「峰王戦@筑波山」が
本日10月22日に行われました。
昨年も行われた
ニコニコ生放送の企画の第2弾。
そのときと同様、
窪田義行峰王と中川大輔八段が
まず登山をして、
その後山頂付近で将棋を指す
という試みです。
対局の勝者は
「峰王(ほうおう)」
の称号を手に入れます。
私は朝から視聴していたのですが、
今回もとても面白かったです。
どんな番組だったのか、
そしてどんな将棋が指されたのか、
お伝えします。
冒頭の写真は、
今回の対局場となった
筑波山の「コマ展望台」。
私自身が過去に訪れたときに
撮影したものです。
「峰王戦」のはじまり
今回の「峰王戦@筑波山」は
去年10月8日に行われた
「【盤外企画】将棊頭山のほぼ頂上決戦」
が元になっています。
そのときは将棋にちなんで
中央アルプスの「将棊頭山」という山に登り、
将棋の対局では
窪田義行七段が中川大輔八段に勝利。
そのとき視聴者から寄せられた
アイデアを元にして、
勝者に「峰王」の称号が
与えられることになったのです。
窪田七段はこれが初タイトルということで、
さっそく色紙に「峰王」として揮毫するなど
喜んでいる様子でした。
ちなみに言うまでもないとは思いますが、
「峰王」は将棋界の公式なタイトル
ではありません。
将棋ファンが愛称として使って
楽しんでいるだけです。
将棊頭山での企画の最後には
「第2回もやりたい」と
両対局者は語っていたのですが、
それが今回、
本当に実現しました。
中川八段は普段から
通称「登山研」という活動をしており、
棋士や奨励会員など将棋関係者を集めて
山に登っています。
窪田峰王もその常連メンバー。
普段から山に慣れていいる
お二人だからこその企画です。
特に中川八段は
週に2回は山に登っているらしく、
登山にかける情熱ははかりしれません。
「峰王戦@筑波山」の番組
今回の番組の名称はこちら↓
峰王戦@筑波山
今回登る山は
標高877mの筑波山ということで、
前回の標高2730mの将棊頭山と比べると
スケールが小さくなっています。
将棊頭山では
前日に登山をして山小屋に1泊し、
翌日に持ち時間2時間の対局だったのですが、
そのあたりも変更。
今回は日帰りで
対局の持ち時間も30分に短縮です。
スタジオでの解説を務める棋士は
黒沢怜生五段と上村亘五段。
お二人とも
中川八段主催の登山研に
参加経験があり、
対局者の二人をよく知る棋士です。
最近のニコ生将棋番組では
ギフト機能が活用されています。
以前に放送された将棋番組において
「ギフトが多ければ峰王戦の番組を充実させる」
ということでギフトが募集され、
これが大成功!
そのおかげで今回の番組では
以下の特典が追加されました。
・出演棋士のお弁当がランクアップ
・峰王戦のカメラが1台増える!
