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将棋のタイトル戦の最近の傾向とその理由~奪取とストレート決着~

 
将棋のタイトル戦の最近の傾向とその理由
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梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

将棋のタイトル戦の最近の傾向とその理由

将棋のタイトル戦では、
最近2つの傾向があります。

この1年間、
挑戦者がタイトルを奪取することが多く、
2019年に入ってからは
ストレートでの決着が多いのです。

タイトル戦の結果を整理し、
こうした傾向になっている
理由を考えました。

直近1年間のタイトル戦の結果

去年の棋聖戦から
今年の名人戦までの
直近1年間のタイトル戦の結果は、
以下の通りです。

左側が挑戦者、
右側がタイトル保持者です。

<2018年>
棋聖戦:豊島将之 ③ー2 羽生善治
王位戦:豊島将之 ④-3 菅井竜也
王座戦:斎藤慎太郎 ③-2 中村太地
竜王戦:広瀬章人 ④-3 羽生善治
<2019年>
王将戦:渡辺明 ④-0 久保利明
棋王戦:広瀬章人 1-③ 渡辺明
叡王戦:永瀬拓矢 ④-0 高見泰地
名人戦:豊島将之 ④-0 佐藤天彦

 

こうして並べてみると、
2つの傾向が見えてきます。

挑戦者の奪取が多い
(8つ中の7つ:87.5%)
2019年はストレート決着が多い
(4つ中の3つ:75%)

 

この2点について、
それぞれ考えてみます。

傾向①挑戦者のタイトル奪取

まず、「挑戦者の奪取が多い」
という傾向について。

この1年間で、
八大タイトル戦のうち
棋王戦以外の7つのタイトル戦で
タイトル保持者が入れ替わりました。

 

私はこんなにも
防衛失敗が続いたことには
驚きました。

というのも、
私はここ10数年ほど
プロの将棋を観てきて、
防衛することの方が多かったから。

なぜ防衛が多かったかというと、
羽生さんが絶対的な王者として
君臨
していて、
挑戦者を退け続けてきたからです。

また、渡辺さんも
安定して竜王のタイトルを
守り続けていました。

2016年ごろまでは、
タイトル保持者は
だいたい以下の通りで
固定だったのです。

名人戦:羽生善治か森内俊之
棋聖戦:羽生善治
王位戦:羽生善治
王座戦:羽生善治
竜王戦:渡辺明
棋王戦:渡辺明
(王将戦はわりとバラバラ)

 

ときどきタイトルを奪取されても
すぐに取り返したりして、
こんな体制が長く続きました。

特に羽生さんの防衛成功率は
ものすごかったです。

春の名人戦と棋聖戦、
夏の王位戦、秋の王座戦と
4連続で羽生さんが登場して
全部羽生さんが防衛
という年が
2年連続であったりもしました
(2014年と2015年)。

羽生さんは王座戦の19連覇
をはじめとして、
数多くの連覇記録を持っています。

連覇している間は
ずっと防衛しているわけですから、
挑戦者のタイトル奪取を見る機会は
それほど多くなかったのです。

 

それがここ1年間では、
8つ中7つもタイトル保持者が交代。

そうした状況になっている理由は、
「絶対的な王者がいなくなったから」
と言えるでしょう。

より具体的に言えば、
「羽生さんがタイトルを
防衛できなくなったから」

ということ。

羽生さんが長年保持した
タイトルを手放したときに
「奪取」が起こりました。

また、その後の段階として、
羽生さんからタイトルを奪った棋士が
翌年すぐに他の棋士奪取される
ということも起きています。

2017年の王座戦での中村太地さんや
王位戦の菅井達也さんが
そのパターンです。

今はまだ羽生さんに代わるような
絶対的な王者がいないので、
タイトル保持者が
コロコロと変わっています。

 

今後、かつての羽生さんのように
複数のタイトルで
連覇を続ける棋士が現れるか

が注目されます。

その第一の候補は渡辺さんで、
棋王戦では7連覇中。

今年は王将のタイトルも
獲得したうえ、
もうすぐ開幕する棋聖戦でも
挑戦者となっています。

第二の候補は
この1年で3つのタイトルを
立て続けに獲得した豊島さん

まだ防衛戦を戦った経験が
一度もないのですが、
今後連覇を続けられるのかが
注目です。

傾向②ストレート決着

2つ目の傾向は、
「ストレート決着が多い」
ということです。

これは今年に入ってから
表れている傾向で、
4つのタイトル戦のうち
3つがストレート決着でした。

唯一ストレートではなかった棋王戦も
3勝1敗での決着で、
フルセットにはならず。

 

ストレート決着は
今年に入ってから
突然多くなった
のであって、
昨年は逆に
フルセットが多かったです。

2018年は
棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦と
4つのタイトル戦で連続して
フルセットまでもつれたのです。

だから、
突然ストレート決着が多くなったのは
不思議な感じがします。

 

その理由ははっきりとは言えませんが、
羽生さんに代わる絶対王者が現れつつある
のだと考えると面白いです。

それはやはり
渡辺さんと豊島さんのことです。

渡辺さんが4連勝で王将を獲ったのも、
豊島さんが4連勝で名人を獲ったのも、
この両者が飛び抜けた力を
持ってきたからかもしれません。

となると、
この両者が激突する
来月から開幕する棋聖戦は
いったいどんなスコアになるのか。

目が離せない五番勝負です。

 

ちなみに
叡王戦で永瀬拓矢さんが
4連勝したことについては、
王将戦や名人戦とは
まったく別の要因がありそうです。

高見さんの心理面の影響が
大きかったのではないかと
私は考えています。

詳しくはこちらの記事をどうぞ↓

まとめ

最近のタイトル戦では、
挑戦者がタイトルを奪取することが多く、
ストレートでの決着も多い
という傾向があります。

奪取が多いのは、
かつての羽生さんのような
絶対王者がないなくなったのが
理由でしょう。

ストレート決着が多くなったのは、
渡辺さんと豊島さんが
新たな絶対王者になりつつあるからだと
言えるかもしれません。

 

6月からの棋聖戦では
その豊島さんと渡辺さんが
タイトル戦で初めて対戦。

今後の将棋界の王者となるのは
どちらなのか、
という視点でも
注目のタイトル戦です。

 

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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