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「将棋連盟ライブ中継」のツイート機能削除の理由は新聞社の権利か

 
「将棋連盟ライブ中継」のツイート機能削除の理由
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

「将棋連盟ライブ中継」のツイート機能削除の理由

「将棋連盟ライブ中継」は
日本将棋連盟が公式に提供する
スマートフォンのアプリ。

プロ棋士の対局の棋譜を、
解説コメント付きで
リアルタイムに楽しめます。

私も愛用している
素晴らしいアプリです。

この「ライブ中継」から、
ある機能が削除されたことが
ツイッターで話題になっています。

それが局面図をツイートする機能。

この機能が消えた理由は、
「新聞社の権利を守るため」
だろうというのが私の考えです。

「将棋連盟ライブ中継」のツイート機能

「将棋連盟ライブ中継」のサービスは
2010年7月にNTTドコモ向けから開始。

当時はまだガラケーが中心の時代で、
革新的な試みでした。

価格は変動もありましたが、
現在では月額550円。

平日はほぼ毎日何局もある
棋譜中継が見放題なうえ、
中継ブログで棋士の様子や
食事の写真も楽しめます。

 

将棋連盟ライブ中継は
年を重ねるごとに
アップデートされて、
使い勝手が向上してきました。

アップデートで追加された機能のひとつが、
画面に表示中の局面図と解説文を
ツイッターに簡単に投稿できる機能

観戦している画面から
ボタンひとつで画像入りの
ツイートが作成できて、
ハッシュダグも自動で挿入されるので
とても便利。

このアプリの公式アカウントでも
このようにツイートしています↓

 

私自身はこの機能を使って
ツイートしたことはありませんが、
将棋連盟ライブ中継のこの機能で
生成されたと思われるツイートは、
今までにたくさん目にしてきました。

それがつい最近、
このツイート機能が削除されたのです。

アプリを最新版にアップデートすると、
局面図の画像つきでのツイートが
できなくなりました。

 

突然のこの対応には、
ツイート機能を活用してきたユーザーを中心に
不満の声
が上がっています。

スマホのアプリというのは
アップデートするごとに
機能が増えていくのが普通。

ほとんど使われていなかった機能だった
というのならともかく、
活用されていたツイート機能をなくすのは
不自然です。

いったい何があったのでしょうか。

西尾明七段のツイートとその反響

この件に関しては、
西尾明七段がファンからの質問に答える形で
ツイートして説明しています。

西尾七段は今月に正式に日本将棋連盟の
常務理事として選任された棋士です。

 

このツイートへの反応を見ると、
「権利上の関係」とは
どいういうことなのかがわからない、
という声がいくつも寄せられています。

この西尾七段のツイートをもとに、
将棋連盟ライブからツイート機能が削除された理由を
自分なりに考えてみました。

「ブログに局面図を貼っていいのか」問題

私としては、
将棋連盟ライブ中継から
局面図を含むツイートができなくなったのは
当然のことに思えます。

むしろ、
今まではできていたことの方が
不思議なぐらいです。

なぜそう思うのか。

私の頭にあるのは、
10年ほど前に議論になった
「ブログに局面図を貼っていいのか」
という問題です。

 

当時、自身のブログで
情報発信をする棋士が
増えてきていました。

私も渡辺明二冠や
遠山雄亮六段などのブログを
読んでいたものです。

棋士が対局後に
「こういう将棋でした」
ということを局面図付きで
紹介するようになって、
それがとても面白かったです。

 

文字だけで
「ひどい見落としがあって負けた」
「終盤で妙手があって勝てた」
と書くだけでなく、
局面図を貼って
具体的な手順を書いてもらえることは
本当にありがたいこと。

場合によっては局面図の数が
10枚近くになり、
自戦記のようなボリュームになる
記事もありました。

将棋ファンからすると、
どんな将棋があって
そのときに棋士がどんなことを考えていたのか、
棋士の率直な感想が読めたのは
素晴らしい体験でした。

 

そんなブログ記事をファンが楽しんでいたとき、
「それはやってはいけないのではないか」
と一部の棋士から問題視されました。

それを受けて
将棋連盟の理事会で議論されたのが、
新聞の観戦記との関係です。

観戦記が掲載される将棋なのに、
新聞への掲載前にその将棋の内容を
棋士が勝手に公開するのは困る

というわけです。

とはいえ、
せっかく棋士が自発的に
ファンのために行動しているのに、
それを全面禁止にするのも惜しい。

そこで、
ブログに載せる局面図は
「1局につき1枚程度」
というルールができたのです。

 

