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「大晦日九番勝負、糸谷哲郎八段vs永瀬拓矢七段」の見どころ

 
「大晦日九番勝負、糸谷哲郎八段vs永瀬拓矢七段」の
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梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

「大晦日九番勝負、糸谷哲郎八段vs永瀬拓矢七段」の

「大晦日九番勝負、糸谷哲郎八段vs永瀬拓矢七段」
というニコニコ生放送の番組が
2018年の大みそかに放送されます。

午前9時半に番組開始、
午前10時に対局開始で、
決着は日付をまたぐことが見込まれます。

この楽しみな番組の見どころをまとめ、
勝敗予想もしてみました。

放送終了後に
対局結果などをこちらの記事に書いたので、
合わせてどうぞ↓

毎年恒例の大みそか将棋番組

12月31日の大みそかには、
ニコニコ生放送は毎年面白い将棋番組を
企画してくれます。

去年の2017年の企画は
「DJ糸谷哲郎と将棋棋士の大忘年会SP」。

糸谷哲郎八段が除夜の鐘の数にちなんで
「108通」のお便りを紹介しつつ、
棋士がちょっとふざけたルールの将棋で
対戦したりしていました。

 

2016年の大みそかまでは
将棋ソフトと対戦する企画が多かったところ、
「DJダニー」では
一気に真面目な将棋対局から遠ざかったのです。

「観る将棋ファン」が増えている
最近の状況を考えれば自然な流れで、
「DJダニー」は素晴らしい企画だと思って見ていました。

そのため、今年の企画は再び
「真面目な将棋対局」に戻ったのだなという印象。

とはいえ、その詳細を知ると
普通の対局とは全然違っていたのです。

九番勝負は「45分切れ負け」

対局者は糸谷哲郎八段と永瀬拓矢七段。

ルールで肝心なところは以下の2つです。

①九番勝負で先に5勝した方が勝ち
②持ち時間45分切れ負け

 

まず九番勝負というのが驚きます。

そんなにたくさん対局するのかと。

そして、持ち時間が「45分切れ負け」
というのがすごく特殊です。

プロ棋士が「切れ負け」の将棋を指すことは
ほとんどないからです。

 

「切れ負け」というのは
持ち時間を使い切ったらその時点で負けということ。

そのため持ち時間が残り少なくなってくると
よく読みを入れないまま思いついた手を
指すことになります。

そのため将棋の内容が悪くなってしまいがちなため、
「切れ負け」の将棋は棋譜が残るプロの公式戦では
まったく採用されていません。

 

一方で、「切れ負け」は
アマチュアの大会などでは
多く採用されています。

最大のメリットは、
対局が長引くことがないこと。

例えば今回のように持ち時間45分であれば、
双方がギリギリまで持ち時間を使っても
90分以内で決着することになります。

対局時間がそれより長くなることはないので、
生放送の番組の進行もしやすいですね。

長時間の対局となりそう

初めてこの九番勝負が発表されたのは
ニコニコ生放送の将棋番組
「叡王戦パラダイス12月号」内でのこと。

私もワクワクしながら見ていました。

「九番勝負」の発表には驚きましたが、
私は持ち時間はかなり短い早指しなのだろう
思いつつ企画の詳細を聞いていました。

ですから、切れ負けとはいえ
「45分」という持ち時間が判明したときには、
その長さに驚きました。

 

45分であれば、
勝負どころで10分ぐらいは考えられるので
それなりにしっかりした内容の将棋
指せるでしょう。

ただ、九番勝負であることを考えれば
45分は長すぎるのではないかというのが
私の率直な思いです。

アプリの「将棋ウォーズ」でも採用されている
10分切れ負けぐらいが
ちょうどいいのではないかと。

45分切れ負けで九番勝負をやると
長時間の対局になって、
棋士のお二人の体にかかる負担も相当になるはず。

ですから、この対局の一番の見どころは
「体力勝負」ということになるでしょう。

対局者のお二人にとっては厳しい対局になるので、
体調を崩すことにならないか、
それが心配です。

 

この対局にどれぐらい時間がかかるか
計算してみます。

一局あたり最大で90分もかかり、
それを最大9局行うということは、
90×9=810分=13.5時間

対局だけで13時間30分ほど
かかる可能性があるのです。

 

