日本人が話す英語は聞き取りやすく、
日本人が書いた英語は読みやすいと
私は感じます。
ネイティブの外国人の方が
英語を扱うのは上手なはずですが、
その英語は聞き取るのも読むのも
大変だったりします。
なぜ日本人の英語は理解しやすいのか、
考えてみました。
私の結論は、
「日本で同じような英語教育を受けて、
同じような英語の勉強をしたから」
というものです。
日本人の話す英語は聞き取りやすい
日本人の聞き取りやすくて
読みやすいというのは、
私は10年ぐらい前の
大学生のころから感じていました。
最近でもこのことを実感するのが、
テレビのニュースで
英語が聞こえてきたとき。
英語の音声だけ聞けば
画面を見ていなくても、
「この英語は日本人が話しているな」
と私は簡単にわかります。
首相や外務大臣が話しているなら
声を覚えているからわかるのだと
理由もつくのですが、
知らない人の声でもすぐわかるのは
自分でも不思議です。
そして、日本人が話す英語なら、
話している内容も
字幕なしで理解することができます。
ちなみに字幕なしで理解できるのは、
日本人が話しているとき限定。
同じような話の内容でも、
例えばアメリカ人やイギリス人が
話している英語は、
何を言っているのか全然わからないのです。
日本人の書く英語は読みやすい
話す英語だけでなく、
日本人の書いた英語も読みやすいです。
このことに気付いたのは、
私が大学の研究室にいたとき。
私の専攻の物理学では
論文はほぼすべて英語なので、
英文を苦労して読まなければいけません。
ただでさえ専門的で難しい内容なのに、
それが英語で書かれているのですから
一文読み進めるのも大変です。
ところが、たまになのですが
すごく読みやすい論文があるのです。
英語なのにスラスラ読めて、
書いてある内容も
どんどん頭の中に入ってきます。
「これはすごい!
ついに自分の中に秘められた
超英語能力が開花したか!」
などと思うのですが、
そんなときは論文の著者をよく見れば
突然英語が読めるようになった
謎が解けます。
そう、そんなときは大抵、
日本人が書いた論文なのです。
論文を読み始めるときは
著者が誰かを気にしないことも多くて、
後で日本人であることに気付く、
こいういう経験を何度もしました。
その後、日本人以外が書いた論文を読むと、
今までと変わらず
英文を理解するのに苦しむ自分に気付きます。
自分の英語力が上がったわけでなくて、
しょんぼり。
ネイティブの英語と比較
このように、私の経験上、
日本人の英語は理解しやすいです。
一方で、理解しにくい英語もあります。
その代表が、ネイティブの人の英語です。
アメリカ人やイギリス人など、
生まれたときから
ずっと英語を使っている人の英語は
聞くのも読むのも大変です。
まず、彼らが話すときはとても早口。
ものすごい速さで話すので、
そもそも単語を聞き取るのが困難ですし、
もし聞き取れたとしても
話の内容の理解が追いつきません。
また、書いた英語を読むのも大変です。
さきほどの論文の例で言えば、
一文一文がすごく長いことが多い。
ピリオドとピリオドとの間に
いくつもいくつも
接続詞やら関係代名詞やら関係副詞やらが
詰め込まれて、
どこまで読んでも一文が終わらない。
日本語の文を例にすると、
「〜〜が〜〜して、〜〜したんだけど、
〜〜は〜〜だったから、結局〜〜は、
〜〜のときに〜〜することになった。」
みたいな感じです。
こんな調子の文章は読むのが大変ですが、
なぜか英語のネイティブは
こいういう英文が大好き。
ネイティブの人は
英語をいとも簡単に操るので
問題ないのでしょうが、
私のように英語に不慣れな人には
難しく感じてしまいます。
非ネイティブの英語はどうか
では、非ネイティブの英語なら
どうでしょうか。
例えばドイツ人や中国人の英語なら、
理解がしやすいのでしょうか。
実は、そうでもありません。
ネイティブの英語に比べれば
少しはマシと言う程度で、
理解が大変であることに変わりはありません。
つまり、外国人の英語は、
ネイティブであれ非ネイティブであれ、
聞くのも読むのも大変。
日本人の英語だけが、
圧倒的に理解しやすいのです。
聞き取りやすくて読みやすい理由
日本人の英語だけが
聞き取りやすく読みやすい理由を
自分なりに考えてみました。
私の結論は、
「私も日本人であり、
他の日本人と同じような教育を受けて、
同じような環境で育ってきたから」
です。
これが理由とすれば、
外国人であれば
ネイティブか非ネイティブかに関わりなく、
その英語が理解しにくいことにも
説明がつきます。
日本人の英語が聞き取りやすい理由
まず聞き取りやすい理由ですが、
これは日本人の英語の発音が
「カタカナ英語」だからです。
英語の教科書には
発音がカタカナで振ってあります。
身の回りには英語をカタカナ表記したものが
あふれていて、
英語の発音もカタカナ読みに近くなります。
そいういったものの影響で、
日本人の英語の発音は、
カタカナのような発音に
歪められていると感じます。
もちろん、私もずっと日本に住んで
日本で教育を受けてきたので、
私の英語も歪んでいます。
同じ方向に歪んだもの同士であれば、
そこだけで理解し合える
奇妙な世界ができあがります。
その結果、
日本人にとって日本人の英語は
聞き取りやすいものになるのでしょう。
日本人の英語が読みやすい理由
日本人が書いた英語が理解しやすいのも、
教育の影響が大きいと思います。
日本の英語教育は、
外国に比べると
「知識偏重」で「読み書き重視」
だと言われています。
これは高校受験や
大学受験の影響が大きいです。
日本の中学生や高校生が英語を勉強するのは、
外国人とコミュニケーション
できるようになるためというよりは、
受験に合格するためです。
そこで、入試問題を解けるようになるため、
英語の文法をたくさん頭に詰め込みます。
私も本文中で「関係代名詞」「関係副詞」
なんて用語を使いましたが、
そいういう知識が
今でも頭に染み付いているほど。
当然、英語を書くときにも読むときにも
そいういう知識を元にします。
すると、同じように受験のために
英語を勉強したものどうしでは、
扱える英語の表現が似てきます。
これが原因となって、
日本人の書いた英語が
理解しやすくなっているのだと
推測します。
考えてみれば、学術論文は
特にそういった傾向が出やすいでしょう。
なぜなら、英語で論文を書いたり
読んだりする立場の人というのは、
大学受験のときにも一生懸命勉強した人だから。
「受験英語」の知識は
普通の人よりもがっちり身に付いています。
自分と同じ背景を持つ人の書いた英語なら、
理解しやすいのも納得です。
日本人の英語が聞き取りやすく、
読みやすい理由について考えてみました。
そもそも、日本人の英語が理解しやすいという
私の感覚に共感する人が
どれだけいるかはわかりません。
ただ自分の実感としては、
「日本で同じような英語教育を受けて、
同じような英語の勉強をした」
ことの影響は大きいように感じられます。
みなさんはどう考えますか?