「りゅうおうのおしごと!」13巻の感想~一息つく短編集~

「りゅうおうのおしごと!」13巻の夜叉神天衣

「りゅうおうのおしごと!」の13巻が発売になりました。私もさっそく読んだので、感想を書いていきます。

13巻には短編が3つ盛り込まれていていつもとは内容の構成が違っていたので、けっこう驚きました。13巻を一言でいえば「一息つく短編集」です。

本記事にはネタバレがあるので注意してください。冒頭のイラストは自分で描きました。

「りゅうおうのおしごと!」については他の記事も書いているので、こちらからどうぞ。

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目次

「りゅうおうのおしごと!」13巻の構成

「りゅうおうのおしごと!」の13巻はこちらです。

13巻はいつもの巻とは内容がずいぶん違っています。メインのお話の合間に短編がはさみこまれる構成となっているのです。

メインのお話というのは、ヨーロッパに引っ越すことになった水越澪ちゃんをあいちゃん達が関西国際空港まで見送る話です。そしてメインの話が終わった後にオマケとして九頭竜八一と空銀子のお話である「白雪姫と魔王の休日」が配置されています。つまり、13巻は以下の3つで構成されています。

  1. 最後のJS研(その1〜4)
  2. 短編3つ
    1. JSの夏
    2. 空銀子☆聖誕祭
    3. クイズ!将棋アカデミー
  3. 白雪姫と魔王の休日

こうした短編集が盛り込まれた構成は過去にも一度だけあって、それは8巻です。8巻では供御飯万智さんと月夜見坂燎さんのタイトル戦がメインのお話で、そこに短編が3つはさまれていました。あのときと同じ感じです。

この構成のいいところは、色々なシチュエーションでのお話を楽しめるところ。どれもドタバタとした笑えるお話で、気楽に楽しめます。

今回の短編はドラマCDの脚本を小説化したものということで、ドラマCDを聞いたことない私にとっては「こういう内容だったんだな」というのがわかってありがたかったです。

11巻と12巻では銀子の奨励会がメインの舞台で、JS研のメンバーの出番があまりありませんでした。そのバランスをとる意味でも、13巻でJS研のお話をじっくり読めてよかったです。

シリアスなお話がつづいていた中で、13巻は次のお話が始まる前の「息抜き」といった感じがします。13巻の末尾の白鳥士郎さんは「最終章への仕込みも着々と行っています」とコメントしていました。

次が「最終章」ということで、「りゅうおうのおしごと!」ももうじき終わってしまうんですね・・・。それはともかく、13巻はただの息抜きだけではなく、次に向けて伏線が張られているようなので、それがどこなのか楽しみです。

ちょっと予想してみると、囲碁の本因坊シューマイさんが再登場したのがイキナリに感じたので、彼女が物語に関わってくるのかも。女性なのに囲碁界のビックタイトルの本因坊を持っているうえにあの個性的なキャラクターなので、これからさらに活躍してもおかしくありません。

またヨーロッパに行った澪ちゃんは、あちらで将棋をがんばると言っていたのも気になります。澪ちゃんが海外からの招待選手として再登場することもありえそうです。

前に進めないままのあいちゃん

雛鶴あい「りゅうおうのおしごと!」

13巻では短編を楽しめた一方で、本編のお話がほとんど進まなかったというのは少し残念なところ。特に私が気になっているのがあいちゃんと銀子の関係です。

八一は銀子と付き合うことになったのに、あいちゃんにそのことをきちんと伝えられないまま。もうあいちゃんが八一と結ばれることはなさそうなので、あいちゃんはいずれそのことを受け入れないといけません

これは11巻のときからずっと後回しにされている大きな問題で、この13巻でようやくケリがつくだろうと期待していたのですが・・・。あいちゃんは13巻では八一とも銀子とも一言も会話をせず、二人の関係を受け入れる場面はさらに14巻に持ちこしになりました。

ここで13巻の表紙のイラストの話をすると、描かれているのはあいちゃんと銀子の二人ですよね。だから13巻では
の二人の関係が進展するのだなと、私は予想していました。それだけに肩透かしをくらった気分です。

まあイラストでも二人は目を合わせることもなくお互いに「眼中にない」という様子なので、その意味では13巻の内容を反映しているとも言えます。

あいちゃんが持っている手紙は八一に宛てて書いたものかと思いきや澪ちゃんからもらったもので、これに関しては予想が外れたことで意外な展開を楽しめました。

澪ちゃんが勝てた2つの理由

空銀子「りゅうおうのおしごと!」

13巻でのいちばんの山場はあいちゃんと澪ちゃんの対局。これが本巻できちんと描写された唯一の対局でもあります。この一戦であいちゃんが負けたというのは意外な展開でした。

