「銀河鉄道999」は
私が昔から大好きな作品。
私は友人に誘われて、
明日、マンガについて語り合う会に
参加することになりました。
そこでは各自が
好きなマンガについて5分で発表する
とのことで、
私は「銀河鉄道999」を
選ぶことにしたのです。
この作品の良さを
わかりやすく人に伝えるには
どうすればいいか考えて、
その魅力を以下の3つにまとめました。
②人との別れと悲しみ
③松本零士の集大成
その発表の原稿のつもりで
この記事を書きます。
ちなみに冒頭のイラストは
私が描いたメーテルです。
銀河鉄道999
「銀河鉄道999(スリーナイン)」
はこちらです↓
マンガの連載は
1977年から1981年で、
私が生まれる前の作品。
私が中学校のとき図書室に
「999」が置いてあったことが、
好きになるきっかけになりました。
当時は毎日、
給食の時間が終わって昼休みになると
図書室に通って、
コミックス全14巻の「999」を
少しずつ読み進めたものです。
最後まで読み終わっても、
しばらくしたら最初に戻って
何度も読みました。
「999」は日本のマンガ史に残る名作。
その魅力は何時間でも
語ることができるところですが、
ここでは3つの魅力に話をしぼります。
魅力①「生と死」というテーマ
まず1つ目の魅力は
「生と死」というテーマ
です。
「銀河鉄道999」を一言でいうと、
主人公の星野鉄郎という少年が
宇宙を走る蒸気機関車「999号」に乗って、
謎の美女メーテルとともに旅をする物語です。
では、この旅の目的は何かというと、
「機械の体をタダでくれる星に行く」
ことです。
「999」の舞台となっている未来では、
人間は機械の体に精神を移すことで
不老不死を実現しています。
ただ、機械の体はとても高価なので、
貧乏な鉄郎には手に入りません。
そんな鉄郎と出会ったメーテルは
「私をいっしょに連れていってくれるなら」
という条件で、
銀河鉄道のパスをくれます。
そして鉄郎はメーテルとともに999号に乗って、
終着駅にあるというその星を目指して
旅をすることになるのです。
鉄郎は機械の体をほしがっているのですが、
自分の中に矛盾を抱えています。
なんと、第1話で鉄郎の母親は
機械化人に殺されてしまうのです。
機械の体を手に入れた人間は
心のありようが変わってしまって、
生身の体の人間に危害を加えるように
なってしまっています。
夜は人を銃で打って殺す
「人間狩り」を楽しむ者もいて、
鉄郎のお母さんはそのぎせいになったのです。
鉄郎は旅を続ける間にも、
機械化人が自分を含む生身の体の人に
ひどいことをする場面を
たくさん経験します。
そんな憎むべき機械化人に
自分がなろうとすることに、
鉄郎はとまどいもあるわけです。
ただ、死んだお母さんが
鉄郎に機械の体になってほしいと
願っていたこともあって、
鉄郎は悩みながら旅を続けます。
みなさんは不老不死になって
永遠に生きたいと思いますか。
そんなことは考えたことは
ないかもしれませんが、
想像してみてください。
機械の体になることが
普通の選択肢になった世の中を。
自分の中のいい友達や、
親や子どもや兄弟が
機械の体を手に入れて
不老不死になる。
そして、そんな人達と
昔ながらの生身の人間が混じって
暮らしていくとなったら、
どんなことが起こるのか。
そのとき自分は
どんなことを感じるのか。
現実世界でも科学はどんどん発達してきていて、
不老不死が実現した「999」の世界観は
まったくの空想とは言えなくなってきています。
生きるとは何なのか、
死ぬとはどういうことなのか。
誰もが向き合わないといけない
このテーマを考えるきっかけを、
「銀河鉄道999」はくれるのです。
魅力②人との別れと悲しみ
2つ目の魅力は
人との別れと悲しみ
です。
「999」の物語は、
全体的に悲しさがただよっています。
鉄郎はとても陽気な性格で、
周囲を明るくする少年です。
旅の途中にはワクワクすることが
たくさん起こります。
それなのに悲しさがあるのは、
「999」が人とお別れをし続ける物語
だからです。
機械の体をタダでくれる星を
めざす999号は、
途中でたくさんの星に停車します。
星全体がグニャグニャ曲がって
形のない星だったり、
空からワインが雨として
降り続ける惑星だったり。
そういう地球の常識が通用しない
おもしろい星での冒険が
1話完結で繰り返されていく。
それが「銀河鉄道999」
という作品です。
停車するそれぞれの星で、
鉄郎はたくさんの人に出会います。
生身の体の人、機械化人、
殺したり盗んだりしようとする悪い人、
助けてくれる良い人など。
でも、そういう人たちと
いくら仲良くなっても、
列車が発車する時には
必ずお別れがあります。
999号には鉄郎とメーテル、
それに車掌さんの3人しか
