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豊島将之王位vs木村一基九段、王位戦第4局のまとめ~相入玉の死闘~

 
豊島将之王位vs木村一基九段、王位戦第4局
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

豊島将之王位vs木村一基九段、王位戦第4局

豊島将之王位に木村一基九段が
挑戦している王位戦。

ここまで豊島王位の2勝1敗で
第4局をむかえました。

本局は「相掛かり」の将棋でしたが、
終盤は両者が入玉して
285手の死闘となりました。

結果は木村九段の勝利。

本局の情報をまとめ、
最後に豊島王位が
なかなか投了しなかった理由も
考察しています。

 

王位戦のここまでの対局については
こちらの記事をどうぞ↓

対局の情報まとめ

2019年8月20日、21日
第60期王位七番勝負第4局
豊島将之王位vs木村一基九段(先手)
兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」
持ち時間:各8時間
開始 9:00(20日)
終了 21:12(21日)
285手まで 木村九段の勝ち
消費時間
豊島:7時間59分
木村:7時間56分

 

1日目
<午前のおやつ>
豊島:フルーツ盛り合わせ
木村:ホットコーヒー
<昼食>
豊島:うなぎ重膳
木村:うなぎ重膳(ごはん少なめ)
<午後のおやつ>
豊島:フルーツ盛り合わせ
___パインジュース
木村:冷やしぜんざい
___パインジュース

 

2日目
<午前のおやつ>
豊島:フルーツ盛り合わせ
木村:アイスコーヒー
<昼食>
豊島:松華堂
木村:松華堂
<午後のおやつ>
豊島:フルーツ盛り合わせ
___パインジュース
木村:フルーツヴェリーヌ
___アイスコーヒー

 

立会人:
久保利明九段
副立会人:
坂口悟六段

 

■ニコニコ生放送

<1日目>
解説者:
青嶋未来五段
聞き手:
竹部さゆり女流四段

 

<2日目>
解説者:
先崎学九段
聞き手:
山口恵梨子女流二段

 

■アベマTV

<1日目>
解説者:
金井恒太六段
石井健太郎五段
聞き手:
上田初美女流四段
飯野愛女流初段

 

<2日目>
解説者:
阿久津主税八段
及川拓馬六段
聞き手:
宮宗紫野女流二段
和田あき女流初段

 

「十番勝負」の最中の両対局者

7月から対局が続いている
豊島王位と木村九段。

王位戦七番勝負と
竜王戦挑戦者決定三番勝負を合わせ
通称「十番勝負」
を戦っている最中です。

8月8、9日の王位戦第3局で
木村九段が勝った後には
8月13日に竜王戦の
挑戦者決定戦第1局があり、
豊島王位が勝ちました。

「十番勝負」は豊島王位から見て
勝→勝→負→勝
という流れです。

この王位戦第4局の後は
移動日が1日あって、
8月23日には竜王戦でまた対戦。

一息つくヒマもありません。

そんな状況なので、
この第4局は本局の勝敗のみならず
今後の勝負の流れにも
大きな影響を及ぼす
ところ。

そうした意識は
両対局者とも
持っているはずです。

一局の流れ:相入玉の死闘

本局は木村九段が先手。

木村九段が選んだ戦型は
「相掛かり」でした。

やはり豊島王位の得意とする
「角換わり」を避けたという意味が
大きいのでしょう。

 

木村九段は序盤から
積極的に銀を繰り出していきました。

対して豊島王位は
「△5五銀」と中央に銀を出ていく
珍しい指し方で対抗。

お互いにどう仕掛けるか
難しそうに見えましたが、
豊島王位が「△9二角」と
自陣に角を打ったのが
決断の一手

この角が働けば
豊島王位の勝ち、
逆に働かなければ負け
というぐらいの
大きな意味を持つ手です。

 

これに対して木村九段が長考。

1時間37分も考え、
次の一手を封じて
1日目は終了しました。

最後の長考の結果、
木村九段の方が持ち時間の残りが
約2時間も少なくなり、
時間差が大きいのが
気になるところです。

 

