私が一番好きな棋士は
藤井猛九段です。
このたび、
その藤井猛九段の全局集
「藤井猛全局集 竜王獲得まで 愛蔵版」
が発売されました。
ファンにとっては
たまらない一冊です。
私も予約をしており、
発売日前にもかかわらず
昨日に到着。
実際に手にとってみると
予想以上の満足感でした。
藤井猛ファンである私から見た
本書の魅力を紹介します。
藤井猛九段は独創的な戦法を生み出す棋士
藤井猛九段は絶大な人気のある棋士です。
羽生善治九段と同い年で現在49歳。
振り飛車党の棋士の代表格です。
藤井九段の魅力はなんといっても
「独創的な戦法を生み出す」
ところにあります。
「藤井システム」「藤井矢倉」
「角交換振り飛車」などの戦法を生み出し、
将棋界全体に大きなインパクトを与えてきました。
生み出した戦法は
自身で徹底的に研究し、
弱点がないように改良を加えながら
ずっとその戦法を使いつづけます。
その一途なこだわりと
綿密な序盤研究は
まるで真理を求める求道者のようです。
しかも、
そうして苦労の末に完成させた
「藤井システム」を駆使して
竜王のタイトルを3連覇
するなどの実績を残しています。
こうした棋士は
将棋界の中でも他にはおらず、
まさに唯一無二の存在。
そんな藤井九段に、
私を含む多くのファンが
ひきつけられています。
「藤井猛全局集」は棋譜集の第一弾
そんな藤井猛九段の全局集、
「藤井猛全局集 竜王獲得まで 愛蔵版」
はこちらです↓
藤井猛九段が公式戦で指した将棋の
すべての棋譜を収録して出版しよう
という企画の第一弾。
今回は
デビューした1991年から
1998年の「竜王獲得まで」まで
8年分の棋譜が収められています。
このペースだと
直近の将棋に追いつくまでに
あと3冊ぐらいは
出版されそうです。
この全局集が出版されるということ自体が、
藤井猛ファンにとっては
たまらなくうれしいことです。
この全局集というのは
すべての棋士について
出版されるわけではありません。
出版社が
「この棋士の全局集なら売れるはず!」
と判断した
ごくごく一部の棋士しか
出版してもらえない
のです。
藤井猛九段は強い棋士とはいえ、
飛び抜けた実績がある
わけではありません。
藤井猛九段よりも多く
タイトルを獲得していたり、
棋戦で優勝している棋士は
何人もいます。
でも、そうした棋士をさしおいて、
今回藤井猛九段の全局集が
出版されました。
これはなぜかというと、
藤井猛九段にファンが多いから
でしょう。
ファンの熱が
マイナビ出版を動かして、
全局集の発売までこぎつけたのです。
豪華な本のつくりと特典
「藤井猛全局集」の発売は
6月30日のはずですが、
早くも昨日27日には
私の自宅に届きました。
わくわくしながら
さっそく開封。
「箱入り上製本」ということで、
高級感と重みが
普通の書籍とはぜんぜん違います。
銀箔の表紙の文字が
たまらなくカッコいいですね。
藤井九段の息子さんのツイートにあるように
金箔にしようか迷ったそうですが、
銀箔でよかったと思います!
『藤井猛全局集』最終著者校に励む父
表紙見本を手に、金箔か銀箔か悩む父と、それを見守るコダック pic.twitter.com/Wg6ovpx1Gj— 露伴@ポケカ (@No1pokeca) May 29, 2020
全局集を開くと、
真新しい本に独特の
いい匂いがしました。
表紙と背表紙に厚みがあって
しっかりしているので、
開きっぱなしにしておきやすいです。
おかげで棋譜を並べやすくなっており、
これは棋譜集として
ポイントが高いです。
特典として
「将棋プロ棋士カード」
なるものが付いてきました↓
「N006」という番号がついているからには、
他のカードも少なくとも5枚は
存在するのでしょう。
このカードをコレクションする人が
いたりするのでしょうか。
いまはなき「週刊将棋」を
カードのデザインに採用するのは
センスがありますね。
「藤井猛全局集 竜王獲得まで」は
先行予約しておくと特典が盛りだくさんで、
カードの他に3つの特典があります。
・スペシャル動画
・棋譜データ
抽選は私は残念ながらハズレ。
棋譜データは6月30日の発売日に
ダウンロード可能になりました。
スペシャル動画は
7月2日に公開となり、
こちらの記事に
内容や感想を詳しく書いています↓
さらに今回の全局集には
「Tシャツ付き版」も用意されていて、
そちらを購入することもできました。
私はTシャツはほしくなかったので、
購入した「通常版」の方です。
高価だが、藤井猛ファンは本を好むので買う
「藤井猛全局集 竜王獲得まで」の
お値段は「通常版」でも
7040円!
