将棋の終盤でソフトの評価値を中継画面に出すべきではない理由6つ

将棋ソフトの評価値を活用することで
将棋に詳しくない人でも対局中継を楽しみやすくなったので、
それは素晴らしいことです。

ただ、終盤に限っては動画中継の画面に
ソフトの評価値を表示させるべきではないというのが、
長年ニコニコ生放送を見てきた私の意見。

その理由を6つにまとめました。

評価値活用の利点などについては
こちらの記事に書いています↓

理由①ハラハラドキドキできなくなる

終盤でソフトの評価値を出すべきではない
理由の1つ目は、
「ハラハラドキドキできなくなる」ことです。

どちらが勝つのかわからない中で
ハラハラするというのが観戦中の大きな楽しみ。

ですが、観戦中に「先手5000点」などと
大差の評価値が表示されると、
もう決着が付いてしまったように感じます。

まだ対局が続いていても、
「こんなに差があるなら、もう終わりだな」と
気持ちが冷めてしまうのです。

もちろんそんな状況でも
対局者は評価値が今いくつかなんて知らないわけで、
その中で必死に考えて一手一手考えています。

対局者の知らない情報である
「評価値」を知ってしまうことで、
自分が対局者になったような気持ちになれる
臨場感が失われてしまいます。

これは、評価値を表示させた場合の大きな欠点です。

理由②評価値を見たい人は自分で調べられる

理由の2つ目は、
「評価値を見たい人は自分で調べられる」
ということ。

評価値を終盤でも見たいという人もいるのですが、
そいういう人は自分で評価値を調べることが可能です。

自分のパソコンやスマホに将棋ソフトを入れれば
簡単に評価値を見ることができますし、
注目度の高い対局であれば、
評価値を速報で流しているサイトもあるでしょう。

そういったものを利用すれば、
たとえ動画中継の画面に評価値が表示されなくても、
評価値を知りたい人は知ることができるのです。

一方、評価値を知りたくない人は、
中継画面に評価値が表示されてしまえば、
嫌でもそれを見てしまいます。

どうしても見たくなければ、
動画中継を見ること自体をやめるしかないです。

そのため、評価値を見たくないという人に合わせた方が、
誰もが動画中継を楽しみやすくなります

評価値が見たい人だけ、
その情報を手に入れればいいのです。

理由③終盤の評価値はコロコロ変わる

理由の3つ目として、
「終盤の評価値はコロコロ変わる」
ことが挙げられます。

将棋は逆転のゲームです。

終盤では一手悪手を指すだけで
「+1000点」が一気に「-2000点」になって、
3000点も変わったりもします。

実際にそういう場面を何度も
ニコニコ生放送で見たことがありますが、
そんなときは観戦者は混乱してコメントが荒れます

そうこうしているうちに
今度は相手が悪手を指せば、
また何千点も評価値が反対側にいきます。

評価値がコロコロ変わるわけです。

そうした状況になると、
解説者や聞き手の棋士も評価値に振り回されて、
まともな解説ができなくなります

対局者が指す手の解説というよりも、
評価値がその数値である理由を説明しようとする
話ばかりになってしまうのです。

そうなると評価値を知らないまま
真剣勝負をしている対局者とは、
ぜんぜん違うところで盛り上がるばかりになります。

対局者との一体感のようなものは消滅。

評価値が大きく変動すると「逆転か」と盛り上がりはするのですが、
もはや何を楽しんでいるのかわからない状況になります。

これは「評価値を使っている」のではなく、
「評価値に使われている」状態です。

対局者になった気持ちで観戦を楽しみたいのに、
こうなってしまうと
対局者がおいてけぼりになって悲しくなります。

理由④評価値は時間がたつと変化する

4つ目の理由は、
「評価値は時間がたつと変化する」ということ

評価値は時間がたつと変わります。

時間とともにソフトの読みの精度が上がるので、
より正確な数字へと変わっていくのです。

そのせいで、評価値に振り回される観戦者と解説者は
いっそう混乱することになります。

例えば、「ほぼ互角の局面から後手が一手指したら、
一気に先手優勢になった」という場合。

そんなときは「後手が悪手を指した」と
コメントは瞬間的に盛り上がります

評価値を見た解説者は慌てて
その手がなぜ悪手なのかを解説しようとします。

ただ、しばらくすると評価値はほぼ互角に戻る。

そうすると、べつに後手が悪手を指したわけでは
ないことがわかって、
ただ観戦者や解説者が
評価値に振り回されただけ
だったことが明らかになります。

私が特に問題だと感じるのが、
評価値は対局者が指した手を悪手だと判定しがちなこと。

評価値というのは
ソフトが「最善手」だと判断した手を
お互いに指し続けることを前提にした値なので、
それ以外の手を対局者が指すと
ソフトは瞬間的に「悪手」だと判定しやすいのです。

