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叡王戦振り駒兼見届け人体験記2~振り駒、対局開始、対局中~

 
対局室
この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

対局室

叡王戦振り駒兼見届け人の
体験記第2回です。

今回は対局室に入り、
振り駒をして対局開始を見届け、
終局まで控室にいた時間を
振り返ります。

カメラに映っていない部分も含めて、
振り駒兼見届け人が
何を見てどんなことをしているのか
お伝えします。

第1回の記事はこちらです↓

両対局者の入室

私が振り駒兼見届け人を務めたのは、
2019年10月4日に行われた
第5期叡王戦六段予選Cブロック決勝
村中秀史七段vs及川拓馬六段の対局。

ニコ生の番組はこちらです↓

 

対局開始前。

見届け人の控室にて
ニコ生の映像で
村中秀史七段が入室するのを見て、
私も対局室に入りました。

村中七段は
この日の14時からの準決勝の対局で
阿部光瑠六段を破っての決勝進出。

そしてなんと、
その対局での勝利によって
七段に昇段しました。

「六段昇段後に
公式戦で150勝すると
七段に昇段する」
という規定があり、
これが適用されたのです。

そのため
14時からの対局では六段だったのに
19時からの対局では七段、
という珍しい状況となりました。

 

叡王戦では
先手番か後手番かによって
盤のどちら側に座るかが決まる
ため、
対局者は入室しても
すぐに盤の前には座りません。

記録係が使う机の両側に
座布団が用意されており、
そこに座って振り駒を待ちます。

対局室に入ると、
私はあらかじめ決められた
見届け人用の席に座りました。

後日タイムシフトの映像を確認すると
私の入室の様子も映っており、
時刻は18時42分ごろ。

 

私の席は
村中七段のすぐ隣の位置。

そのため
対局前の村中七段の
気迫と緊張感がビシビシ伝わってきて、
落ち着きません。

対局室の様子が
ニコ生に映っていることは
わかっていたので、
私は正座でピシッとした姿勢を
がんばって維持しました。

そのため、
足がしびれないかも不安でした。

いざ振り駒というときに
サッと立てないと
カッコ悪いですからね。

早く及川六段にも来てもらって
振り駒をしたいところですが、
及川六段の方は
なかなか入室しません。

 

入室した時点で、
見届け人の席には
記録係によって
振り駒で使う歩が5枚
用意されていました。

立派な「一字駒」の歩で、
これを眺めたりしながら
じっと待ちます。

そして、18時53分に
及川六段もようやく入室しました

紹介文による宣伝

私は後日に
タイムシフトで確認したのですが、
及川六段の入室あたりのタイミングで
紹介文も無事に読み上げられていました。

紹介文とは、
私自身が用意した
見届け人を紹介する文章です。

本田小百合女流三段が
紹介文を読み上げるのと当時に、
運営コメントで
より詳細なプロフィールへの
リンク先も表示。

私が事前にイメージした通りに
紹介が行われていて、
バッチリでした。

紹介文の準備については
こちらの記事に詳しく書いています↓

 

そして、当日表示された
そのリンク先のページというのが
こちらです↓

 

解説の千田翔太七段と
本田女流三段は
私の紹介文に関連して
話をしてくれました。

これも事前に
スタジオにあいさつに行った際に
頼んでおいた通りです。

私が紹介文に書いた
「地方では将棋を教わる機会が少ない」
ということに対して
「地方だけでなく大阪でも少ない」
「通わず自宅で教われるのはいい」
とコメントしてくれたり。

紹介文を読み上げるだけで終わりではなく
そうした話をしてもらえることで、
視聴者にも紹介文の内容が
より伝わったと思います。

 

運営コメントの表示時間も、
事前に運営の方に依頼しておいたおかげで
普段よりも長めになっていました。

運営コメントの表示時間には
どうやら限界があるようで、
いったん画面から消えてしまったのですが
すぐに復活。

これによって、
運営コメントをクリックしてくれる人が
増えたはずです。

私自身もニコニコ生放送を観ていて
運営コメントをクリックしようとしても、
操作が間に合わなくてできなかった
という経験が何度もありました。

運営コメントの表示時間が
長くなることによって、
クリックしてもらえる確率が上がるのです。

 

