佐藤天彦名人vs豊島将之二冠、名人戦第1局の情報まとめ

佐藤天彦名人vs豊島将之二冠、名人戦第1局

佐藤天彦名人に
豊島将之二冠が挑戦する
名人戦がいよいよ開幕。

第1局は1日目に千日手となり、
翌日の朝から指し直すという
異例の展開に。

指し直し局では
豊島二冠が鮮やかな寄せで
勝利しました。

本局の情報のまとめです。

対局の情報まとめ

2019年4月10日、11日
第77期名人戦七番勝負第1局
佐藤天彦名人(先手)vs豊島将之二冠
東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
持ち時間:各9時間
千日手局開始 9:00(10日)
千日手成立 15:02(10日)
指し直し局開始 9:00(11日)
指し直し局終了 19:38(11日)
73手まで 豊島二冠の勝ち
消費時間
佐藤:7時間34分
豊島:8時間51分

1日目
<午前のおやつ>
佐藤:注文なし
豊島:フルーツの盛り合せ
<昼食>
佐藤:うな丼(米少なめ)
___
豊島:鉄火丼、温かい蕎麦
___お茶
<午後のおやつ>
佐藤:チョコレートケーキ
___紅茶
豊島:フルーツの盛り合せ
___お茶

2日目
<午前のおやつ>
佐藤:注文なし
豊島:フルーツ盛り合せ
<昼食>
佐藤:ビーフカレー
___紅茶、りんごジュース
豊島:うな丼、温かい蕎麦
___お茶
<午後のおやつ>
佐藤:ショートケーキ
___紅茶、りんごジュース
豊島:フルーツ盛り合わせ
___
<夕食の軽食>
佐藤:サンドイッチ
豊島:サンドイッチ

■ニコニコ生放送

<1日目>
解説者:
青野照市九段
聞き手:
宮宗紫野女流二段
メールテーマ:
「10年後の将棋界はどうなっている?」

<2日目>
解説者:
中川大輔八段
聞き手:
谷口由紀女流二段
メールテーマ:
「もし1ヶ月間まとまった休みが手に入ったら?」

■アベマTV

<1日目>
解説者:
石田直裕五段
石井健太郎五段
聞き手:
竹部さゆり女流三段
宮宗紫野女流二段

<2日目>
解説者:
阿久津主税八段
増田康宏六段
聞き手:
本田小百合女流三段
貞升南女流初段

対局者の食事で
一番の注目ポイントは、
豊島二冠のおやつ。

2日間で4回のおやつは全て
「フルーツ盛り合わせ」
を注文。

豊島二冠はフルーツが好きとのことで、
次局以降もフルーツにこだわって
注文を続けるのかが気になります。

千日手の成立、佐藤名人に誤算があったか

振り駒の結果、
佐藤名人の先手に。

戦型は予想通り、
プロ棋界で大流行している
「角換わり腰掛銀」

両対局者とも予想していたのか、
ほとんど持ち時間を消費しないまま
どんどん指し手が進んでいきます。

そして、佐藤名人が
積極的に仕掛けていきました。

桂馬をピョンピョン跳ねていって
その桂馬を捨て、
代わりに角を敵陣に打ち込んで
「馬」を作るという大胆な作戦。

桂馬を損しての攻めなので、
パッと見た感じは
うまくいっていなさそう

ニコニコ生放送やアベマTVでも
解説されていました。

それでも自分からこの攻めに
踏み込んでいったということは、
佐藤名人に深い研究があるに違いないと
推測されるところ。

ところが。

佐藤名人は
事前に研究してきたにしては
豊島二冠よりも時間を多く使い
様子がおかしいように見えます。

どうしたのかと思っていたら、
なんと佐藤名人は
苦労して作った馬で
豊島二冠の飛車を追い回しはじめます。

飛車が逃げて馬で追いかけて
という手順を繰り返して、
なんとそのまま千日手が成立

佐藤名人にとっては
何の得もない千日手となってしまい、
なにか誤算があったとしか思えません。

指し直しになると
佐藤名人は後手番になってしまいますし、
持ち時間も佐藤名人が2時間ほど多く
消費している状態なので、
指し直し局で不利になるからです。

豊島二冠にとっては
特に苦労することなく、
佐藤名人の指し手に
自然に対応しているだけで
有利な状況になりました。

千日手の駆け引きで
対局者がどんなことを考えているかは、
こちらの記事に詳しく書いたので
合わせてどうぞ↓

異例の千日手、その後の対応

本局の千日手は
「異例の千日手」
と言われました。

2日間で戦われるタイトル戦で、
1日目に千日手となることは
非常に珍しいからです。

特に、名人戦では初めてのこと。

先手番となった棋士が
千日手になることを避けるため、
序盤戦が進む1日目に
千日手となることは
今まではなかったのです。

そんな「異例の千日手」のため、
その対応も初めて見るものでした。

通常は千日手となった場合には、
30分や1時間の休憩時間をとってから
すぐに指し直し局を始めます

しかし、名人戦の規定では、
「1日目の午後3時以降に
千日手が成立した場合、
その日は指し直し局を行わず、
翌日の朝から指し直す
と決まっており、
普段の対局とは対応が違います。

