「『自分の意見で生きていこう』はいい本?」
「ちきりんの本を初めて読むけど大丈夫?」
「実際に読んだ人の感想は?」
こうした疑問をお持ちではないでしょうか。ちきりんファン歴10年以上の私が、ちきりんさんの新刊「自分の意見で生きていこう」について、以下を紹介します。
- 本の内容
- おすすめな人4選
- 日常で気づいた「意見」のありがたさ
本書における「意見」とは何かを解説するので、自分に役立ちそうな本かを判断する助けになるでしょう。
また「意見を持とう」という本のメッセージの通り、私は「この本はおすすめです」というポジションを明確にして「意見」を書きます。ですので、すでに本を読んだ人は「こんな感想を持つ人もいるんだな」と楽しめるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
「自分の意見で生きていこう」における「意見」とは何か
タイトルにも入っている「意見」とは、いったい何なのか。それを知れるだけでも「自分の意見で生きていこう」には読む価値があると思います。私も目からウロコだった、その考え方を紹介します。
正解のない問題に対してあるのが「意見」
ちきりんさんは「世の中のあらゆる問題」を「正解がある問題」と「正解がない問題」に分けました。そして「正解がある問題」には、正解と誤答があります。
一方で「正解がない問題」には、正解はもちろん誤答もなく、あるのは「意見」だけだとしているのです。
こうして整理して示してもらえて、なるほどと思いました。「正しい意見」や「間違った意見」なんてありえないことが、はっきりわかります。
意見には「ポジジョンをとる」ことが必須
意見とは「ポジションをとること」だとも説明してくれます。ある問題の解決策に対して「賛成」「反対」という立場がはっきりしていないのであれば、それは意見ではないのです。
ちきりんさんが長年主張している「意味のない発言」についても、詳しく解説されていました。以下のような発言は、ちきりんさんは大嫌いです。
- 一概にそうとは言えない
- 検討する必要がある
- 例外もある
これらを言うとなぜか「アタマが良さそうに見える」のですが、実際には1秒も考えなくても言える、意味のない発言です。そして、これらは何も言っていないがゆえに反論もできません。
ポジションをとると、「反論されるリスクを負う」ことになります。だからこそ、わざわざ自分の意見を持って発言する人は少なくなりがちなのです。
「意見」と「反応」は違う
「意見」について語るうえで強調されているのが「反応とは違う」ということ。たとえば「新規事業は成功が見込めるから投資に賛成」という意見に対する「反応」として、以下のような発言が例示されています。
- 成功する確率は?
- 何の根拠あるのか?
- 判断の元となるデータは?
- そう簡単に決めていいのか?
- 資金はどうするのか?
- リスクが高いのでは?
これらのネガティブな反応は、なぜか「やや賢く、知的に、ちょっと考えているふうに」聞こえます。でも実際には、どれも何も考えなくても言えることです。反応している人はポジジョンを取っていないため、議論にすらなりません。
ただ、こういう発言ばかりになっている会議は多いでしょう。私も会社で働いていたとき、こういったネガティブな反応ばかりの会議は何度も経験しました。「なぜあの会議はあんなにも無意味だったのか」という疑問が、本書を読んですっきりと解消されました。
こうした「意見」についての考察は、これまでもちきりんさんはブログやTwitterなどで発信してきました。しかし根本的で大きな概念であるがゆえに、読み手が理解するのも大変です。断片的な発信では伝わりきっていない部分があると、ちきりんさん自身も感じていたようです。
今回「自分の意見で生きていこう」では、本という形で多くの文章と図やイラストを使って解説されました。そのことによって、ちきりんの主張が誰にとってもわかりやすくまとめられたと感じます。
「自分の意見で生きていこう」がおすすめな人4選
「こんな人におすすめしたい!」という人のパターンを、4つ紹介します。
1. ちきりんさんの本を読んだことがない人
まずは「ちきりんさんの本を読んだことがない」という人にオススメしたいです。はじめて読むのに、いまが最高のタイミングだからです。
本書はダイヤモンド社から出ている「〜〜しよう」というタイトルのシリーズの第4作であり、完結作です。「じゃあ前の本を先に読まないといけないのでは?」と思われるかもしれませんが、どの本から読んでもまったく問題はないため、心配いりません。ちなみに4部作は以下です。
ちきりんファンの私は、つねに周りの人にちきりんさんの本をおすすめしたいと考えています。しかし、なかなか「きかっけ」がありません。誰もが毎日を忙しく生きている状況で「この本を読んで!」とは言いにくいし、言っても実際に行動してもらうのは大変。すすめられた側としても「すぐに読んでみよう」とはなりにくいでしょう。
そんな中で「新刊が発売!」には、すごい力があります。本はいつでも読めるものなので「あとで読めばいい」となりがちですが、発売されたタイミングなら「いま読まないと!」という気分になるのです。
しかも「自分の意見で生きていこう」は特別な本です。ちきりんさんがビジネス書を書いたのは2016年11月以来、なんと約4年ぶりなのです。しかも、ご本人は「もう本は書かない!」なんてことまで言っています。
「ちきりんって聞いたことがあるし、なんとなく気になっている」という人にお伝えしです。どうせ読むなら、いまが大チャンス!発売直後のいまが、最高に新刊を味わえます。
本も鮮度って大事だと思うんです。本書では新型コロナウイルスなどの例え話が多数出てきますが、それらも数年経てば「そんな話も昔あったね」という感覚になってしまうでしょう。
ですから、ちきりんさんの本を読んだことがない方には、このタイミングを逃してほしくありません。もう二度と新刊は発売されない可能性すらあるとなれば、なおさらです。
