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斎藤慎太郎王座vs永瀬拓矢叡王、王座戦第1局~いきなりの千日手~

 
斎藤慎太郎王座vs永瀬拓矢叡王、王座戦第1局
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

斎藤慎太郎王座vs永瀬拓矢叡王、王座戦第1局

王座戦五番勝負がいよいよ開幕。

斎藤慎太郎王座に
永瀬拓矢叡王が挑戦します。

第1局からいきなり千日手になり、
永瀬叡王らしい展開。

指し直し局は永瀬叡王がペースをつかみ、
そのまま押し切って勝利しました。

斎藤王座としては
持ち時間に慣れていないという
不利な要素があったので、
その点についても書きました。

対局の情報まとめ

2019年9月2日
第67期王座戦五番勝負第1局
斎藤慎太郎王座vs永瀬拓矢叡王(先手)
神奈川県秦野市「陣屋」
持ち時間:各5時間(チェスクロック使用)
開始 9:00
千日手成立 15:08 (62手まで)
指し直し局開始 15:38
終了 21:02
90手まで 永瀬叡王の勝ち
消費時間
斎藤:5時間0分
永瀬:4時間53分

 

<昼食>
斎藤:陣屋カレー(ビーフ)
___アップルジュール、ウーロン茶
永瀬:陣屋カレー(シーフード)
___アイスコーヒー、抹茶、
___グレープフルーツジュース
<おやつ>
斎藤:チーズケーキ
___ホットコーヒー
永瀬:チョコレートケーキ
___抹茶
<夕食>
斎藤:天稲庭うどん
___アップルジュース、ウーロン茶
永瀬:天稲庭うどん
___グレープフルーツジュース
___ウーロン茶

 

立会人:
中村修九段

 

■ニコニコ生放送
解説者:
横山泰明六段
聞き手:
本田小百合女流三段

 

■アベマTV
解説者:
深浦康市九段
戸辺誠七段
長谷部浩平四段
聞き手:
竹部さゆり女流四段
塚田恵梨花女流初段

 

王座戦の五番勝負は
今期から夕食休憩の時間が
短くなったようです。

去年までは50分だったところ、
今年はたったの30分。

その影響もあってか、
叡王戦で見られたような
永瀬叡王の大食いは見られず。

第2局以降も
おとなしい注文が続くのか注目です。

なお、永瀬叡王はいつもどおり
バナナはおやつとは別に
用意してもらったようです。

勢いにのる挑戦者

今期の王座戦は20代どうしの
タイトル戦となり、
とても新鮮な印象。

昨年の王座戦で初タイトルを獲得した
斎藤王座にとっては、
これが初めての防衛戦

ここ数年は初の防衛戦で
タイトルを奪われる例が続いています。

それだけ防衛は難しく、
斎藤王座がふんばれるかに注目です。

斎藤王座はここ一年、
他棋戦で目立った活躍ができていない点も
少し心配です。

 

一方の永瀬叡王は絶好調

今年の5月に初タイトルの
「叡王」を獲得したばかりで、
その勢いのままこの王座戦の
挑戦者となりました。

昨年の豊島将之を思い起こさせる
勝ちっぷりです。

その勢いを見ると
この王座戦も永瀬叡王が
勝ちそうに思えるのですが、
どうなるでしょうか。

 

この両対局者といえば、
2015年の「将棋電王戦FINAL」
ともに棋士代表として
将棋ソフトと戦ったことが思い出されます。

そのときは
斎藤五段(当時)と永瀬六段(当時)が
どちらもソフトに勝ち、
棋士チームの勝利に大きく貢献しました。

あのときは
実績の少ない若手棋士だった二人が、
ともにタイトルホルダーとなって
タイトル戦を戦っているのは
感慨深いものがあります。

一局の流れ(千日手局)

振り駒の結果、永瀬叡王の先手に。

永瀬叡王が誘導して
戦型は「角換わり」となりました。

「角換わり」はプロの間で
大流行している戦型ですが、
永瀬叡王には用意の工夫がありました。

実践例が圧倒的に多い
「腰掛け銀」ではなく
「早繰り銀」の形にしたのです。

これに反応して斎藤王座も
「早繰り銀」を選び、
「相早繰り銀」の形に。

お互いに似た形のため、
一方的には攻めていきにくい
という特徴があります。

 

