叡王戦の仕組みについて、まとめてみました。
段位別予選、本戦、タイトル戦という流れで
叡王戦は行われます。
他のタイトル戦にはない特徴が
盛り込まれた叡王戦は、
観戦していて楽しい棋戦です。
叡王戦の仕組みを理解して、
将棋観戦をより楽しみましょう。
段位別予選、他にはない制度
予選が段位別に行われることが、
叡王戦の最大の特徴です。
叡王戦では
同じ段位の棋士どうしでトーナメント戦を戦い、
勝ち抜いた棋士が本戦に進出します。
他の棋戦では対戦の組み合わせで
順位戦のクラスなどが考慮されますが
段位は考慮されないので、
叡王戦の仕組みはとてもユニークです。
別の見方をすると、
まだ歴史の浅い叡王戦は、
他の棋戦との違いを出すために
独自の仕組みを採用していると言えます。
2021〜2022年の第7期では、
各段位ごとに本戦に進出できる棋士の人数は
以下のように決められています。
- 九段:3人(30人中)
- 八段:3人(25人中)
- 七段:2人(49人中)
- 六段:2人(24人中)
- 五段:1人(21人中)
- 四段:1人(14人中)
段位が高い棋士ほど、
本戦進出のチャンスが多いわけではない
のがおもしろいところです。
第7期であれば、
最も本戦出場の確率が高いのは八段予選(12%)、
逆に最も確率が低いのが七段予選(約4%)です。
九段戦や八段戦では
普段は見ないような組み合わせが実現するので、
叡王戦の段位別予選は楽しめます。
トップ棋士とベテラン棋士の対局が
多く組まれるのです。
将棋のプロの段位は下がることがないので、
昔活躍して九段や八段になった棋士は、
年齢とともに力が衰えたとしても
九段や八段のままです。
そうしたベテラン棋士が
今まさにバリバリと活躍しているトップ棋士と
対戦する機会というのは、
実はあまりありません。
そういう珍しい組み合わせの対局が見られるのは、
段位別予選の大きな魅力ですね。
本戦、シードなしで全員のくじ引き
本戦で特徴的なのが、
組み合わせでシードがなく、
完全にくじ引きで決まることです。
なぜこれが珍しいかといえば、
普通は「予選免除棋士」を優遇するからです。
「前期ベスト4以上」の棋士は
トーナメントの最初の方で当たらないように
ふつうは位置が考慮されます。
具体的に言うと、
「前期ベスト4以上」の棋士は
トーナメントの4隅に配置されるのです。
しかし、叡王戦ではそういった配慮が一切なく、
本選出場者全員が平等なくじ引きで
当たりを決めます。
叡王戦の持ち時間
叡王戦のタイトル戦の五番勝負の
持ち時間は4時間です。
なお、叡王戦の持ち時間は
予選、本戦、タイトル戦のすべてで
チェスクロック方式で、
持ち時間が秒単位で消費されます。
チェスクロック方式であることを考慮すると、
タイトル戦の中では最も持ち時間が短い
と言えるでしょう。
棋士は1秒もムダにできませんから、
ストップウォッチ方式で
持ち時間が分単位で消費される棋戦と比べると、
よりスピード感のある対局になります。
なお予選は持ち時間1時間、本戦は3時間です。
まとめ
叡王戦は独特なタイトル戦で、
他の棋戦にはない特徴があります。
新しい棋戦なので、
持ち時間や制度は今後変更されるかもしれません。
叡王戦の斬新な試みは
将棋界に新しい風を吹き込んでくれており、
私は好意的に見ています。
叡王戦の今後の動きに注目です。
他のタイトル戦の予選については
こちらの記事に書いているので、
合わせてお読みください。