「観る将棋ファン」向け情報発信ブログ。旅行記なども。

佐藤康光九段vs深浦康市九段、叡王戦本戦2回戦の情報まとめ

 
佐藤康光九段vs深浦康市九段、叡王戦本戦2回戦
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

佐藤康光九段vs深浦康市九段、叡王戦本戦2回戦

佐藤康光九段と深浦康市九段の
叡王戦の対局。

実績のある重鎮どうしの対決という感じで、
とても楽しみな一局でした。

佐藤九段が得意の自由奔放な指し回しを
見せてくれましたが、
結果はそれを受け止めた深浦九段の勝ち。

一局の流れなど、情報をまとめました。

対局の情報まとめ

2018年12月28日
第4期叡王戦本戦 2回戦
佐藤康光九段(先手)vs深浦康市九段
東京・将棋会館「香雲」
持ち時間:各3時間(チェスクロック使用)
開始 15:00
終了 21:44
118手まで深浦九段の勝ち
消費時間
佐藤:3時間0分
深浦:2時間56分

 

夕食
佐藤:玉子雑炊(みろく庵)
深浦:とろろせいろそば(ほそ島や)

 

解説者:
中村太地七段
聞き手:
渡辺愛女流王位
メールテーマ:
「冬休みの思い出」

 

佐藤九段は夕食を注文するとき、
メニューを見ずに注文。

事前に何を食べるか決めていたようです。

両対局の注文を見ると、
どちらも軽めの夕食ですね。

 

軽めの夕食と言えば、
先週の12月25日の叡王戦で
勝った菅井竜也七段が
「豚のしょうが焼き」のライス抜きの単品を
注文していたことが思い出されます。

佐藤九段と深浦九段も、
持ち時間の短い叡王戦では
対局中のエネルギー切れよりも
食べ過ぎに注意した方がいい、
という判断があるのかもしれません。

佐藤康光九段と深浦康市九段

本局は叡王戦2回戦の最後の対局。

これでベスト8がすべて出そろいます。

叡王戦では若手棋士の活躍が目立ちますが、
その中でがんばっている40代の棋士が5人います。

ところが、2回戦に進出した40代の棋士5人のうち4人は
本戦トーナメントの狭い範囲に固まっており、
本局はその中での対局です。

4人というのは本局を戦う佐藤九段、深浦九段の他に
郷田真隆九段、木村一基九段のこと。

 

この4人は全員、
段位別予選の「九段戦」を抜けてきた棋士です。

最高段位である九段の棋士たちが
ここまで密集して配置されてしまったのは、
抽選の結果とはいえもったいない。

ちなみにあと1人は丸山忠久九段ですが、
丸山九段もすぐ隣のブロックにいます。

私は40代の棋士が活躍するところをもっと見たいので、
トーナメントの早い段階でつぶし合ってしまうのは
残念ですね。

 

佐藤九段は九段予選を突破し、
1回戦で松尾歩八段に勝って
2回戦に進出してきました。

佐藤九段は日本将棋連盟の会長を務めており、
その公務で忙しい中で
対局でもけっこう勝っているのが驚異的です。

序盤で他の棋士がマネしないような
作戦を採用することが多く、
その自由な将棋は見ていて楽しいです。

自分の感性に従って自由に指しながら
強敵に勝つ姿は、
本当にカッコいいです。

 

一方の深浦九段。

九段予選を突破した後は、
本戦1回戦は抽選の結果シードになり、
2回戦からの登場です。

ニコニコ生放送では
最近は解説でその姿を見ることが多かったですが、
今日は対局での登場。

棋風は粘り強いことで有名で、
形勢が悪くなっても容易に負けないのが特徴です。

 

両者は過去に50局もの対局があり、
佐藤九段の27勝、深浦九段の23勝
成績はいい勝負。

本局の勝者は準々決勝で
郷田九段と対戦することになります。

一局の流れ:佐藤九段の作戦に注目

振り駒の結果、佐藤九段の先手に。

初手から▲7六歩、△3四歩、▲5六歩と進め、
佐藤九段が選んだのは
後手に馬を作らせる意表の作戦でした。

序盤に角を成って馬にできれば得なうえ、
後手は自然に穴熊に組むことができるので、
この作戦を先手で採用する棋士はほとんどいません。

そんなことは気にせず、わが道を行く。

まさに「天衣無縫」の佐藤康光流
といった感じです。

 