基本的にいません。
他の乗客が一時的に乗ったとしても
色々な理由ですぐにいなくなって、
また3人に戻ってしまう。
これは銀河鉄道999の物語の
大きな特徴になっています。
少年漫画では、
主人公の世界が広がるにつれて
だんだんと登場人物が増えていくのが
あたりまえです。
最初は敵として現れた相手と戦って、
戦いが終わった後には仲間になる。
そういうパターンが多いものです。
でも、「999」の中では
心が通じ合った人がいたとしても、
すぐに別れてしまいます。
相手が死んでしまうことも多いですし、
ひどいときには惑星の住民もろとも
星がまるごと消滅してしまうことも
少なくないです。
そして、また3人だけになって旅が続く。
広い広い宇宙の中を、
3人だけを乗せた蒸気機関車が
進んでいくのです。
そしていずれ、
999号から降りるときがくれば
車掌さんとはお別れです。
メーテルともずっと一緒にはいられず、
いつか必ず
鉄郎はメーテルとお別れするときがくる。
それが「999」の世界観なのですが、
これは人の人生を表しているのだと
私は思います。
人はひとりで生まれて、
ひとりで死んでいく。
生きている間に
たくさんの人に出会うけれど、
必ず別れのときがくる。
それはなぜかというと、
現実世界の人には必ず
「死」があるからです。
だから、人とお別れして
悲しむことを繰り返す
「銀河鉄道999」の物語は、
人生そのものなのです。
そして、
人とは必ず別れるものだからこそ、
いま一緒にいることを
大切にしないといけない。
そのことを教えてくれるところが、
「999」の魅力だと感じます。
魅力③松本零士の集大成
3つ目の魅力は
松本零士の集大成であること
です。
「銀河鉄道999」の
作者である松本零士には、
他の代表作としては
「宇宙戦艦ヤマト」や
「宇宙海賊キャプテンハーロック」
があります。
いずれも宇宙を舞台にしたSF作品。
私もこれらのSF作品から
松本零士の作品に触れました。
ただ、そこから他の作品も見てみると、
松本零士が手がけるジャンルはSFだけでなく、
とても幅広いことがわかってきました。
普通の作品であれば、
SF作品の中に他のジャンルを
たくさん組み合わせることは難しいのですが、
「銀河鉄道999」であれば
それが可能となります。
999号が立ち寄る惑星が、
別のマンガの世界に
なっていたりするのです。
例えば、
「男おいどん」に代表される
「四畳半もの」と呼ばれるジャンル。
昭和の時代の日本で、
地方から上京してしてきた若者が
貧乏な暮らしをしながら
「いつか見ていろ」と希望を燃やします。
他にも、
昆虫が支配する惑星で
「昆虫もの」のジャンルを展開したり。
「戦場もの」のように
第二次世界大戦で活躍したような戦車が
走り回る惑星だったり。
西部劇のような惑星で
ガンマンと銃を撃ち合ったり。
本当に色々な世界が
混ぜ合わされています。
さらに、SFの他作品とは
直接つながっていて、
ハーロックやエメラルダスといった
他作品の主人公が本人として登場
したりもするのです。
それだけでなく、
「銀河鉄道999」は
松本零士のたくさんの作品の中でも
特別な重みがあります。
松本零士の世界観の根底には
「時の輪」
というものがあります。
時間の流れをずっと未来にたどっていくと
それは過去につながり、
過去は未来につながっている。
つまり、時間は「輪」のようになっていて
時間にも宇宙にも終わりがないという世界観で、
松本零士作品を理解するうえで
欠かせない考え方です。
この「時の輪」と
本作のヒロインであるメーテルは
深く結びついています。
メーテルはどこまでも謎めいていて、
その正体は「銀河鉄道999」を
最終話まで読んでもよくわかりません。
でも、他の松本零士作品と合わせて読むと、
メーテルが終わることのない旅を続ける
時の流れそのもののような存在であることが
ようやくわかるのです。
松本零士作品全体から見ても
「銀河鉄道999」は絶対に欠かせない存在であり、
ひとつの作品にとどまらない
広さと深さを備えています。
ものすごく広大な
「松本零士ワールド」が
ギュッとつめこまれていることも、
「銀河鉄道999」の魅力なのです。
まとめ
「銀河鉄道999」は
私の大好きなマンガ作品。
その3つの魅力を紹介しました。
②人との別れと悲しみ
③松本零士の集大成
「銀河鉄道999」は
読んでいて楽しいだけでなく、
人として生きていくうえで大切な
たくさんのメッセージを伝えてくれる、
歴史に残る名作です。
よかったら読んでみてください。
こうやって書き出してみると、
たった5分では発表しきれませんね。
どう時間内にまとめるか
あらためて考えなくては。
明日、私の発表を聞いた人から
どんな反応があるか楽しみです。