でも、読みを深めることで
その手がそんなに悪い手ではないことがソフトにも理解できて、
評価値が元に戻ってくるというわけ。

でも、一時的に悪手だと評価されただけでも、
観戦者は一喜一憂します。

一手指すたびに評価値が変動して
「対局者が間違えた」と騒がれているのを見るのは、
あまり気持ちの良いものではありません。

理由⑤終盤では評価値が重みを増しすぎる

5つ目の理由は、
「終盤では評価値が重みを増しすぎる」ということ。

終盤では、評価値ばかりを気にするように
なりがちなのです。

というのも、
終盤では対局者の持ち時間が残り少ない場合が多く、
しっかり解説をする時間がないから。

しかも、映像は盤面と対局者に固定されて、
大盤が映されなくなりがちです。

そうなると解説者が解説をしようとしても、
手順を符号で言うぐらいしかできず、
それで理解できるのは一部の将棋が強い人だけ。

たいていの人には、
解説者の言っている意味がわからないので、
評価値だけを見るしかなくなるのです。

上に書いたように評価値にだって問題はあるのに、
それに頼り切ってしまうわけです。

これが序盤や中盤であれば、状況は違います。

大盤を動かして検討して見せながら、
評価値に関して説明を加える時間があります。

序盤や中盤では、
「評価値」と「棋士の解説」の二段構えで
視聴者は形勢判断をすることができる
のです。

これが評価値の利用するときの一番いい形です。

だから、序盤や中盤で
ソフトの評価値を活用するのは良くて、
終盤では良くないと私は考えるのです。

理由⑥評価値は人間の感覚とは違う

最後の6つ目の理由は、
「評価値は人間の感覚とは違う」ということ。

そもそもになりますが、
ソフトの評価値は人間の形勢判断とは
かなり感覚が異なります。

ソフトの評価値が「先手+1000点」と出れば、
先手がかなりの優勢ということです。

でも、「+1000点」と表示されても、
人間の感覚ではそんなに差があるようには見えない場合が
多くあります。

それというのも、ソフトの評価値は
お互いに最善手を指し続けることを
前提とした数値
だから。

例えば、先手が有利とはいっても、
選択肢が多くて迷う局面が続く場合があります。

そんな局面ですごい妙手を3手連続で指せば、
先手が「先手+1000点」で有利になる。

逆に、3手のうちひとつでも指せなければ
先手が不利になる

どんなにその「3手連続妙手」が難しい場合でも、
最善手を指すことを前提としたソフトは
「先手+1000点」と表示します。

絵にするとこんなイメージ↓

先手が良くなるのは1本の細い道だけで、
しかもその一連の手順がすごく発見しにくい。

時間がない終盤では、人間にはとても指せない。

そういう場合、ソフトの評価値はあまり当てにならなくて、
「これは後手が良くなりそうだ」などという
人の感覚の方が現実の形勢に近いです。

ソフトの評価値では、
人間どうしの対局の実際の形勢を
判断するのが難しい
のです。

ソフトのおかげで、
将棋が詳しくない人でも形勢が一目でわかるようになったのは
画期的で素晴らしいことです。

ただ、本来は難しいはずの将棋の形勢判断を
非常に単純化された「評価値」で表す
ということをするのは、
やはりどこかで無理が出てきます。

「数字で簡単にわかる」という評価値の良さは利用しつつも、
その限界を知っておくのも大事なこと。

評価値に振り回されずに有効に活用するには
それを見る人間の正しい心構えが必要です。

まとめ

以上、将棋の終盤でソフトの評価値を
中継画面に出すべきではないと考える理由を
6つ挙げました。

私はソフトの評価値を活用することには大賛成ですが、
生放送中の対局の終盤だけは話が別。

これが私の意見です。

ソフトの評価値をどう使うかというのは、
人によって色々な意見がある問題かと思います。

みなさんはどう考えるでしょうか。

ソフトの評価値については
こちらの記事にも書いています↓

この記事を書いた私、梅澤浩太郎は
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