実は、佐藤九段はこの作戦を
今月17日に行われた羽生善治竜王(当時)との
A級順位戦でも指しています。

その将棋は168手の大熱戦の末、
佐藤九段が敗れました。

その負けた将棋と同じ作戦を、
本局でもぶつけた
わけです。

佐藤九段としては
羽生竜王との対局を通して、
負けたものの作戦に対する手応えを感じて、
再び試したくなったのでしょう。

 

対する深浦九段は、
佐藤九段と羽生竜王の対局は
もちろん研究済みでしょう。

佐藤九段がこの作戦できた場合のことを想定して
対策を用意してあるはずです。

それを承知で佐藤九段は
再びこの作戦を使っているわけで、
意地のようなものが感じられます。

 

序盤の駒組みは佐藤九段と羽生竜王の対局のときと
ほとんど同じように進みました。

深浦九段は馬を作ってから
自然に玉を固めて穴熊へ。

佐藤九段は向かい飛車にして玉を中央に囲う、
独創的な構えです。

 

馬を作って穴熊に囲った深浦九段の陣形の方が
理屈で考えれば良さそうに思えるのですが、
ソフトの評価値は互角

これには解説の中村太地七段も驚いていました。

振り飛車にするとソフトの評価値は
マイナスになることが知られているのですが、
この将棋では互角と判定。

この佐藤九段の作戦は通常の振り飛車よりも良いと
ソフトは判断しているようで、
不思議な感じがします。

 

序盤の駒組みが終わって中盤戦へ。

佐藤九段が筋違い角を打つあたりも、
羽生竜王との対局とそっくりです。

ただ、その将棋をすでに知っている深浦九段は、
驚くこともなく冷静に対応

徐々に形勢は深浦九段優勢となっていきます。

さらに時間の使い方も深浦九段はうまくて、
常に佐藤九段よりも多く時間を残していました

佐藤九段が時間を使い切った時点でも、
深浦九段は20分残している状態でした。

 

佐藤九段は劣勢ながらも
勝負手を連発して深浦九段の穴熊に迫り、
終盤はギリギリの戦いに持ち込みました。

ただ、やはり中盤でのリードが大きく、
最後は深浦九段の一手勝ちとなったのでした。

解説の中村太地七段の話

本局の解説と聞き手は豪華。

まず解説は人気棋士の中村太地七段。

そして聞き手はタイトルホルダーの
渡辺愛女流王位。

若いお二人で息の合った解説を
進めていました。

 

私が興味深かったのが、
中村七段がお便りの質問に対する
回答として語っていた、
プロの将棋の「固さ重視からバランス重視へ」
という流行の移り変わりの話。

中村七段いわく。

渡辺棋王が竜王を連覇していたころは
プロの将棋は「玉の固さ至上主義」だった。

「終盤で互角なら固い方が有利」という
考え方であったと。

ただその後、ソフトの登場で
中盤の技術が上がった。

その結果、終盤まで互角にならず、
途中で手も足も出なくなる将棋が増えた

だから中盤を重視するようになったが、
すると必然的に玉が薄くなってしまった。

これがプロの将棋の現状だ。

 

こういったことを話されていて、
私はすごく勉強になりました。

まとめ

佐藤康光九段と深浦康市九段の
一局について書きました。

佐藤九段が独創的な作戦を見せてくれましたが、
さすがに二度目となると
深浦九段としても対応がしやすかったか。

最初に指したときのものすごい驚きがないぶん、
作戦の弱点を突かれやすくなっているように見えました。

羽生竜王との対局も含めて2連敗ですが、
負けにこりずに佐藤九段が
今後もこの作戦を用いるのか注目です。

 

勝った深浦九段は、
次は郷田真隆九段と対戦。

また重量級の棋士どうしの戦いが見られるので、
この対局も楽しみです。

 

叡王戦の記事は
こちらにまとめてあります↓

 

 

 

動画プレゼント

将棋をはじめたばかりの人に、
最初の一歩で
つまずいてほしくない。

その思いで、
将棋の勉強法がわかる動画を
プレゼントしています。

初心者でもカンタン!
1日10分のスキマ時間で
確実に将棋が上達する方法

ぜひお役立てください↓

この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

Copyright© コタローノート , 2018 All Rights Reserved.