・中川八段と窪田七段の打ち上げ風景を公開
・コメントで皆様のアイデアを募集
どれも番組出演者や視聴者には
うれしい特典ですが、
特に影響が大きいのが
「カメラが1台増える」
です。
筑波山にはいくつか登山コースがあり、
窪田峰王と中川八段は
それぞれ別のコースを進みました。
カメラが増えることによって、
それぞれの登山の様子が
リアルタイムで放送される
ことになったのです。
ちなみに将棊頭山の企画では
登山の様子は編集されたものが放送され、
生中継ではありませんでした。
登山と対局で日をまたいだこともあり
これは当然の対応だったのですが、
それが今回は変わったわけです。
2つのコースから登山
番組は9時半にスタート。
天候が心配されましたが、
番組開始時には現地は小雨。
なんとか登山可能な
状態でした。
まず出発したのは中川八段で、
筑波山神社から
「白雲橋コース」
で山頂を目指します。
私が2012年に
訪れたときの写真ですが、
筑波山神社はこんな感じ↓
登山道の様子↓
一方の窪田峰王は
バスで「つつじが丘駅」
まで移動した後、
「おたつ石コース」を
登っていきます。
今回の番組の最大のポイントは、
登山の様子を生中継した
ということ。
将棊頭山のときには
前日に撮っておいた映像と写真を
紹介するだけだったので、
ここが大きく違います。
視聴者にとっては中継はうれしいですが、
撮影した運営の方は大変です。
カメラを構えながら
登山しないといけないのですから。
登山中の映像はブレブレで、
撮影者のハアハアという息づかいも
聞こえてきます。
スタジオ解説では
映画「カメラを止めるな!」
のようだと言われていました。
電波状況が悪くて
しょっちゅう映像が途切れていましたが、
臨場感を感じられてすばらしい試み
だったと思います。
登っているうちに
だんだんと雨と風が強まってきて、
他の登山客もほとんど見かけない状況。
それでもなんとか
筑波山の女体山の山頂に
たどり着きました。
先に着いた中川八段が
電話出演しているところに
窪田峰王も到着。
無事に合流して、
対局場である
「コマ展望台」
に移動しました。
「将棊頭山」と同様、
こちらの場所も
将棋に関係ある名前なのがいいですね。
今回は雨のため、
山頂では景色が何も見えませんでした。
もし晴れていれば
景色は素晴らしくて、
女体山の山頂から
となりの男体山の方を見ると
こんな感じです↓
「コマ展望台」は
上の写真の人物の頭の右側に
小さく写っている建物。
女体山から男体山の方に移動する
途中に位置しています。
独特な形の展望台です↓
対局の流れ
午後2時に対局開始。
持ち時間は30分、
切れたら一手30秒です。
ふだんの対局のように
記録はいないので、
対局者みずから一手一手
チェスクロックを押します。
振り駒の結果、
中川八段の先手に。
窪田峰王は
角交換をしてから向かい飛車
に振ります。
中川八段は銀冠に組んでから
右銀を8六まで運ぶ形。
8七銀との並びが美しく
解説では「銀連峰」と
呼ばれていました。
対して窪田峰王も
6筋に位を取って△6四銀と構え、
こちらも山のような立派な形。
熱戦を予感させる
じっくりとした序盤戦です。
窪田峰王が
5筋から仕掛けて
本格的な戦いに。
中央の戦いは窪田峰王のペースなので、
中川八段は端を攻めて
戦線を拡大。
激しい戦の末に
終盤では中川八段がリードし、
勝利まであと一歩かと思われました。
しかし、そこで窪田峰王は
金銀を次々に自陣に打ち付け、
三段目に上がった玉を
金銀5枚で守って安定させて
「窪田ワールド」を展開。
そして、一瞬のスキを突いて反撃。
中川八段の玉は
まるで山を登るかのように
どんどん上に逃げて、
9一にまで到達。
それでも逃げ切れず、
窪田峰王が寄せきって勝利
となりました。
すごい大熱戦!
去年にも負けない
面白い将棋でした。
これで窪田峰王は
峰王戦2連覇です。
下山後の打ち上げ
打ち上げの様子は
18時ごろから放送が開始され、
19時過ぎまでありました。
場所は筑波駅周辺の居酒屋。
対局後は悪天候のため
ロープウェーで下山してから
バスで移動したとのことでした。
打ち上げのメンバーは
両対局者と
運営の方2名の計4人。
ニコ生らしいゆるい雰囲気の中で、
窪田峰王と中川八段の話が
たくさん聞けました。
ニコニコ生放送の
「盤外企画」は
これまでにも色々ありましたが、
こうした打ち上げの放送は初めてで
とても新鮮でした。
まとめ
「峰王戦@筑波山」は
去年に続いて2回目の企画。
今回も窪田峰王と中川八段による
登山と山頂付近での将棋対局の様子を
楽しめました。
登山の様子をリアルタイムで放送するのは
画期的な試みで、
より臨場感が感じられてよかったです。
こうなると来年は第3回があるのでは
と期待するところですが、
どうなるでしょうか。
楽しみに待ちたいと思います。