実際、このために作った
専用のプロフィールページのアクセス数を
あとでチェックしてみると、
大量のアクセスがあったことが
確認できました。

やはりニコニコ生放送の影響力は
大きいことがわかりましたし、
いい宣伝をすることができました。

こうして宣伝になったことで、
クラウドファンディングで
叡王戦で支援したお金を
より効果的に活用できたと感じています。

振り駒のちょっとしたトラブル

さて、及川六段が入室して
両対局者がそろったので、
いよいよ振り駒です。

振り駒では上位者の歩を振る
という決まりがあるため、
まだ駒を並べる前ですが
七段に昇段した村中七段の歩を
振ることになります。

私は歩を5枚、
両手で包むようにしっかりと持ち、
事前に決められたコースを歩いて
カメラの前に移動。

そして、
声がかすれないように
少し間をとって呼吸を整えてから
「村中七段の振り先です」
と発声。

両手を合わせて作った空間の中で
歩5枚をよくシェイクして、
少し上の方向に向けて
歩を放りました。

 

ここでちょっとした
トラブルが発生。

5枚の歩のうち
3枚はその場にとどまったのですが、
2枚が遠くに転がっていって
しまったのです。

ひとつは盤と反対側に転がって
板の間の方へ、
もうひとつは
ちょうど盤の下へと潜り込みました

とはいえ、
振り駒で私がやるのはここまで。

あとは記録係が
表と裏の歩の枚数を数えます。

記録係にとっては
歩が散らばるのは慣れた状況のようで、
特にあわてることもなく
歩の表裏の枚数を数えて
「と金が3枚です」
と宣言。

村中七段の振り先で
歩の裏面である「と金」の方が多かったため、
及川六段の先手となります。

私は無事に振り駒の大役を
果たしたことに満足しつつ、
自分の席へと戻りました。

 

私が振り駒をした当時は、
実はすべてが順調に進んだ
と思っていました。

トラブルがあったと見られている
ことを知ったのは、
ニコ生の放送を見た友人から
連絡があったからです。

メッセージに
「振り駒のハプニングはありましたが」
という一文があり、
何のことだか最初はわからず。

あとでタイムシフトを確認して
理由がわかりました。

振り駒をしたときに
盤の下に歩が潜り込んだ様子は
ニコニコ生放送の画面にも
しっかりと写っており、
千田さんもそのことを
話題にしていた
のです。

だからそのことが
「トラブル」として
認知されたわけですね。

 

ちなみに板の間の方に転がった
もう一枚の歩については、
ニコ生の画面に映らなかったため
話題になりませんでした。

何かが起こったとしても
それが画面に映るか映らないかで
影響度がまったく違う

のだなということを
あらためて実感しました。

対局開始の緊張感

振り駒を終えた私が
自分の席に戻るのを見届けてから、
両対局者が盤の前に移動。

ニコ生の画面で見たときに
右側に先手番の及川六段、
左側に後手番の村中七段
となるように座ります。

 

私はすぐそばで
駒を並べる様子を見ていたのですが、
両者の様子は対照的。

村中七段は
気合いを入れるようにして
「ピシッ」と駒音を鳴らしながら
並べるのに対して、
及川六段は駒音をたてないように
そっと並べていきます。

やがて両者共に
20枚の駒を並べ終わり、
あとは開始時刻を待つばかりです。

 

村中七段は
かばんの中から
新品の扇子を取り出しました。

七段となって最初の一局だから
扇子も新品のものを、
ということでしょうか。

一方の及川六段は
ペットボトルに入った「生茶」を
グラスに注いでから一口飲みます。

そうした動きが終わると、
あとは両対局者とも
じっとして集中力を高めていきます。

そのときの対局室の緊張感
ものすごいものがありました。

 

やがて19時ちょうどに。

記録係が
「それでは時間になりましたので、
及川先生の先手番でお願いします」
と宣言して、
対局開始です。

ちなみにこの日の記録係は
声のトーンが高くてかわいい感じで、
ニコ生の視聴者コメントでも
話題になっていました。

私も対局室にいながら
声のかわいさに驚いていました。

 

記録係の対局開始宣言の後、
及川六段が初手「2六歩」を指すまでに
1分ほど間がありました。

及川六段としては
初手に何を指すかは
事前に決めていたと思いますが、
気合いを入れるための時間
だったのでしょう。

初手は静かな駒音で「2六歩」。

対して村中七段は
20秒ほどで大きな駒音で「8四歩」を着手。

ここまで見届けたところで、
事前の打ち合わせどおり私は退室。

退室時に一礼をしたところは
ニコ生にも映っていました。

その対局開始の部分はツイッターの
「ニコ生公式_将棋」のアカウントの
動画で公開されています↓

 