とかなり高価です。
まあでも、
藤井猛ファンなら買うでしょう。
実際、発売を前にして
在庫がなくなってしまったようです。
将棋好きな人の中には、
本はぜんぜん買わないという人も
多くいます。
人と対戦をして
勝った負けたを楽しみたい
というタイプの人です。
それに対して
藤井猛ファンは、
本を買って勉強するのが
好きな人が多い印象があります。
藤井九段が研究や事前準備に
こだわる棋士なので、
同じタイプの人が引きよせられる
のでしょう。
ファンの数が多いだけでなく
ファンの質という意味でも、
「藤井猛全局集」は売れやすい
わけです。
そして、
「藤井猛全局集」がよく売れれば、
出版社はその売れ行きを見ているので
藤井九段関連の本が
また出版されやすくなります。
藤井猛ファンには
たまらない好循環です。
「藤井システム」完成までの歴史をたどれる
「藤井猛全局集」は棋譜集なので、
主な楽しみ方は棋譜並べです。
本に書かれた符号のとおりに
将棋盤の駒を動かして、
その将棋を再現するわけです。
「藤井猛全局集 竜王獲得まで」は
私にとって本当に価値があります。
なぜなら、
「竜王獲得まで」の藤井九段の将棋を
私はほとんど知らない
からです。
私が将棋を本格的にはじめたのは
2006年に大学将棋部に入ってからなので、
この時期の藤井九段の将棋は
代表的なものしか見たことがありません。
しかも、その代表的な将棋も
他の本や将棋雑誌で
部分的に知っているだけ。
そういうのを見るたびに、
「藤井猛九段の将棋を時系列でぜんぶ見いてみたい」
と思ってきました。
その願いが「藤井猛全局集」で
かなえられたわけで、
私にとっては本当にありがたいことです。
「竜王獲得まで」の時期は、
藤井九段が「藤井システム」
とともに歩んだ時代。
「藤井システム」のアイデアを思いついてから
それを完成させるまでの全公式戦の対局が
収録されています。
藤井猛九段は、
対局ごとに戦法に改良を加えて
バージョンアップを重ねていきます。
その試行錯誤の歴史を
たどっていけるのです。
当時の藤井九段九段の心境を想像しつつ、
一局一局かみしめながら
棋譜並べをしていきます。
藤井猛九段の詩的な文章
「藤井猛全局集」に収録されているのは
棋譜だけではありません。
藤井九段自身が書いた文章も
ふんだんに盛り込まれています。
藤井九段は将棋だけでなく、
その文章も魅力的なのです。
まえがきを読んでもらうだけで、
そのセンスが伝わると思います↓
『藤井猛全局集 竜王獲得まで 愛蔵版』
校了記念にまえがきを大公開!
カッコ良すぎて悶えます。【4大特典付き/箱入り上製本】<Tシャツ付き版>|将棋情報局 #将棋情報局 https://t.co/InSc4BTfTo pic.twitter.com/iG0ytNqFRZ
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) June 9, 2020
文章の表現力がすごくて、
棋士というよりも
まるで小説家のよう。
文字数が少なくて
感情に関する言葉もほとんどないのに、
具体的な情景が伝わってきて
そこにある強い思いも感じられます。
「藤井猛全局集 竜王獲得まで」の冒頭には
「第1部 自戦解説編」として
書きおろしの自戦記が
収録されているのですが、
対局の内容以外の描写が
めちゃくちゃおもしろいです。
徹夜明けに呼び出された野球の試合、
その応援に来ていた女子大学生、
一緒に行ったディズニーランド…。
妻の妊娠中に竜王挑戦、
ニューヨークでの開幕戦、
就位式でかごの中で眠る息子…。
これらのエピソードが
「まえがき」と同じテイストで
描写されていって、
独自の世界を創りあげています。
「第3部 番外編」では
藤井九段が過去に書いた文章も
収録されており、
そちらも貴重。
名文としてファンの間で有名な
『夜空ノムコウ』
も私ははじめて読むことができました。
ニューヨークでの対局に勝って
最高の夜を過ごし、
帰国して妊娠中の妻と
夜空をながめる話。
期待をうらぎらない、
まるで詩のような文章でした。
自戦記では
「文章を書くことを大の苦手としている私」
なんて言葉も出てくるのですが、
とんでもない。
藤井九段の新たな魅力を
「藤井猛全局集」で発見しました。
まとめ
以下のように魅力いっぱいの本です。
・本のつくりと特典が豪華
・棋譜で藤井九段の試行錯誤の歴史が追える
・藤井九段の詩的な文章が多数収録
藤井猛全局集は
魅力がいっぱいです。
今後は続刊が発売されていくでしょう。
時期や内容は
まだわかりませんが、
たまらなく楽しみです。
7月2日に特典動画が
公開になりました。
こちらの記事に
特典動画の内容や感想を書いたので、
合わせてどうぞ。