将棋の順位戦には
5つのクラスがありますが、
これは大きく2つに分類できます。
A級とB級1組を「上級グループ」、
B級2組、C級1組、C級2組を
「下級グループ」と分類すると、
2つのグループには
大きな違いが3つあるのです。
こうしてグループ分けしてみると、
順位戦の新たな一面が見えて
観戦がおもしろくなりますよ。
将棋の順位戦は2つに分けられる
将棋の順位戦のクラスは
A級、B級1組、
B級2組、C級1組、C級2組と
5つに分けられています。
そして、
上のクラスに行くほど
人数が減るので、
この構造はよく
「ピラミッド型」
に表されます。
絵に書くとこんな感じ↓
ですが、
私はこのピラミッド型に
不満があります。
このピラミッドは
ひとつながりではなく、
明確に2つに分かれる
と考えるからです。
その境目となるのは、
B級1組とB級2組の間。
つまり、
絵にするとこうなります↓
なぜ、このように2つに
分けられるのでしょうか?
説明にあたっての前提として、
順位戦を2つに分けた場合、
それぞれのグループを
以下のように呼ぶことにします。
- 上級グループ:「A級」と「B級1組」
- 下級グループ:「B級2組」と「C級1組」と「C級2組」
「上級グループ」と「下級グループ」は
自分が勝手に名付けたもので、
一般的に使われている
言葉ではありません。
では、
この2つのグループの違いを
詳しく見ていきましょう。
違い①在籍人数が決まっているか、変動するか
まず、上級グループでは、
在籍人数が決められています。
A級は10人、B級は13人です。
棋士の引退などによって
この通りの人数に
ならない場合もありますが、
原則として人数は固定なのです。
一方、下級グループでは、
リーグに在籍する人数は
決まっておらず、
つねに変動します。
リーグ戦においては、
本来は在籍人数というのは
とても大事なはず。
それが変わっても問題ないのは、
上級グループとは
次の違いがあるからです。
違い②総当たりか、対戦相手が抽選で決まるか
上級グループでは、
リーグ戦が総当たりで行われます。
つまり、在籍人数が10人の
A級であれば全員が9局、
13人のB級1組であれば
全員が12局
対戦することになります。
リーグに属する全員と対戦したうえで
自分の順位が決まるわけですから、
とても納得感のある仕組みです。
というか、
リーグ戦であるからには
総当たりでないと意味がないのでは
と私は考えています。
一方、下級グループでは
総当たりが行われることはなく、
各棋士の対局数は
在籍者数に関わらず10局だけです。
そして、
対戦相手は抽選で決められます。
下級グループでは
在籍者が人数が多いので、
総当たりができないのは
仕方がない面はあります。
ただ、対戦相手が
抽選によって決まるとなると、
対局相手が
特に強い人ばかりになったり、
あるいはその逆もありえます。
昇級できるかどうかには、
実力だけでなく
「対戦相手が誰になるか」という
運の要素もからんでくる
ことになります。
違い③すぐに降級するか、降級点か
上級グループでは、
最終順位が低い棋士は
すぐに降級となります。
A級でもB級1組でも、
毎年必ず2人が降級するのです。
棋士にも
調子の波がありますから、
それまで毎年安定して
リーグの上位にいた棋士でも、
たまたまあまり勝てなかった一年
というのもありえます。
その場合でも
問答無用で降級となるので、
毎年誰にでも
降級の恐れがあるという
厳しい状況での対局となります。
そのため、
非常に緊張感のある戦いを
見ることができるのです。
一方、下級グループのリーグでは、
順位が低い年があっても
すぐに降級することはありません。
たとえ10局対戦して
0勝10敗だとしても
降級しないのです。
なんだか納得いかなくて、
本来はすぐに降級するべきなのではと
思ってしまいます。
なぜすぐに降級しないかというと、
下級グループでは
「降級点」という制度があるからです。
「降級点」という
面倒な制度があるのは、
下級グループの
B級2組、C級1組、B級1組
だけです。
上級グループのA級とB級1組には
「降級点」は存在しません。
「降級点」の仕組みは複雑なので
別の記事で詳しく説明しています。
まとめ
このように、同じ順位戦の中でも
上級グループと下級グループでは
大きな違いがあります。
私は上級グループの仕組みが
スッキリしていて好きなので、
なんなら順位戦の全部のクラスで
上級グループと同じ仕組みを
採用してほしいと思っています。
ただ、将棋棋士の人数は多いので、
現実的には
そうはできないのでしょうね。
こうしたことを知ったうえで
「A級とB級1組は別格」という
意識を持っておくと、
将棋界の見え方が少し変わりますよ。
順位戦の仕組みについては
こちらの記事も合わせてどうぞ。
他のタイトル戦の仕組みは、
こちらの記事に書いています。