最強将棋ソフト「アルファゼロ」の千田翔太六段の解説の要点3つ

千田翔太六段によるアルファゼロの解説

最強将棋ソフトである
「アルファゼロ」について、
将棋ソフトに詳しい棋士として有名な
千田翔太六段が
解説してくれました。

ニコニコ生放送の番組
「叡王戦パラダイス」内でのこと。

解説の内容は
とても高度なものだったのですが、
その中から特に興味深かった要点3つを
わかりやすくまとめました。

アルファゼロとはどんなソフトか

「アルファゼロ」に関しては、
2018年12月6日に
メディア各社が一斉に報じました。

囲碁では世界最強の棋士を圧倒した
「アルファ碁」が有名ですが、
「アルファゼロ」は
それを改良したソフトです。

あらゆるゲームに対応できるのが特徴で、
発表によれば
将棋、チェス、囲碁の
3つのゲームで最強ソフトとなった

とのこと。

それぞれのゲームで最強と言われるソフトと
100回ずつ対戦して、
その結果3つすべてで勝ち越し、
最強であることを実装したと。

とんでもないソフトです。

将棋に関しては
2017年の世界コンピュータ選手権で
優勝したソフトである
「エルモ(elmo)」と対戦し、
成績は90勝8敗2分け

勝率9割というのは、
圧倒的な強さです。

「アルファゼロ」で重要なポイントは、
プロ棋士の棋譜をまったく参考にせず、
将棋のルールを教えられた後は
自己対戦を繰り返すだけで強くなった

ということです。

一昔前のソフトは
「定跡」やプロ棋士の棋譜を
学んで強くなったので、
「アルファゼロ」は
そうした昔のソフトとは
まったく別の進化をしています。

「アルファゼロ」は
人間の将棋を参考にしていないため、
より独創的な手を指す傾向があるのです。

「アルファゼロ」を開発したのは
イギリスの「ディープマインド」
という会社。

よく知らない会社に思えますが、
その持ち株会社は「アルファベット」であり、
あの有名な「グーグル」と共通です。

つまり、
「アルファゼロ」の背後にはグーグルがいる
ということは、
見逃せないポイント。

「アルファゼロ」は、
圧倒的な資金、設備、人材を投入して
開発されたソフトなのです。

将棋ソフトに詳しい千田翔太六段

千田翔太六段は、
将棋ソフトに詳しい棋士です。

今でこそ将棋ソフトを活用している
棋士は多いですが、
いち早く将棋ソフトの強さを認め
本格的に自身の棋力向上に
利用し始めたのが千田六段です。

ソフトに関する知識量は
他の棋士を圧倒しており、
棋士とコンピュータが対戦する
「電王戦」では、
豊富な知識を活かして
出場する棋士のサポートをしていました。

「将棋ソフトといえば千田六段」
ということで
ニコニコ生放送が
今回の解説を頼んだのでしょう。

すばらしい人選なのですが、
なにしろ急な話です。

12月6日に
アルファゼロに関する発表があって
番組は12月9日に放送されたので、
わずか3日後です。

準備時間がほとんどない中、
千田六段は
よく引き受けてくれたものです。

でもそのおかげで、
将棋ファンが
ちょうどアルファゼロについて知りたいと
思っていたタイミングで、
千田六段の解説を聞くことができました。

本当にありがたいことです。

今回、千田翔太六段は
番組にたった一人で出演。

聞き手もいなくて、
一人で進行しながら解説
したのです。

登場した冒頭から
「かなり緊張している」ということを
千田六段は語っていました。

やはりたった一人で
解説しつつ進行もやるというのは、
普段の対局の解説とは
勝手が違うのでしょうね。

でも緊張していると言いつつも、
その解説内容はさすがでした。

「アルファゼロ」と「エルモ」の
対局棋譜の解説が中心でしたが、
ところどころで
印象的なお話がありました。

棋譜解説の内容は
とても高度で難しいのですが、
その合間の発言は
将棋が強くない人でも理解ができて、
なおかつとても興味深い
ものが
多かったです。

その中から、
私が特に面白いと感じた要点を
3つご紹介します。

要点①最初は角道を開けず、飛車先を突くだけに

まず1つ目は、
「アルファゼロの初手は▲2六歩、
2手目は△8四歩ばかり」

という話です。

アルファゼロは
定跡やプロ棋士の棋譜を
参考にしていないため、
初手や2手目に何を指すのかということも
まったく事前情報のない
まっさらな状態から探ります。

その結果、
最初のうちは▲7六歩や△3四歩という
角道を開ける手も
普通に指していた
そうです。

ただ、アルファゼロはわずか2時間で
エルモより強くなったのですが、
ちょうどそのあたりから
▲7六歩や▲2六歩に対して
2手目に△3四歩とは
指さなくなっていったとのこと。

