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「将棋めし」第5巻感想、「三羽烏」それぞれの家族の問題と三人の絆

 
「将棋めし」第5巻感想
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

「将棋めし」第5巻感想

「将棋めし」の第5巻が
昨日発売になりました。

私もさっそく買って読み、
とても面白かったです。

第5巻では
なゆた、宝山、黒瀬の「三羽烏」の内面が
それぞれ深く掘り下げられて、
三人の過去も明らかになってきました。

それぞれ幼ないころから
家族に問題を抱えていたのです。

出会ってすぐに
仲良くなった三人。

その背景には
家族に問題を抱えた者どうし、
言葉で何も言わなくても
伝わるものがあったのではないかと
私は感じました。

第5巻の感想として
そのことについて書いていきますが、
ネタバレがあるのでご注意ください。

 

冒頭のイラストは
マンガをお手本に私が描きました。

おいしそうに食べるなゆたは
いいですね。

「将棋めし」と「三羽烏」とは

「将棋めし」は2016年から
「コミックフラッパー」で
連載されているマンガです。

第5巻はこちら↓

 

将棋の対局中の食事
にスポットを当てるという、
斬新な作品。

将棋を題材にしたマンガや
グルメマンガは色々ありますが、
ここまで対象を絞っているものは
他にはありません。

将棋監修を務めているのは
昨年羽生善治さんから
タイトルを奪ったばかりの
広瀬章人竜王

将棋の内容も手を抜かず
しっかり描かれています。

「将棋めし」は2017年には
ドラマ化もされており、
人気のある作品です。

 

この作品の主人公の峠なゆたは
女性棋士でしかもタイトルホルダー
という立場。

現実の将棋界には
タイトルホルダーどころか
女性の棋士すら一人もいない中で、
かなり思い切った設定と言えます。

なゆたの幼少の頃からの
友人でありライバルなのが、
黒瀬時彦(くろせときひこ)と
宝山貴善(ほうざんたかよし)。

作品中ではその仲の良さから
「三羽烏(さんばガラス)」
と呼ばれています。

 

物語は第1巻から第4巻まで
なゆたを中心に進んできましたが、
第5巻では宝山と黒瀬の視点からのエピソードも
本格的に盛り込まれていました。

そして、
これまで謎に包まれていた
宝山と黒瀬の過去や
幼少期の三人の出会いも明らかに。

その中でも、
三人がそれぞれ
家族の問題を抱えていたことが
私は気になったので、
まとめてみました。

「三羽烏」それぞれの家族の問題

①峠なゆた:両親が別居

まず主人公のなゆたの場合。

なゆたの父親はプロ棋士、
母親は女流棋士です。

しかし、
なゆたが3歳の時から
両親は別居

それからは母親と
大阪で暮らしていましたが、
小学生のときに
父親に弟子入りすると同時に
東京に引っ越した
という過去があります。

 

母親と父親の
どちらかとしか一緒にはいられず、
わがままも言えない。

幼いなゆたにとっては
寂しい状況だったはずです。

②宝山貴善:両親と死別

宝山の場合は、
すでに両親と死別しています。

父親を子供のときに事故で亡くし、
母親は病気で宝山のプロ入り後に
亡くなりました。

なゆたや黒瀬と出会った頃には
母親はまだ生きていましたが、
そのころから病弱。

 

親に甘えることができない境遇で、
なゆた以上に
孤独を感じていたであろうことが
想像できます。

③黒瀬時彦:兄ばかりひいき

黒瀬にとっては、
兄の存在が大きいです。

なゆたや宝山と違って
両親に問題はないようですが、
その両親は
兄ばかりに注目してひいきします。

黒瀬は何不自由なく育ってきたと思う一方で、
第5巻ではこんな思いが書かれています。

「兄」という存在の前で
「おれ」は無力だった

何者でもなかった

ただの時彦でしかなかった

 

幼い頃から
「誰も自分のことを見てくれない」
と感じていた黒瀬。

なゆたや宝山と同じく、
孤独で寂しかったことでしょう。

家族の問題を抱える者どうしで生まれた絆

このように、
「三羽烏」の3人は
それぞれに家族の問題を抱え、
孤独でした。

この過去の設定が
物語全体に深みを与えて
説得力のある世界観ができあがっており、
それがすごいと私は感じました。

「3人は出会ってすぐに仲良くなり、
それ以来ずっと関係が続いている」
とだけ書くと
ただの都合のいい設定に思えます。

しかし、
3人の過去が明かされた後になってみると、
このことは必然だったというか
すごく納得感があるのです。

 

幼い頃に家族に問題があったとしても、
子どもはそれを人に言う機会はなく
自分の中で抱え込むしかありません

なぜなら、
本来はそうした問題を
相談するべき相手である両親が
問題の原因なのですから、
話相手がいないからです。

一方で
周りの子ども達は親から愛され
何の悩みもないように見えるので、
よけいに孤独を感じてしまいます。

 

そんなときに
三人はこども将棋大会で出会った。

その時点で三人はそれぞれ
かなりの将棋の実力があったので、
将棋を指すことですぐにお互いを
認め合えたようです。

そしてそれだけでなく、
「この子は他の子とは違う」
ということを
お互いに感じたのでしょう。

それは両親にたっぷり愛されてきた
他の子どもにはない雰囲気を、
お互いにまとっているから。

現実にもそうやって
わかり合えることはあるもので、
すごくリアルな表現になっているのが
素晴らしいです。

 

三人の過去とその絆の背景
が明かされたことで、
私は「将棋めし」という作品が
より好きになりました。

まとめ

「将棋めし」の第5巻では、
「三羽烏」と呼ばれる
3人の仲良し棋士に
焦点が当てられています。

宝山と黒瀬の過去や内面は
これまであまり明かされてこなかったので、
とても新鮮。

3人がそれぞれ
家族に問題を抱えていたことがわかり、
幼いころに出会ってすぐに仲良くなったという過去に
私はすごく納得しました。

こんなふうに
登場人物達の関わりが
丁寧に描かれている「将棋めし」は
とても良い作品だなと思います。

 

 

作者の松本渚さんが
第1話をツイッターで無料公開してくれているので、
ぜひ読んでみてください↓

 

 

「将棋めし」第1巻はこちら↓

 

 

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「みろく庵」に行ったときのことを書いた
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