この動画は誰でも見られるので、
友人に振り駒兼見届け人の話をするときにも
これを見せればスムーズに伝わるため
助かっています。

ニコニコ生放送のタイムシフト機能は
プレミアム会員でない場合は
番組の放送までに予約が必要なので、
後からでは見られない人も多いのです。

運営の方からの差し入れ

対局室から退室した後は、
見届け人専用の控室で
ニコ生の番組を見ながら

対局の進行を見守ります。

ニコ生で観戦というのは
ふだん自宅にいるときと
やっていることは同じですが、
すぐ近くに収録スタジオがあると考えると
不思議な感じがするところ。

しばらくすると、
叡王戦の運営の方が
差し入れを持ってきてくださいました↓

差し入れ

 

飲み物、お菓子、それにお弁当です。

叡王戦はキリン「生茶」が
協賛していて、
対局者や解説、聞き手の棋士に
「生茶」が提供されていますが、
見届け人ももらえました。

私が特にうれしかったのは
デカフェの「生茶」が飲めたこと↓

デカフェの生茶

 

カフェインゼロのこの「生茶」は
叡王戦でいつも目にしてきたものの、
私は飲んだことがありませんでした。

はじめて飲んだデカフェの「生茶」は
やさしい味わいでおいしかったです。

そして、
お弁当を開けてみるとこんな感じ↓

 

大きなチキンカツの入った、
大ボリュームの立派なお弁当です。

しかし私は、
将棋会館に来る直前に
食事を済ませてきていました。

このことはこちらの記事に
詳しく書いています↓

 

お菓子ももらったことですし
お弁当には手を付けない、
という選択肢もアリでした。

しかし、
私がこれを食べなければ
この立派なお弁当は
生ゴミになるだけかもしれない、
とも考えました。

そこで20時を過ぎたあたりで
食べ始めることに。

食べ切れなければ残すつもりでしたが、
とても美味しかったため
ペロリと完食。

さすがに満腹になりました。

 

これだけ食料を用意してくださっていれば、
千日手や持将棋などで
長い将棋になったとしても
見届け人の栄養補給はバッチリですね。

控室での対局者の気配

見届け人専用の控室にいても、
対局者の気配を感じる機会がありました。

それが、
対局者がトイレに行くとき

なにしろ見届け人の控室の目の前が
対局者も使うトイレなのです。

 

ニコ生で観戦している最中に、
部屋の外で咳が聞こえたり
人の気配がする。

そんなときに
対局室の映像を見ると、
対局者のどちらかが席にいないので、
いまトイレにいるのは
その棋士だとわかる

そういうことが
何度もありました。

ニコ生を見ること自体は
自宅にいるのと変わらないとはいえ、
今まさにすぐ近くで対局しているんだな
と実感したのでした。

ちなみに対局中の対局者と
トイレで遭遇すると
非常に気まずいため、
自分がトイレにいくのは
両対局者が秒読みに
なってからにしました。

 

ニコ生の番組は
千田七段の解説がとても面白くて
楽しく視聴。

将棋の内容は
両者秒読みの大熱戦となりましたが、
最後は及川六段が勝利。

その後、
私は見届け人として
再び対局室に入りました。

まとめ

今回は振り駒など対局開始時と
対局中の体験について
お伝えしました。

真剣勝負の対局室の緊張感など、
見届け人として
その場に身を置いたからこそ
感じられるものがありました。

振り駒ではちょっとした
トラブルがあったものの、
無事に大役を果たせて
よかったです。

 

次回は感想戦の様子などについて
お伝えします。

 

 

叡王戦のクラウドファンディングや
振り駒兼見届け人の記事は
こちらにまとめてあるので、
合わせてどうぞ↓

 

 

 

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この記事を書いている人 - WRITER -
梅澤 浩太郎
将棋講師。棋力はアマ四段。 インターネット上で将棋を教われるサイト、将棋マッチを開設・運営しています。 1987年12月生まれ。群馬県在住。 このブログでは自分でイラストを描きつつ情報発信中。叡王戦を支援しています。 将棋を始めたころからずっと、一番好きな棋士は藤井猛九段。 海外旅行が好きで旅行記も書いています。

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