全員が自力昇級した2019年3月の順位戦各クラスの最終一斉対局

順位戦最終局で自力昇級した棋士
今期の順位戦の
昇級争いは、
見たことのない
展開になりました。

各クラスの
最終一斉対局で
「勝てば昇級」
という立場の
棋士が全員勝ち、
自力で昇級したのです。

さらに、
A級でも豊島将之二冠が
自力で名人挑戦。

2019年3月に決着した
名人挑戦と昇級について
まとめました。

順位戦の名人挑戦と昇級争い

順位戦の最終局は、
各クラスで一斉に
行われます。

順位戦において、
特に注目を集めるのは
上位争い。

A級であれば
誰が名人への
挑戦者となるのか、
他のクラスであれば
誰が昇級するのか
ということです。

挑戦と昇級の人数
各クラスで以下の通りに
決められています↓

A級:1人が名人挑戦
B級1組:2人が昇級
B級2組:2人が昇級
C級1組:2人が昇級
C級2組:3人が昇級

その他、
順位戦の仕組みは
こちらの記事に
詳しく書いています↓

「自力」と「他力」の違い

名人挑戦や昇級は
人数が決められているため、
他の棋士との競争となります。

そのため、
それぞれの棋士にとっては、
自分の対局結果だけでなく
競争相手の勝敗
大きな意味を持つのです。

自分が勝ちさえすれば
他者の結果に関係なく
名人挑戦や昇級が
決まる棋士を、
「自力(じりき)」と言います。

一方、自分が勝つだけでなく
競争相手が負けないと
名人挑戦や昇級が
できない棋士を
「他力(たりき)」
「キャンセル待ち」
言います。

毎年、順位戦では
「自力」の棋士が負けて
昇級を逃し、
「他力」だった棋士が
昇級するということが
起こってきました。

「自力」だった棋士の悔しさと
「他力」だった棋士の
喜びが混じり合い、
多くのドラマが
生まれてきたのです。

ただ、今年は
珍しいことが起きました。

「自力」だった棋士が
どのクラスでも負けず、

全員が名人挑戦や
昇級を果たしたのです。

私は今までには
こんな状況は
見たことがありません。

最終局で
自力で昇級を決めた棋士を、
各クラスごとに
振り返ってみます。

A級:豊島将之二冠

豊島将之二冠→名人挑戦

A級では名人挑戦への
挑戦権を争う戦いが
繰り広げられます。

最終局前の時点で
トップだったのは、
7勝1敗の豊島将之二冠

豊島二冠は
最終局で勝てば名人挑戦が決まる
「自力」の状態でした。

それを6勝2敗で
広瀬章人竜王と
羽生善治九段が
追う展開。

もし豊島二冠が負ければ、
広瀬竜王vs羽生九段の
対局の勝者と
プレーオフとなります。

最終局が行われたのは
2019年3月1日。

羽生ー広瀬戦は
早めに決着し、
羽生九段が勝利

豊島二冠が敗れて
プレーオフになることを
待つ状況に。

しかし、
プレーオフには
なりませんでした。

豊島二冠は
久保利明九段との
対局に勝ち、
名人挑戦を決めたのです。

A級順位戦の
最終局については、
こちらの記事もどうぞ↓

B級1組:木村一基九段

木村一基九段→A級へ昇級

A級以外では、
名人挑戦ではなく
上のクラスへの
昇級を争う
戦いとなります。

最終局の前に、
渡辺明二冠は
昇級を決めていたため、
残る昇級枠は1つ。

「自力」なのは
最終局前まで7勝4敗で
1番手の木村一基九段

「他力」となる2番手は
斎藤慎太郎王座で、
3番手は木村九段の
最終局の相手である
行方尚史八段でした。

B級1組の
最終局が行われたのは
2019年3月13日です。

木村ー行方戦の
決着がつく前に、
斉藤王座が渡辺二冠に
敗れました。

そのため、
木村九段と行方八段の対局の
勝った方が
昇級するという状況
に。

そして、木村九段が勝って、
昇級を決めたのです。

木村九段と行方八段は
年齢が近くて
昔から仲が良く、
「盟友」と言えるような
間柄です。

その二人が最終局で
昇級争いをすることになり、
奇妙な縁を感じる
対局でした。

B級2組:千田翔太六段

千田翔太六段→B級1組へ昇級&七段へ昇段

最終局の前に、
永瀬拓矢七段は
昇級を決めていました。

残る昇級枠は1つ。

「自力」なのは
最終局前まで
8勝1敗の千田翔太六段

それを追うのは7勝2敗で
2番手の横山泰明六段、
同じく3番手の
大石直嗣七段でした。

最終局が行われたのは
2019年3月13日。

