。この銀子の心配が前フリとなって、天ちゃんの逆襲もありえるのでしょうか。

あいとは違って自分の気持ちを素直に言えない天ちゃんは、銀子との戦いの場にのぞむことすら簡単ではありません。第12巻での天ちゃんの動きに注目です。

というか、この第11巻での扱いを見ると、天ちゃんの出番があるのかということから心配です。銀子とのバトルどころか、少しでも天ちゃんの出番があれば喜ばないといけないぐらいかもしれません…。

まとめ

「りゅうおうのおしごと!」第11巻では、恋のバトルがついに決着。主人公の九頭竜八一が選んだのは小学生の雛鶴あいではなく、高校生の空銀子でした。

あいの存在感を消して銀子の話題に集中した第11巻は、読者が八一と銀子を祝福できるようにうまく作られていました。次巻以降で嫉妬深いあいがどう反応するのか、気になります。

私は夜叉神天衣が好きなので、せっかく天ちゃんが素直になれたタイミングで銀子が選ばれてしまい、少し残念です。

「りゅうおうのおしごと!」の11巻の感想はこちらの記事にも書いたので、あわせてお読みください。

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