ただ、そうすると気になるのが
持ち時間の扱い。

両対局者の持ち時間が
たっぷり余ったまま
翌日に指し直し局を始めると、
対局時間が長くなり、
終局時間がかなり遅くなることが
予想されます。

終局が遅くなると
大盤解説会や新聞での結果速報など、
色々な面で影響が大きいです。

そこで、名人戦は
その持ち時間の問題にも
事前に規定が定められて
対策が打たれていました。

それが
「消費時間の折半(せっぱん)」
というやり方。

千日手が成立した時刻から
封じ手の時刻まで
両対局者が同じ時間だけ
考えたと見なして、
その分の時間を
両者の持ち時間から引く、
というのです。

たしかにこうすれば、
指し直し局の終局時間が
極端に遅くなることは
避けられそうです。

ただ、こんなルールがあることは、
挑戦者の豊島二冠は「知らなかった」
と語っていました。

もちろん私も知りませんでしたし、
棋士など多くの将棋関係者にも
ほとんど知られていない
名人戦独自のルールのようです。

佐藤名人が選んだ千日手のタイミング

そんな中で、
こうした千日手に関する規定を
熟知していた
と推測されるのが
佐藤天彦名人。

挑戦者とは違い、
タイトル保持者は毎年
約1年かけて
防衛戦の準備をしています。

しかも、
佐藤天彦名人にとっては
4年連続の名人戦。

名人戦の規定は熟読して、
完璧に頭に入っていそうです。

それを踏まえて見ると、
千日手の成立時刻
興味深いです。

千日手の成立は午後3時2分で、
その日のうちに指し直しを行わない
ギリギリのタイミング。

あと3分早く千日手となっていれば、
規定により
1時間の休憩の後にすぐに指し直し
となっていたのです。

千日手の成立前には
佐藤名人が時間を使って考えており、
指し直しは翌日から行いたいという
意図があったと想像できます。

佐藤名人としては、
千日手によって
不利な状況になってしまったことで
気持ちが動揺したまま、
すぐには指し直しをしたくなかった
のかもしれません。

そういった駆け引きを含めて、
今回の千日手では
珍しくて面白いものが見れました。

指し直し局、豊島二冠の鮮やかな寄せ

指し直し局は豊島二冠の先手。

豊島二冠は持ち時間も
約2時間ほど佐藤名人より多いので、
有利な状況からの対局です。

戦型は佐藤名人が
「横歩取り」を選び、
豊島二冠は「青野流」という形で
対抗しました。

序盤は千日手局と同様に、
両対局者ともほどんど時間を使わずに
手が進んでいきます。
両者とも研究範囲ということでしょう。

本局は七番勝負の第1局なので、
1日目の振り駒まで
先手番になるか後手番になるか
わからない状況でした。

そのため両者ともに
先手番になった場合と
後手番になった場合の
両方の事前準備をしてあります。

そのため、千日手指し直しで
手番が入れ替わっても、
用意の準備があったのです。

これが七番勝負の
第2局〜第6局であれば
事前に手番が決まっているので、
その手番用の研究だけしか
十分にできていないこともあります。

そういう場合は
千日手で手番が入れ替われば、
少し戸惑いもあったはずです。

さて、お互いに研究範囲の将棋でしたが、
34手目△8二銀が
佐藤名人の用意していた手で、
この後の数手で
豊島二冠もずいぶん時間を使いました。

ついに残り時間が約3時間ほどで並び、
局面も互角。

指し直し開始時点にあった不利な状況を
佐藤名人がうまくカバーしました。

しかし、そこからの豊島二冠の
指し回しが見事でした。

自分の玉を安全な状態にして、
佐藤名人の玉に向けて
一方的に攻める展開に持ち込みます。

佐藤名人も必死に防戦しますが、
終盤の67手目に▲5五銀という
銀のタダ捨ての鮮やかな決め手があり、
豊島二冠が寄せ切りました。

以下数手で豊島二冠の勝利。

手数は73手と短かったものの、
一手一手の密度の高い難しい将棋で
熱戦でした。

まとめ

名人戦第1局は
挑戦者の豊島二冠の
勝利となりました。

1日目からの千日手、
消費時間の折半、
そして翌日からの指し直し、と
異例の展開となった勝負。

全体としては
千日手局でも指し直し局でも、
佐藤名人が苦戦していた印象でした。

豊島二冠という
「最強の挑戦者」を相手に
佐藤名人がどう巻き返すか。

七番勝負は
まだまだ始まったばかりなので、
次局以降も楽しみです。

名人戦七番勝負の記事はこちら↓

豊島二冠については
こちらの記事も合わせてどうぞ↓

この記事を書いた私、梅澤浩太郎は
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