そのルールは
新聞に観戦記が掲載されるかに関わらず、
すべての対局に適用されました。

そしてその後、
棋士のブログでは
このルールが守られることになり、
局面図が減ったことで
それまでのように詳しくは
対局の内容は知れなくなりました。

局面図がたくさん貼られた棋士のブログを
私は楽しみにしていたので、
当時のことはよく覚えています。

 

このときの騒動によって、
「将棋の局面図は慎重な扱いが必要」
という認識が私の中にできました。

その認識がもともとあるので、
将棋連盟ライブ中継から
局面図がツイートできないことは
ごく自然なことに思えるわけです。

新聞社が持つ「棋譜を独占する権利」

新聞の観戦記について
もう少し深く考えてみます。

日本将棋連盟の
最も大きな収入源は、
新聞社との契約金です。

昔に比べれば
日本将棋連盟の収入源も
多様になってきていますが、
今も昔も新聞社が最も重要な
スポンサーであることに
変わりはありません。

 

では、新聞社は連盟に対して
大金を支払う見返りに
何を得ているかといえば、
最も大きいのは
「対局の棋譜を掲載する権利」
だと言えます。

新聞社が主催する棋戦では、
その棋戦の棋譜は
その新聞社の新聞に
独占的に掲載されます。

例えば
竜王戦なら読売新聞、
名人戦なら毎日新聞と朝日新聞、
王座戦なら日本経済新聞、
といったぐあいです。

 

そうして棋譜を独占して掲載する状況は、
「棋譜を将棋連盟から買っている」
とも言えます。

それだけ棋譜は重要で価値あるもの

誰でも棋譜を利用していいということになれば、
新聞社が日本将棋連盟に
契約金を払う理由がなくなってしまいます。

その契約金をもとに
プロ棋士に対局料や賞金が
支払われているのですから、
プロ棋士の制度を揺るがしかねない問題です。

 

こうしたことから、
西尾七段がツイートで使った
「権利上の関係」という言葉は
新聞社が棋譜を独占する権利
のことを指していると
私は考えています。

10年ほど前のブログの局面図の問題と、
今回の将棋連盟ライブ中継の
ツイート機能の制限。

この2つの背後には、
「新聞社の権利を守る」
という共通したテーマがありそうです。

私の棋譜や局面図の権利への感覚

私の頭にはずっと、
棋士のブログの局面図の問題の記憶が
残っていました。

そのため当ブログでは開設当初から、
棋譜や局面図を掲載しないように
気をつけています。

ですが、
棋譜や局面図には権利があるという
意識がない人も多いということが、
今回の将棋連盟ライブ中継の件への反応で
わかってきました。

 

インターネット上では
こうした権利を配慮していないコンテンツを、
私はたくさん見かけてきました。

ホームページ上で
棋譜をソフトの評価値と共に公開したり。

YouTubeの動画で
一局の将棋の手順をまるごと再現したり。

そういった状況を見て、
私の棋譜や局面図の権利に関する感覚は
もはや古くなったのかと
感じていたところでした。

ただ、
今回の将棋連盟ライブ中継の動きを見て、
私の感覚も間違っていなかったかと
少し自信が持てました。

 

将棋において何が権利上許されることで
何が許されないことなのか
というのは、
わかりにくいです。

将棋連盟ライブ中継のツイート機能の変更が、
そういうことを考え直す
いいきっかけになったと思います。

まとめ

将棋連盟ライブ中継から、
局面図をツイートする機能が
削除されました。

その理由は、
「新聞社が棋譜を独占する権利」
を守るため
だろうというのが私の考えです。

そうした権利が存在していて
それを守ろうと日本将棋連盟が動くことは、
私には当然に思えます。

それはなぜかというと、
10年ほど前にあった
「ブログに局面図を載せていいのか」
という議論のことが頭の中にあるからです。

 

とはいえ、
こうした権利の問題はわかりにくいですし、
時代によって変化するものかもしれません。

私もこの問題のことは頭の片隅に置いておいて
考え続けます。

みなさんはどう考えるでしょうか。

 

 

 

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梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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