梅澤浩太郎のブログ。目標・理念は「スキルを進化させつづける人になる」。

将棋の動画中継でのソフトの最善手、誰でも無責任に楽しめるように

 
無責任に楽しむ
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梅澤 浩太郎
1987年12月生まれ。群馬県在住。「スキルを進化させつづける人になる」を目標・理念として活動中。私の過去の経験や学んだことをまとめた電子書籍「失敗しない思考法」を今だけ無料でプレゼント中。「将棋マッチ」にて、将棋を教える仕事もしています。

無責任に楽しむ

将棋の動画中継では、ソフトによって最善手が示されるのが今ではあたりまえです。このおかげで将棋をよく知らない人でも、棋士が指した手が最善手なのかそうではないのか、ひと目でわかるようになりました。これは本当にすごいことです。

現在アマ四段で将棋界を20年ほど見てきてた私が、ソフトの最善手が示されるようになったことのインパクトの大きさを解説します。ポイントは、「誰でも無責任に観戦を楽しめるようになった」ということです。

誰でも最善手がわかるようになった

これまで将棋を観戦しながら「次はこの手が良さそうだな」ということを考えられるのは、自分でも将棋を指す将棋ファン、いわゆる「指す将」だけでした。それが今では、アベマTVなどの中継画面にソフトの候補手が表示されているおかげで、「何が良い手なのか」が誰でもわかるようになりました

 

このことは「観る将」(観る専門の将棋ファン)にとっては、特にありがたいこと。ソフトが「Best」と判断している手を棋士が実際に指せば、「ああ、いまは良い手を指したんだな」とわかるからです。いわば「正解の手」を観戦者が事前にわかっているわけで、これはソフトの導入前にはなかったことでした。これによって、将棋の観戦の環境は大きく変わったのです。

無責任に楽しめることは大事

「将棋は難しいもの」だと思われていることは、長く将棋界にとって大きな課題でした。それがソフトのおかげで将棋をよく知らない人も楽しめるようになり、改善されてきました。あえて言えば、「将棋を無責任に楽しめるようになってきた」のです。

渡辺明名人が著書の中で、将棋と野球を比べてこんなことを書いていました。野球の試合をテレビで見る人は、高く上がったフライをキャッチできなかった守備の選手を見て、「それぐらい捕れよ!」と言ったりする。でも、じゃあオマエが実際にやってみろと言われたら、ぜったいに捕れない。だけど、そうやって無責任にヤジを飛ばしながら観戦して楽しむのが野球では当たり前。将棋もそんなふうになったらいい。

 

これを読んで、私は将棋観戦がスポーツ観戦と違うことに気づきました。将棋の場合は、棋士の指し手にヤジを飛ばすようなことは、いままでタブーとされてきました。たとえ悪手を指したとしても、それを批判してはいけない。なぜなら、「じゃあオマエが実際にやってみろ」と言われたら、棋士よりうまく将棋ができるわけがないから。だったら、棋士の指し手を批判するなというわけです。

でも、無責任にヤジが飛ばせないと、けっきょく観ている側はおもしろくないんですよね。棋士のやったことに対してアレコレ言いたいわけです。棋士の指し手にいちいち感心することしか許されないのだとしたら、堅苦しいです。

無責任なコメントは実はいいことかも

いままでの将棋界はヤジを飛ばそうにも、それができない状態でした。というのも、将棋の場合は野球と違って「良いプレー」がわかりにくいからです。野球なら、フライをキャッチするとか、ヒットを打つとか、ルールさえ知っていれば良いプレーと悪いプレーは誰にでもわかります。
でも、将棋では違います。たったいま指した手が最善手なのかそうではないのか、シロウトには全然わかりません。指す将なら多少はわかるとしても、それでもプロよりはずっと弱いわけですから、けっきょくは観る将とほぼ同じです。悪手っぽく見えたとしても「きっと深い意味があるんだろう」と思うしかありませんでした。

 

そんな状況が、動画中継にソフトが導入されることで一変しました。将棋が強い人も弱い人も、棋士が指した瞬間に「最善手を指した、スゲー!」とか、「悪手だ、やらかした!」とかひと目でわかるようになったのです。アベマTVのコメント欄を見ていると、悪手を指したときがいちばん盛り上がります。「〇〇は衰えた」「〇〇は終盤が弱い」とか、言いたい放題です。

そういうコメントを見て、私は最初のうちは不快になっていました。「弱いとかいうなら、じゃあオマエがやってみろよ!」「棋士に対する敬意をもっと持てよ!」と思っていたのです。でも、あらためて考えてみると、渡辺名人がかつて夢見た状況に、いまはなっているんですね。

 

「将棋の難しさがわからないヤツは観るな」「棋士のすごさがわからないヤツは観るな」という態度でいたのでは、ファンは増えません。誰だって、最初は初心者なんです。初心者なりにその世界に触れていくうちに、本当のおもしろさだったり、プロのすごさに気づいていくものです。だから、ぜんぜんわからない人でも好き勝手言えるというのは大事なことなんだと、私はいまでは思っています。だから、アベマTVで棋士に対して失礼なコメントを見ても、前より腹が立たなくなりました。

ソフトの最善手と違う手を指したときに失礼なコメントが増えたとしても、それは良いことかもしれません。そもそも、そんなコメントが気軽にできるようになったこと自体が画期的で、将棋界にとって大きなインパクトのあることなのです。

オマケの話:将棋はマイナスの手ばかり

最後に、ソフトの候補手と評価値(形勢を表す数字)について、「これはどうにか改善できないかな」と私が思っていることがあるので書きます。それは「評価値はBestの手を指しても変わらず、他の手を指すと悪化するだけ」ということです。

 

野球だと、たとえばホームランを打てば、一気に形勢が逆転して良くなることがあります。つまり、「プラス」があるわけです。一方で、守備でエラーをすれば「マイナス」。このように、プラスとマイナスの両方があります。
でも、将棋だと「マイナス」しかありません。ふつうは思いつかないようなすごい手を指したとしても、評価値はプラスにならず「マイナスにならない」というだけ。これはちょっと寂しいなと思います。
野球であれば、捕れて当然のフライをキャッチするのと、普通は捕れないような打球に飛びついてキャッチするのが違うことは、解説されなくてもわかります。でも、将棋だとそれがわかりにくい。「その最善手を指すことのすごさ」を表現するのは、いまのソフトには難しいところです。

 

ソフトの導入で将棋の観戦がしやすくなってきたとはいえ、まだまだ改善の余地があります。今後、将棋観戦がどのように進化していくのか楽しみです。

 

 

 

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