最終局では
まず横山六段の対局が終わり、
横山六段が敗れます。

これにより昇級者は
千田六段と大石七段の
どちらかに
絞られました。

千田六段と大石七段は
どちらも森信雄七段門下で、
兄弟弟子です。

森七段にしてみれば
弟子のどちらかが
昇級するのは確定で、
あとはどちらになるか、
という珍しい状況と
なりました。

先に決着がついたのは
千田六段の対局。

自力の千田六段が勝ち、
昇級が確定。

同時に千田六段は
七段に昇段しました。

その後に大石六段は
勝利を決めたのですが、
すでに昇級の可能性は
なくなっていました。

こういう状況だと
対局が終わってから
自分が昇級できなかったことを
他者から聞く
わけで、
もの悲しさがあります。

C級1組:杉本昌隆八段と近藤誠也五段

杉本昌隆八段→B級2組へ昇級
近藤誠也五段→B級2組へ昇級&六段へ昇段

C級1組の昇級枠は2つ。

最終局を迎えた時点で、
昇級は誰も確定して
いませんでした

世間的に最も
大きな注目を集めたのが
このクラスです。

なぜなら、
藤井聡太七段の
昇級がかかっていたから。

さらには、
師匠である杉本昌隆八段と共に
昇級する可能性もあり、
「師弟同時昇級」
実現するかどうかも
話題でした。

昇級を争う上位4人は
いずれも8勝1敗。

自力なのは
1番手の杉本八段
2番手の近藤誠也五段

他力となりますが
3番手は船江恒平六段、
そして4番手が藤井七段、
という状況でした。

藤井七段が昇級するには
自身が勝って、
さらに杉本八段、近藤五段、
船江六段のうち
3人が敗れなければ
いけないので、
厳しい条件でした。

最終局が行われたのは
2019年3月5日。

この4人のうち、
真っ先に勝ったのが
自力の杉本八段。

これで昇級決定です。

続いて船江六段が勝利。

これにより、
藤井七段の昇級の可能性は
なくなりました。

その後、藤井七段も
勝利したのですが、
すでにその勝敗は
昇級とは関わりのないものに
なっていました。

最後まで残ったのが
近藤五段の対局。

近藤五段が敗れれば
船江六段の昇級となる
ところでしたが、
近藤五段は勝利。

近藤五段が昇級を決め、
同時に六段へ
昇段となりました。

このC級1組の最終局の
すごいところは、
自力の2人だけでなく
8勝1敗の4人全員が
勝った
こと。

これによって
9勝1敗が4人も
現れることとなり、
厳しいリーグと
なりました。

藤井七段の対局については、
こちらの記事も
合わせてどうぞ↓

C級2組:石井健太郎五段と佐藤和俊六段

石井健太郎五段→C級1組へ昇級
佐藤和俊六段→C級1組へ昇級

最終局の前に、
及川拓馬六段は
昇級を決めていました。

残る昇級枠は2つ。

昇級を争うのは
最終局前まで
7勝2敗の棋士たち。

自力なのは
1番手の石井健太郎五段
2番手の佐藤和俊六段

それを他力の
3番手の佐々木大地五段と
4番手の阿部光瑠六段が
追う展開でした。

最終局が行われたのは
2019年3月7日。

この4人のうちで
まず勝ったのは阿部六段。

続いて佐々木五段も勝利。

この2人は、
自力の2人が負ければ
昇級できる状況となり、
あとは結果を待ちます。

しかし、
結局佐々木五段と阿部六段は
昇級することは
できませんでした。

その後、
石井五段が勝利し、
さらには佐藤六段も勝って、
自力のこの2人が
昇級となったからです。

まとめ

このように、
A級からC級2組まで
全てのクラスで
「自力」の棋士が
最終局で勝利。

名人挑戦と昇級の
貴重なチャンスを
自らの手で
つかみ取りました。

さらに言えば、
最終局の前に
昇級を決めていた
3人の棋士
も、
全員が最終局に
勝ちました。

渡辺明二冠(B級1組)、
永瀬拓矢七段(B級2組)、
及川拓馬六段(C級2組)
です。

どの棋士も
勝負強かったです。

一方で、
「他力」だった棋士は
自身の対局に勝っても
一人も昇級できず、
厳しい結果となりました。

こうした「自力」の
棋士の勝負強さは、
今期だけの
特別なことなのでしょうか。

来期も同じ傾向が
続くのか、
私は注目しています。

今期順位戦の最終局
については、
こちらの記事も
合わせてどうぞ↓

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