しかも、この企画は対局するだけで
終わりではありません。

対局前には両対局者の意気込みを聞き、
対局後には感想がインタビューされる
ことでしょう。

どの程度やるかわかりませんが、
感想戦もあるはずです。

糸谷八段と永瀬七段のことですから、
対局後にも率直な意見を言い合って
感想戦が盛り上がることも予想され、
時間がかかりそう。

さらに、間には食事のためなど
休憩も入るはずです。

平均すると1局あたり
2時間はかかる
のではないでしょうか。

 

第1局の開始は午前10時ですが、
1局2時間かかって最終第9局まで
もつれ込むと、
終局は18時間後の1月1日午前4時となります。

なんとなくそんな気がしていましたが、
改めて計算してみると
とんでもない企画ですね。

糸谷哲郎八段と永瀬拓矢七段は共に「受け」の棋風

この企画の対局者は
糸谷哲郎八段永瀬拓矢七段

誰が選んだのか知りませんが、
非常に良い人選です。

どちらも将棋が強くて
サービス精神にあふれており、
今回のお祭り企画にぴったりです。

とても面白い将棋が見られそうで
本当に楽しみなのですが、
気がかりなのが対局が長引きそうなこと。

 

糸谷八段も永瀬七段も
「攻め」ではなく「受け」の棋風で、
「負けない将棋」を指すのが特徴だからです。

「相手の玉を詰ます」というよりも
「自分の玉が詰まされない」ことを
重視する将棋だというイメージがあります。

このお二人の玉の生命力はものすごく、
どちらも簡単にはやられないはずです。

となると対局は長引きそう。

 

見ている側としては面白いですが、
対局者は体力を消耗して大変でしょう。

そして、お二人とも将棋が強いがゆえに、
どちらかが5連勝して
すぐに勝負が付く可能性は
低いと思われます。

対局の数自体も少なくとも
第7局ぐらいまではいくのではないか。

 

ともかく。

糸谷八段と永瀬七段の対局となれば、
勝負が長引くのは間違いありません。

解説と聞き手は計8人で豪華

本企画は解説と聞き手の棋士も豪華。

2局ごとに入れ替わっていくようで、
以下のように予定されています。

第1、2局:窪田義行七段・井出隼平四段
第3、4局:泉正樹八段、和田あき女流初段
第5、6局:渡辺明棋王、貞升女流初段
第7局~:高見泰地叡王、山口恵梨子女流二段

 

まず第5、6局と第7局〜に関しては、
納得の人選という感じであり、
安心して見ていられそうです。

タイトルホルダーでありながら解説のうまい
渡辺棋王と高見叡王が解説で、
聞き手もニコニコ生放送でおなじみの
貞升女流と山口女流が聞き手ですから、
非常に強力な布陣です。

 

第1、2局の窪田義行七段に関しては
視聴者の期待をわかったうえでの人選で、
面白い解説が楽しめそうです。

窪田七段は今年、
登山をして山頂付近の山小屋で対局をする企画で
中川大輔八段に勝って「峰王」の称号を手にし、
ニコニコで一気にブレイクしました。

窪田七段は独特なしゃべり方をするので、
何を言っているのか聞き取るのが難しいです。

それを視聴者にわかりやすく通訳するのが
研究会仲間の井出隼平四段。

このお二人の組み合わせは
以前のニコニコ生放送の番組内で非常に評判がよく、
「あの二人をもう一度」という人選かと思います。

 