これはどうやら
「横歩は取らせたら不利になる」
という認識が
ソフトの中に生まれたからだそうです。

具体的には、
横歩を取らせたときに
先手に「青野流」という
現在プロでも指されている
対策を指されると苦しい、
と判断していると。

言ってみれば
「横歩は終わった」
というのが
アルファゼロの結論のようです。

後手番で2手目の△3四歩を指さないのは
「横歩が取られるのが嫌だから」だと、
理由を付けることができました。

では、初手▲7六歩はどうか。

初手▲7六歩に2手目△8四歩という進行は、
2手目△3四歩が激減したタイミングである
2時間後の段階でも、
まだ多かったそうです。

ただ、
アルファゼロが自己対戦を初めて
5時間ぐらいたつと
初手▲7六歩も減ってきたと。

この理由としては、
「ソフトは飛車先の歩を交換することを
高く評価してるのではないか」

というのが千田六段の見解でした。

たしかに、初手に▲7六歩とすると、
角換わりにせよ矢倉にせよ、
飛車先の歩は
すぐには交換できなくなりますからね。

アルファゼロがなぜその手を
指したのかということは、
このようにして
推測していくしかありません。

昔の将棋ソフトとは違い、
アルファゼロのような
開発のされ方をしたソフトの思考は
ブラックボックス。

つまり、
もはや人間には
理解することができないのです。

そのことを千田六段は
当然の前提条件として
受け入れています。

だからこそ、
先入観や決めつけのない
的確で深い考察ができたのです。

ということで、
アルファゼロは角道を開ける手を
初手や2手目には
指さなくなってしまいました。

今まで一番指されていた手が
ソフトによって
「良くない手」と判断された
わけで、
この衝撃は大きいです。

アルファゼロは角道を開けないので
相掛かりの将棋が多いのですが、
プロもその影響を受けて
今後は相掛かりが多くなるかもしれないと
千田六段は予測していました。

要点②アルファゼロは中段玉を苦にしない

2つ目の要点は、
「アルファゼロは中段玉を苦にしない」
ということです。

アルファゼロは
囲いを崩されて上部に追い出されても、
相手の攻めをかわして
スルスルと逃げるのがうまく、
なかなか負けません。

それどころか、
玉が中段に移動していくのを
好んでいるようにも見えます。

そういった玉さばきは
澤田真吾六段に似ていると
千田六段は話していました。

糸谷八段、山崎八段、
佐藤康光九段といった名前も
コメントで流れていて、
そういった棋士を
思わせるような玉さばきを
アルファゼロは
得意にしているようです。

玉の固さよりもバランスを重視する
というのは
従来から将棋ソフトの特徴としてあり、
プロ棋士も影響を受けています。

より玉が動き回る傾向のある
アルファゼロの登場によって、
玉の固さよりも
バランスや攻めを重視する傾向は、
今後のプロの将棋において
さらに強まっていきそうです。

要点③プロの将棋はすでにソフトの影響を受けた後

3つ目の要点は、
「プロの将棋は
すでにソフトの影響を受けた後だ」

ということ。

千田六段は
アルファゼロ棋譜の解説をしながら、
「そんなに今のプロの将棋と
変わらないように見えるでしょう」
という話をしました。

玉が逃げ回るなど
終盤の指し方はソフト独特だけれども、
序盤の指し回しは
プロの指し手に似ていると。

ただこれは、
「今のプロの将棋が
すでにソフトから学んだ後だから」

実は、定跡や人間の棋譜を
参考にせずに強くなるという手法自体は、
今回のアルファゼロの
登場前からありました。

そして2016年ごろから、
そうして生まれたソフトの序盤戦術は
プロ棋士に大きな影響を
与えてきたのです。

具体的には、
角換わりの▲4八金型、
対矢倉左美濃急戦、
矢倉で▲6七金左とする形、
雁木
など。

これらはいずれも
ここ数年でプロ棋士が
指し始めた作戦ですが、
すべてソフトの将棋から
人間が取り入れたものです。

アルファゼロは、
人間の感覚に近い手を
指しているわけではありません。

すでにソフトの影響で
プロ棋士の将棋が
がらりと変えられた後だからこそ、
今回のアルファゼロには
あまり驚かないというだけのこと。

「もしこの将棋を2014年に見ていたら、
いや、これはとんでもないのが現れた!
となっているでしょうね」
と千田六段は語っていました。

まとめ

アルファゼロが
どんなソフトかということと、
千田翔太六段による
解説の要点をまとめました。

どうしても難しい内容に
なってしまいがちなところ、
千田六段は
わかりやすく説明しようとしてくれて
ありがたかったです。

これほど素晴らしい解説は
千田六段でなければ
できなかったでしょう。

今後、アルファゼロの将棋が
プロ棋士にも影響を与えることが
予想されます。

プロ棋士の戦型選択などが
どう変わっていくのか、
注目です。

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