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斉藤慎太郎王座と畠山鎮七段の対談の感想(将棋世界2019年2月号)

 
斉藤慎太郎王座と畠山鎮七段の対談
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

斉藤慎太郎王座と畠山鎮七段の対談

斉藤慎太郎王座と畠山鎮七段の師弟の対談が
将棋世界2019年2月号に掲載されています。

とても素晴らしい記事で、
私は感動しました。

文章は興味深い内容にあふれ、
写真はどれも美しく、
対談内容の配置などの
記事全体の構成も工夫されています。

この14ページにも及ぶ
傑作の対談記事を読んでの感想です。

対談記事は将棋世界2019年2月号に掲載

この対談は2018年12月29日発売の
「将棋世界」の2019年2月号に
掲載されています。

こちらの本です↓

対談記事のタイトルは
以下の通りです。

タイトル獲得記念対談
畠山鎮七段×斎藤慎太郎王座
「師弟」
ーー少年時代に交わした二つの約束ーー

 

この対談は、今月の将棋世界の中でも
ひときわ存在感を放っています。

なにしろ巻頭のカラーグラビア10ページに加え、
白黒ページにも4ページ、
計14ページという大ボリュームです。

将棋世界をパラパラとめくれば、
誰でもこの対談が目に止まるでしょう。

対談記事の中には11枚の写真
大きく配置されており、
どれも素晴らしい写真です。

 

この対談の「構成・写真」は野澤亘伸さんです。

野澤さんは普段から将棋世界の記事を
書いているわけではなく、
この対談記事は今月号だけの特別なものです。

将棋専門の記者ではない野澤さんの
メインのお仕事は
アイドルのグラビア写真などの撮影のようです。

どうりで記事中の写真が
どれも素晴らしいわけです。

 

そんな野澤さんは今年6月に
「師弟 棋士たち魂の伝承」
という将棋本を出版しています。

こちらの本です↓

この本は藤井聡太七段と杉本昌隆七段など
6組の師弟について書かれていますが、
畠山鎮七段と斉藤慎太郎王座は
登場しません。

今回の対談は
いわばその本の「新章」のような
位置づけ
なのかなと思います。

「師弟」の本の第二弾が出版されることがあれば、
その中に今回の対談も収録されることに
なるのかもしれません。

記事全体の構成の工夫

この対談記事の構成も面白いと感じました。

野澤さんの文章と
畠山七段と斎藤王座の対談が
交互に書かれており、
対談が3つのパートに分かれているのです。

対談記事というと普通は、
対談の内容が延々と書き起こされた
ものが多いです。

途中で文章が入るとしても、
対談の内容の前提となる話や補足説明が
少し追加される程度という場合がほとんど。

 

ですがこの記事では、
対談ではない部分が
すごく濃くて読ませる文章
になっています。

対談だけだと
棋士の考えていることの奥深くまで
入り込むのが難しい
ところですが、
野澤さんによる力こもった文章が
挿入されることによって、
その点が補われています。

非常に素晴らしい構成だと感じました。

斎藤慎太郎王座と畠山鎮七段のエピソード

記事内に登場するエピソードは、
どれも興味深いものばかりです。

冒頭の斎藤慎太郎王座の
幼いころの話から
ものすごく引き込まれます。

 

保育園で友達とケンカになっても
決してやり返さなかったという斎藤王座。

母親が「どうして、やり返さないの?」と聞くと、
慎太郎少年は
「あの子にはね、あの子の気持ちがあるんだよ」
と答えたという。

これは5才のときのエピソードだそうですが、
そんな幼い子ども言葉とはとても思えません。

驚きました。

 

斎藤王座については他にも
奨励会に入ったとき、プロ棋士になったとき、
電王戦でソフトと対局して勝ったとき、
師匠と順位戦で対局して負けたとき、
そしてタイトルを獲得したときなど
多くのエピソードが盛り込まれています。

どれも斎藤王座の当時の心情に迫っていて
読んでいて感動しました。

 

この対談が
「タイトル獲得記念対談」と
名付けられていることからも、
斎藤王座の過去が深掘りされるのは
ごく当然のこと。

意外だったのが、
畠山鎮七段の幼い頃のエピソードなども
詳しく書かれていたことです。

これまでに将棋界では
大勢の若いタイトルホルダーが生まれ、
そのたびに将棋世界では特集が組まれて
新しいタイトルホルダーが
もてはやされてきました。

でも、新しいタイトルホルダーに関連した特集の中で、
その師匠の生い立ちや小学生時代のエピソードにまで
踏み込んで書かれている記事を読むというのは、
私にとって初めてのことです。

 

これによって、
長い時間をかけて色々なものがつながった結果として
今の斎藤王座やタイトル獲得がある
のだということを、
読者が感じられるようになっています。

この点が過去の記事とは大きく違うところで、
「こんな記事は見たことない!」
と私は衝撃を受けました。

私の常磐ホテルの思い出

この長い対談記事の最後のページに、
斎藤新王座が誕生した
王座戦の第5局のエピソードがあります。

対局場となった山梨県甲府市の「常磐ホテル」で
斎藤七段(当時)が畠山七段の色紙が飾られているのを
発見したという話。

そしてこの色紙は、
前年に名人戦の副立会人として現地を訪れた畠山七段に
揮毫してもらったものだそう。

この文章を見て、私はピンときました。

そのときの畠山七段に、私は会っているぞと。

 

常磐ホテルで行われた
2017年の名人戦第6局

私は現地の大盤解説会に参加しており、
そこに畠山七段が出演していたのです。

冒頭の写真は、そのときに撮影したものです。

畠山七段の姿を映像ではなく直に見たのは、
そのときが初めてでした。

畠山七段は加藤一二三九段のモノマネをして
会場を大いに盛り上げていたことを覚えています。

 

この対談記事の常盤ホテルの描写を読んで、
私も現地を訪れたときの記憶が
一気によみがえってきました。

こちらはホテルのロビーから
庭園を撮影した写真です↓

斉藤慎太郎王座と畠山鎮七段の対談

 

この写真の中央付近の奥の方、
木々によって見えにくくなっている建物が
対局場として使用されている場所。

ロビーから対局場が見えないということは
対局者も余計なものが目に入らないわけで、
非常に良い対局環境です。

王座戦の最終局の対局も
ここで行われたはずです。

あの名人戦のときに畠山七段が残した色紙が
斎藤王座のタイトル戦最終局に
つながっていた。

時間の流れと人や場所や物のつながりを感じて、
なんだか不思議な感覚です。

まとめ

斎藤慎太郎王座と畠山鎮七段の
対談記事について書きました。

このような素晴らしい記事が読めて、
本当によかったです。

斎藤王座はもともと人気のある棋士ですが、
その活躍の影響もあって
師匠である畠山七段の人気も
高まっている気がします。

今回の対談が
両者のファンをますます増やすことになるのは、
間違いなさそう。

もちろん私もその一人です。

 

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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