2日目、注目の封じ手は
おおかたの予想通りの「▲5六歩」。

このあたりから
木村九段が少し形勢をリード

その後も優勢を広げていきます。

豊島王位が長考を繰り返し、
持ち時間の差もなくなりました。

 

しかし豊島王位も
簡単にはやられません。

涙の出るようなガマンを続け、
木村九段の攻めをいなしながら
玉を上部に脱出

ついには入玉を
確実としました。

一方の木村九段の玉も
いつでも入玉が狙える状況。

そこからは「点数」を
めぐる勝負となりました。

飛車と角を5点、
玉を除く他の駒を1点として数え、
両者が24点以上を確保すれば
「持将棋」で引き分けとなります。

とはいえ
豊島王位は大駒を飛車しか持っておらず、
明らかに点数不足

これでは引き分けに持ち込めません。

 

豊島王位は
けんめいに粘りますが、
木村九段は入玉の将棋を
得意としていることで有名。

木村九段は
点数を稼ぐテクニックを
次々と繰り出し、
逆転を許しません。

最後は明らかに
点数(駒の数)が足りない局面で
豊島王位が投了

木村九段の勝ちとなりました。

 

これで七番勝負は2勝2敗のタイ。

勝負のゆくえは
ますますわからなくなり、
面白くなってきました。

豊島王位がなかなか投了しなかった理由

本局では豊島王位の
投了のタイミングが
かなり遅かった
です。

ほとんどの棋士は、
もっと早い段階で
投了しているでしょう。

具体的には、
木村九段が187手目に「▲9七玉」と
いよいよ入玉を目指したときには、
豊島王位が24点分の駒を確保するのは
絶望的な状況でした。

そこから約100手、
逆転する見込みがほぼない状況
で豊島王位は指し続けたのです。

 

なぜ豊島王位は
こんなにも投了しなかったのでしょうか。

その理由は一言で言えば、
今が「十番勝負」の最中だから
でしょう。

木村九段に楽をさせず、
「簡単には勝たせてくれない相手だ」
という意識を持たせることに
大きな意味があるのです。

 

本局の最終盤では
木村九段はずっと大差で勝勢でしたが、
それでも一手の悪手で
逆転してしまうのが将棋です。

勝ちに近い側は、
絶対にミスをしないように
極度の緊張感を持った状態が続きます。

一方の負けが近い側は、
どうせ負けなので
それほど緊張感はありません。

そのため、
勝勢の側の方が長期戦の消耗が激しい
ものなのです。

木村九段としては、
この将棋で精神的にも体力的にも
かなり削られたはずです。

 

豊島王位が
ここまで粘ることがわかったことで、
木村九段は
「豊島王位に粘られる展開にしたくない」
と感じるかもしれません。

そして、
豊島王位に粘られるのを避けようと
普段ならやらないような
鋭い寄せを狙ってしまい、
そのせいでミスをする
可能性があります。

それが
「簡単には勝たせてくれない相手だ」
と思わせることの狙いです。

 

さらに本局の場合には、
もっと直接的な効果があります。

明後日には
本局の対局者の二人による
竜王戦の対局があるからです。

明日しか休む時間はありませんが、
明日には対局場からの移動もあり、
疲れはとれないでしょう。

前述したように、
本局で豊島王位が粘りまくったことで
より疲れているのは木村九段の方。

さらに言うと、
年齢が若い豊島王位の方が
体力の回復も早そう。

ということで、
豊島王位がなかなか投了しなかったことによって
豊島王位の方が体力面で有利になる
可能性が高いです。

 

こうした狙いが
豊島王位の粘りにはあったのではないかと
私は考えています。

まとめ

王位戦第4局は
285手の死闘の末に
木村一基九段の勝利となりました。

これで七番勝負は2勝2敗のタイになり、
今後の展開がますます楽しみです。

本局では豊島王位が
勝ち目がなくなってからも
100手ほど指し続けたのが
印象的でした。

このことが
今後の「十番勝負」に
どう影響するかに注目したいです。

さっそく明後日の23日には
竜王戦で両者の対局があるので
見逃せません。

 

 

王位戦のここまでの対局については
こちらの記事をどうぞ↓

 

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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