斎藤王座が攻めをけんせいする
「△5四角」を打つと、
永瀬叡王は攻めていくことが
できなくなってしまいました。

斎藤王座の角と永瀬叡王の銀が
いったりきたりして
千日手が成立。

 

千日手に持ち込まれてしまったので
先手の永瀬叡王としては
作戦失敗のはず

消費時間も
斎藤王座の2時間31分に対して
永瀬叡王が2時間46分で、
少し多く使ってしまっていますし。

ですが、
千日手の多い棋士として知られる
永瀬叡王であれば
あまり気にしていないのでしょう。

むしろ
「長い戦いになれば自分が有利」
と考えているかもしれません。

 

おやつは通常であれば
盤の前に座ったまま食べますが、
本局では対局者の自室に運ばれました。

千日手が成立したのが
ちょうどおやつが
出される時間帯だったので、
特別な対応。

30分の休憩をはさんで
対局再開です。

一局の流れ(指し直し局)

指し直し局は先後が入れ替わり、
斎藤王座の先手。

斎藤王座の誘導で
戦型は「矢倉」になりました。

永瀬叡王はまたもや
「早繰り銀」の形にかまえて、
後手番ながら積極的に攻めかかります。

斎藤王座は受けに回る展開で
一気に攻め潰されないように
気をつかうこととなり、
時間をたくさん消費。

残り時間も逆転しました。

 

戦いが一段落してみると
斎藤王座の側から仕掛けていく手がなくなり、
いつの間にか厳しい状況に。

対する永瀬叡王は
相手からの攻めがないことを見越して
ゆうゆうと自陣を整備。

これが「永瀬流負けない将棋」
という指し回しで、
戦うことなく一気に差を広げました。

本格的な戦いが始まってからも
永瀬叡王が着実に差を広げ、
斎藤王座を粘りを許さずに勝利。

 

まずは永瀬叡王が1勝です。

斎藤王座にとって初めての持ち時間

本局の斎藤王座としては、
持ち時間に慣れていなかったことが
不利に働きました。

本局の持ち時間は
「チャスクロック方式の5時間」

チェスクロック方式は、
王座戦では今期から取り入れられた
新しいルール。

チェスクロック方式だと
通常のストップウォッチ方式より
考えられる時間が短くなるのが特徴です。

詳しくはこちらの記事をどうぞ↓

 

斎藤王座は
「チャスクロック方式の5時間」
というルールで将棋を指すのは
これが初めてだったとのこと。

タイトルホルダーとして
待ちかまえている立場だったので、
今までに指す機会がなかったのですね。

 

一方の永瀬七段はというと、
今期の王座戦を
この持ち時間で戦い続けて
勝ち上がってきました。

しかも、叡王戦七盤勝負でも
この持ち時間で2局戦い、
2局とも勝っています。

つまり、永瀬叡王の側は
経験が豊富なうえに、
「チャスクロック方式の5時間」
という持ち時間では
なんと負けたことがありません

通常はタイトルホルダーの方が
その棋戦の経験値が高いものなのですが、
今期の王座戦に限っては違っていたのです。

 

斎藤王座は経験がないことが影響し、
本局では終盤で持ち時間が先になくなって
苦しくなりました。

斎藤王座にとっては
持ち時間のルール変更は不運なことでしたが、
この五番勝負の中で持ち時間の感覚をつかんで
修正していくしかありません。

次局以降の
斎藤王座の時間の使い方には
気をつけて見てみましょう。

まとめ

王座戦第1局は
いきなり千日手となる
波乱の幕開けとなりました。

指し直し局では
中盤でペースをつかんだ永瀬叡王が
「負けない将棋」で危なげなく勝利。

今期から採用された独特な持ち時間に
慣れていない斎藤王座は、
力を出しきれないまま敗戦。

本局では勢いに乗る永瀬王座の
強さばかりが目立ちましたが、
斎藤王座が巻き返せるかに注目です。

 

 

 

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梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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