3巻ではあいちゃんが澪ちゃんに駒を落として勝ってしまい、そのことに大きなショックを受けました。そのシーンはアニメでも描かれており、印象的な場面です。

あれから約1年の次巻がたって、二人の実力差はさらに離れているはず。その実力差をこえて澪ちゃんが勝ったというのは、私にとって驚きだったわけです。

でも、澪ちゃんが勝てた理由が2つ用意されていたことで、その勝利がご都合主義的だとは感じませんでした。

まず、1つ目は「精神攻撃」。澪ちゃん自身もこう言っています。

「あいちゃんが調子を崩すときは、将棋以外のことで悩んでいるときだもんね。

だから勝負するタイミングも選んで、途中で手紙なんて見せたりして、揺さぶりを掛けたんだよ」

「将棋以外で悩んでいるときに調子を崩す」というのはその通り。あいちゃんがマイナビ女子オープンで月夜見坂さんに負けたときも、竜王戦で追い詰められた八一に冷たくされたことが原因でした。

13巻では澪ちゃんがあいちゃんのことをずっと意識していたことが明らかになりましたが、たしかにあいちゃんのことをよく見ています。

澪ちゃんが勝てた理由の2つ目は「徹底した研究」です。ソフトを使いつつ、あいちゃんの将棋を序盤からときには詰みまで
徹底的に研究していました。

その事前準備があれば、精神的に弱ったあいちゃんを倒すことは可能でしょう。澪ちゃんだってなにわ王将戦で優勝する実力の持ち主で、決して弱くはないのですから。

澪ちゃんに負けてお別れしたことで、あいちゃんの心境にも大きな変化があった様子。この経験が八一と銀子の関係を受け入れるときの役に立てばいいのですが、どうなるでしょうか。

夜叉神天衣の出番はバッチリ

夜叉神天衣「りゅうおうのおしごと!」

私が「りゅうおうのおしごと!」でいちばん好きなキャラクターは夜叉神天衣ちゃん。13巻でもきっちり出番が用意されていて、おいしいところを持っていきました。

澪ちゃんの前にいきなり現れ、素直に見送りに来たとは言わずに、ささっと服をプレゼント。さらに澪ちゃんと二人っきりで深い話を長々としてあげました

そして他のJS研のメンバーには会いもせず、存在を知られないまま去っていくと。カッコいいですね。去り際には「一緒に競い合う仲間に出会えたから」と素直なことを言って、これまでとの違いも見せていました。

「自分の気持を偽ったり、隠したりするのは、もうやめたの」と天ちゃん自身が言うように、ツンデレの少女から素直さをもつ大人へと大きく進化している様子。

ここ最近は悩んでばかりで前に進めないままのあいちゃんと天ちゃんとで、大きな対比になっています。やはり二人の「アイ」はどこまでいっても対照的です。

天ちゃんのロシアとイタリアでの衣装は、どちらもかわいかったです。ロシアの方の衣装は本編では「昔のアニメとかに出てきそう」とボカして表現されていましたが、まるっきり「銀河鉄道999」のメーテルですね。

私はメーテルも昔から好きなので、天ちゃんとの組み合わせは私にとってドンピシャ。というわけで、自分でも描いてみたわけです。

「りゅうおうのおしごと!」13巻の夜叉神天衣

13巻の内容を考えると本当は澪ちゃんのイラストにでもするべきなのかもしれませんが、私の好みを優先しました。13巻のイラストを見ながら描いて、わりとうまくできたと自分では満足しています。

13巻にはなかった「感想戦」

空銀子「りゅうおうのおしごと!」

13巻がいつもと違うところは、短編をはさんでいたことだけではありません。巻末の「感想戦」のコーナーがなかったのです。

これは「りゅうおうのおしごと!」においてはじめてのこと。私はいつも最後に「感想戦」を読むのを楽しみにしていたので、なかったのはちょっとショックでした。

でも巻末の「白雪姫と魔王の休日」のお話の中で供御飯さんと月夜見さんが登場したので、実際にはいつもどおりに「感想戦」があったようなものでした。一冊を読み終える前にあのコンビがが登場すると、なんだかホッとしますね。

次巻以降で「感想戦」のコーナーが復活するのかも要チェックです。

まとめ

  • 「りゅうおうのおしごと!」13巻は「一息つく短編集」
  • メインのお話は空港への澪ちゃんのお見送り
  • 澪ちゃんがあいちゃんに勝った展開は説得力があってよかった
  • あいちゃんが八一と銀子の関係を認める話に進展がなくて残念
  • 天ちゃんの見せ場があってうれしかった

これまでのシリアスな展開から13巻で一息ついて、次巻からは最終章に入るようです。物語がここからどう展開していくのか楽しみですね。

特にあいちゃんが銀子の存在をどう受け入れて成長していくのかに、私は注目しています。

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