第3、4局の泉八段は
ニコニコ生放送に登場する機会は多くはないものの、
愛犬「エルちゃん」を溺愛していることが
知られています。

そのあたりを見込まれての人選でしょうか。

大みそかの番組中では、
「エルちゃん」の話題がどれだけ出るかに
注目したいところです。

私の予想は永瀬七段の5勝3敗

糸谷哲郎八段と永瀬拓矢七段の
どちらが勝つか予想してみます。

私の予想はズバリ、
「5勝3敗で永瀬拓矢七段の勝ち」です。

以下に書くとおり
永瀬七段有利だと考えていますが、
糸谷八段がまったく勝てないとも思えないため、
この勝敗を予想します。

このお二人の棋力を比べると
糸谷八段の方が少し上かと思われますが、
その差はわずか。

むしろ注目ポイントは3つで、
①実戦の多さ、②体力、
そして③勝利への執着心です。

どういうことか、順に見てみます。

ポイント①実戦の多さ

1つ目のポイントは「実戦の多さ」です。

永瀬七段は研究会を多く入れることで有名です。

この企画の事前インタビューでも、
「大みそかでは研究会の相手が
なかなか見つからないので、
この企画はありがたい」
といったことを話しています。

棋力を向上させるため、
たくさん将棋を指すことに
重きを置いているのです。

そして、切れ負け将棋では、
実戦を多く積むことでみがかれた
将棋の「感覚」
が大きな力を発揮します。

時間が残り少なくなってきて早指しになるほど
「頭で読みを深める」よりも「手が勝手に良い手を選ぶ」
という感じになっていることが重要なのです。

だから、練習将棋を普段から行い、
おそらく対局前日の30日にも
研究会で練習将棋を指しているであろう
永瀬七段が有利だと考えられるのです。

 

一方の糸谷八段が30日に何をしているかと言えば、
東京ビッグサイトの「コミックマーケット」
参加しています。

ゲームやアニメ好きとして知られる
香川愛生女流三段のブースのお手伝いです。

糸谷八段にしてみれば
ちょうどこの九番勝負の企画のために
大阪から東京に移動してきているので、
お手伝いを引き受けたのでしょう。

糸谷八段は早指しが得意なことで
有名な棋士です。

しかし、最近の糸谷八段は超多忙なため
練習将棋の機会は減っていることが予想されるので、
実戦の感覚がどれだけ磨かれているか不安。

対局前日の過ごし方の差も大きく、
大みそかには永瀬七段の早指し力の方が
上回る
気がします。

ポイント②体力

2つめのポイントは「体力」です。

長時間の対局になればなるほど、
体力が重要になってきますが、
この点でも永瀬七段が有利に見えます。

 

まず、単純に若い

年齢は永瀬七段26歳に対して
糸谷八段30歳。

糸谷八段もまだまだ若いとはいえ、
4歳差はそれなりに大きいでしょう。

加えて、永瀬七段は
将棋の体力に自信を持つ棋士として
以前から知られています。

最近はそれほどでもありませんが
以前は「千日手」が本当に多くて、
「最初からもう一局」の指し直し局に持ち込んで
体力にものをいわせて勝利を重ねていました。

研究会が多いことも含めて、
1日に複数局指すことに
永瀬七段は慣れている
のです。

 

一方の糸谷八段は、
前日の「コミケ」での活動が重荷になって、
大みそかの対局にも影響しそうです。

慣れない場所で大勢の人に
あいさつを続けていれば、
体力的に消耗します。

大阪からの移動疲れもあるだろうに、
一晩寝ただけで
万全の状態で対局にのぞめるのか不安です。

「コミケ」の会場で
「大みそかはがんばってください」
などの声援をファンから直接聞けたでしょうから、
それは力になるかもしれません。

ただ、秒に追われるギリギリの勝負になるであろう
今回の対局では、
声援のことを思い出すヒマもなさそうです。

ポイント③勝利への執着心

この企画、より勝ちたい気持ちが強いのは
永瀬七段の方ではないかと思います。

まず、両者とも実力者とはいえ、
糸谷八段の方が格上なのは明らかです。

比較してみると以下の通りです。

糸谷哲郎↔永瀬拓矢
段位:八段↔七段
タイトル:竜王1期↔獲得なし(挑戦2回)
順位戦:A級↔B級2組。

 

格上の糸谷八段にしてみれば、
この企画で勝ったところで
順当な結果となっただけという感じでしょう。

それほど得るものがなく、
勝ちにこだわる必要はなさそう。

 

一方の永瀬七段にとっては、
格上の糸谷八段に5回も勝つことは
大きな栄光になります。

今後の公式戦に向けた自信もつくはずです。

だから、永瀬七段の方が
勝利への執着心が強いのではないでしょうか。

そして「勝ちたい」という気持ちは、
この企画では勝負の結果に
大きく影響する気がします。

まとめ

番組の見どころと勝敗予想について書きました。

糸谷八段と永瀬七段はこの企画に適任で、
大熱戦が期待されます

大みそかにこんな面白い番組を放送してくれて、
ニコニコ生放送と出演者の皆さまに感謝です。

私は用事もあるので
ずっと見続けることはできませんが、
ちょくちょく見るもりです。

なにしろ長時間の番組になりそうなので、
無理のない範囲で
このお祭りを楽しみましょう。

 

 

放送終了後に
対局結果などをこちらの記事に書いたので、
合わせてどうぞ↓

 

 

 

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梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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