雑誌「将棋世界」に
毎号必ず掲載されている「昇段コース」。
これを利用すれば
誰でも段位を認定してもらえ、
免状の取得が可能になります。
私自身も昇段コースを利用して
四段免状を取得し、
現在は六段コースに挑戦中です。
将棋世界の昇段コースの仕組みは
わかりにくいところもあるので、
詳しく解説します。
段位を認定してもらう方法は
他にもあるなかで、
あえて将棋世界の昇段コースを選ぶ
メリットとデメリット
についてもまとめました。
免状を申請については
こちらの記事をどうぞ↓
次の一手問題を解いて往復ハガキを送る
昇段コースで実際にやることは
「次の一手問題を解いて、
その解答を往復ハガキで送る」
です。
毎月発行される将棋世界には
4問ずつ「次の一手問題」が
掲載されています。
掲載された局面での
最善手を考えて、
その答えを往復ハガキに書いて
将棋連盟に発送。
その際には
将棋世界の応募券を切り取って
ハガキに貼り付ける必要があります↓
しばらくすると
ハガキが帰ってきて、
正解した問題数に応じて
点数がもらえます。
これを毎月繰り返して、
点数を段位ごとに決められた
「卒業点数」まで収集。
そして集めたハガキをまとめて
将棋連盟に送ると
段位の「卒業証」が返送されます。
この卒業証を得ることで
段位を認定されたことになり、
申請してお金を払えば
免状を取得できる。
これが大まかな仕組みです。
初段からひとつずつしか上がれない
段位を認定してもらう方法が色々ある中で、
将棋世界には大きな特徴があります。
それが
「初段からひとつずつ段位を
認定してもらわなければいけない」
ということです。
例えば、
昇段コースへの挑戦を始めた時点で
すでに四段の実力があったとします。
それでもまずは
初段コースに挑戦して点数を集めて卒業し、
その後二段→三段→四段と
各コースを順番に卒業しなければいけないのです。
そして、
各コースを卒業するには
それなりに時間がかかります。
どういうことなのか、
初・二・三段コースと
四・五・六段コースでは
出題される問題や点数が違うので
分けて説明します。
初・二・三段コースでは、
1問正解すると100点で、
4問すべて正解すれば
1ヶ月で400点が集められます。
それを元に
各コースの卒業点数と
最短月数をまとめると以下の通りです。
二段コース:1200点(最短3ヶ月)
三段コース:2000点(最短5ヶ月)
次に四・五・六段コース。
こちらは1問正解すると500点で、
4問すべて正解すれば
1ヶ月で2000点が集められます。
とはいえ、
四・五・六段コースの問題は
難問ぞろいなので、
全問正解するのは難しいです。
こちらも各コースの卒業点数と
最短月数をまとめると以下の通りです。
五段コース:12000点(最6ヶ月)
六段コース:20000点(最短10ヶ月)
昇段コースのデメリット
この昇段コースで段位を認定してもらう
最大のデメリットは、
認定までに時間がかかる
ということです。
上記のような仕組みになっているので、
例えば四段を認定してもらうには最短でも
2 + 3 + 5 + 5 = 15ヶ月
もかかります。
現状、最も手軽に段位認定してもらえるのは
「将棋ウォーズ」だと私は考えています。
他の段位認定方法については
こちらの記事に書きました↓
「将棋ウォーズ」はスマホの将棋対戦アプリ。
強い人なら短期間に勝ちまくれるので、
ゲーム内での段位がどんどん上がっていきます。
1ヶ月も経たずに四段に昇段することも可能であり、
ゲーム内の段位をもとに
段位を認定してもらうことができます。
この「将棋ウォーズ」と比べると
将棋世界の昇段コースは
とんでもなく時間がかかってしまうのが欠点。
そのため、
なるべく早く段位を認定してほしい人には
昇段コースは向いていません。
それに加えて、
昇段コースにはお金もかかります。
将棋世界の820円に加えて
往復ハガキの126円で、
毎月946円。
例えばこれを15ヶ月続けると、
それだけで14190円です。
さらに各段位の卒業証を受け取るには
封筒をやりとりする必要があるので、
その切手代も加えてかかります。
まとめると、
時間もお金もかかる
のが将棋世界の昇段コースのデメリットです。
昇段コースのメリット
逆に昇段コースのメリットとしては
「実力を養うことができる」
ことが挙げられます。
「次の一手」の問題は
どれもよく練られた問題なので、
解答をがんばって考えることは
局面を深く読む訓練になります。
また、2ヶ月後に発表される
問題の正解とその解説を読むことで、
自分が知らなかった色々な手を
知ることができます。
自分が必死になって考えた問題だと、
答えと解説を見たときに
得るものが多くなり、
実力がつくものです。
また、
たとえ将棋の実力があまりないとしても
点数は毎月少しずつたまっていくでしょうから、
時間とお金さえかければ
誰でも六段まで目指せます。
これは「将棋ウォーズ」など
他の段位認定方法にはあまりない、
昇段コースならではのメリットです。
さらに、点数を集めているうちに
それ自体が楽しくなってきて
将棋を続けるモチベーションになるというのも
昇段コースの良いところです。
段位認定に関係なく
毎月将棋世界を買っているという人であれば、
お金がかかるという点も
あまり気にならないでしょう。
つまり、以下に当てはまる人には、
将棋世界の昇段コースがオススメできます。
・次の一手問題で実力をつけたい
・自分の実力以上の段位を目指したい
・いずれにせよ将棋世界は毎月買う
私も昇段コースに挑戦中
私が昇段コースを始めたのは
10年以上前の大学生のとき。
もともと私は将棋世界を毎月買っており、
隅から隅まで読んでいました。
そのうち
「せっかく毎月買っているのだから
昇段コースもやってみるか」
という軽い気持ちで
次の一手の解答を送るように。
やっているうちに
だんだん楽しくなってきて、
将棋の上達にも
役立っている実感がありました。
私は定跡書を読むのは好きですが
次の一手の問題は
あまり好きではありません。
ふだん次の一手問題を解くことは
ほとんどないので、
昇段コースの問題に取り組んだのは
とても良い機会でした。
何年か中断していた時期があったものの
コツコツと続けて、
今は最後の六段コースに
挑戦を始めたところです。
自分のことながら
よくここまで続いたなと思います。
冒頭の写真は五段コースの卒業証。
ここまで来たからには、
のんびりとでいいので
六段コース卒業を目指したいですね。
まとめ
将棋世界の昇段コースでは、
次の一手問題を解いて
解答を往復ハガキで送ります。
初段からひとつずつ
段位が上がっていく仕組みなので、
希望の段位の認定までに
時間とお金がかかるのがデメリット。
一方で、
毎月問題を解くことで実力がついたり、
誰でも六段まで到達することが可能なのが
昇段コースのメリットです。
興味のある方は、
ためしに将棋世界を買って、
初段コースから始めてみては
いかがでしょうか。
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