2.「生きづらさ」を感じている人
いまの日本社会に「生きづらさ」を感じている人にも、本書をおすすめします。「自分の意見で生きていこう」には、自分の生き方を肯定して「これでいいんだ」と思わせてくれる力があるからです。
ちきりんさんは昔から「自分の好きなように自由に生きましょう!」というスタンスです。本書では「生き方に正解なんてない」ということが、ボリュームのある文章で説得力を持って語られています。
また「他者から承認されたいなら、まずは承認される対象の自己を確立しないとダメだよ」とも語られています。そして、その「自己を確立」する方法を教えることこそが、本書の主題です。
「ありのままでいいんですよ」という、ただ優しく癒やしてくれる本ではありません。「自分の意見で生きていこう」は、「生きづらさ」を解消するために、具体的な一歩を踏み出す方法を教えてくれる本です。
私自身、2015年に新卒で入社した会社を退職するときには大いに悩みましたが、ちきりんさんの考え方に救われました。「周りの人と違う自分」に悩んでいる方には、ぜひ本書を読んでほしいです。
人生において大事なことには、正解なんてありません。
- 大学に行くべきか
- 転職すべきか
- 結婚すべきか
- 家を買うか賃貸か
- 延命治療をすべきか
そして、正解を探しても誰も与えてはくれません。「自分の意見」を持つしかないんです。
3. ふだんビジネス書を読まない人
ふだんビジネス書を読まない人ににこそ、「自分の意見で生きていこう」をおすすめします。ちきりんさんの本は、とにかくわかりやすくて読みやすいことが特徴だからです。
「勉強になるビジネス書」「役に立つビジネス書」というのは、世の中にたくさんあります。べつにちきりんさんの本だけが、特別に勉強になるとは思いません。でも「読みやすさと内容の深さを高いレベルで両立している」のが、ちきりんさんの本が特別にすごいところです。
世の中には、ビジネス書を1週間に数冊のペースで読む人もいます。そういう人には、私もちきりんさんの本をおすすめしようとはあまり思いません。「ビジネス書はなんだか難しそうだから苦手」という人にこそ、おすすめしたいです。
ちきりんさんの文章の読みやすさを伝えるには、説明するより読んでもらった方が早いでしょう。ちきりんさんの文章のわかりやすさと読みやすさは、ブログと本でまったく変わりません。
とりあえず身近な話題で私が好きな記事を貼っておくので、「本当に読みやすいのかな?」と思う方は、お試しでサクッと読んでみてください。
4. ちきりんさんの発信を追っていない人
ちきりんさんの発信をふだん追っていない人にこそ、本書をおすすめします。「こんな考え方は聞いたことがない!」と新鮮な驚きを感じながら、読み進められるからです。
ちきりんさんは以下の媒体を使ってひんぱんに発信しており、Voicyにいたっては毎日更新です。
- Voicy(音声配信)
- ブログ
- 本
私はこれらの発信を10年以上にわたってチェックしています。すると「自分の意見で生きていこう」を読んでいても、「これはあのブログに書いてあったことだな」「あのツイートの主張だな」と気づくことが多くなるのです。
それはそれで楽しいのですが、初めてちきりん独自の意見に触れたときの「衝撃的なおもしろさ」には勝てません。だから、ちきりんさんのふだんの発信を追っていない人が本を読むのは、少しうらやましく感じます。
「ちきりんさんを知らないなんて、人生の○割損している!」なんて言うつもりはないのですが、本の一冊だけでも、ぜひ一度読んでみてほしいとは思うのです。
弟との会話が楽しいワケ
「自分の意見で生きていこう」を読んだおかげで、私が「会話が楽しい」と思えるときがどんなときなのか、言語化できました。私には弟が2人いて、彼らと話すのはなぜか楽しいのですが、その理由がわかったのです。
どうやら弟らは以下の条件を満たしているから、会話がおもしろいようです。
- 自分の「意見」がある
- 違う意見があることを理解している
- だから相手の意見を否定しない
逆にいえば、これらがあてはまらない人と話しているときは、それほど楽しくありません。自分の意見を否定されたらおもしろくないのはもちろんですが、多いのは「反応」ばかりという場合です。
私が何かについて意見を言っても、それに対して「反応」するだけで、相手がポジジョンを明らかにしない。そうなると話が盛り上がらなくて、なんだか消化不良になってしまいます。
いままでは、弟と話すのが楽しいと感じる理由は、なんとなく以下かなと思っていました。
- アタマがいいから?
- 過去の経験を共有しているから?
- 性格をわかっているから?
こうした要因も関係してはいるでしょう。でも、こうした条件を満たしていても、話していて楽しくない人もいます。「自分の意見で生きていこう」で「意見と反応の違い」がわかったことで、私の長年の疑問に答えが出ました。
今後も人生において「答えのない問題」は、たくさん自分の身に降りかかってくると思います。「弟に意見を言えば、意見が返ってくる」と思えるのは、私にとっては楽しいだけでなく、とても心強いです。
ちなみに、私は弟らにちきりんさんの本をプレゼントして、読んでもらうといったこともしてきました。いつも「おもしろかった!」と好評です。
「自分の意見で生きていこう」もプレゼント用としても一冊購入したので、近日中に渡します。本をきっかけに感想や「意見」を言い合ったりするのが、いまから楽しみです。
オマケ:ちきりんさんとの記念写真
オマケの話として、私は実はちきりんさんにお会いしたことがあります。2015年2月28日のことです。当時はいま以上に、ちきりんさんは謎に包まれた存在だったので、大興奮でした。
そのとき、ちきりんさんに記念撮影に応じてもらいました。いまを逃すと、もう公開する機会がないかもしれないので、私の秘蔵写真を載せておきます。
この写真につながった「ちきりんさんとのお茶会」については、こちらの記事に詳しく書いています。もし興味があれば、読んでみてください。